口腔癌を早期発見できる最前線は歯科医院です

(2011年1月11日)

一般外来において口腔癌は非日常的な疾患かもしれません。 しかし、年間約7000人もの患者さんがおられることも事実です。 ここでは私の一般臨床において病院歯科へ紹介した症例をご紹介します。

口腔癌をいかに早期発見するか・・・

口腔癌は癌全体の2%程度(年間7,000人以上)を占める疾患ですが、 生命や生活機能に直結する部位であることも鑑みると、非常に重大な疾患です。 患者さんご自身で異常に気づき病院を受診されるケースが多いと思いますが、 日常の一般歯科臨床の現場においても、 我々歯科医療従事者が注意深く「口腔癌」に対し目を光らせる必要があると感じます。

癌の治療においてもっとも有効な手立ては「早期発見」
今一度、歯科医療従事者の皆様に口腔癌に対する認識を高めて頂くために、 私の臨床より症例を示します。

口腔癌及び前癌病変の疑いがある症例は年間複数例

当院において、口腔癌の疑いもしくは前癌病変の疑いにより病院歯科へ紹介する症例数は年間2~3例ほどあります。 以下に症例写真を示します(左:扁平上皮癌、右:白板症)。

■症例【左】
「最近入れ歯が合わなくなってきて・・・」
との主訴により来院された患者さん(90歳)です。確かに上顎義歯がすぐに落ちてくるようで、数年前より違和感はあったとのこと。ただ、自分で口の中を見ることもなくすごされていたようです。 そこで上顎義歯を外し、口腔内を見てびっくり。
すぐに状況をご本人と家族につげ、病院歯科受診の準備に取り掛かりました。
⇒その後
癌は限局していたため切除を行い、現在も義歯により健やかにお過ごしになられています。

■ 症例【右】
特に自覚症状もなく過ごされていたのですが、義歯調整に御来院の際に発見しました。
こちらの患者さんはご高齢で、すぐに病院歯科受診できる環境ではなかったため、当院に口腔外科認定医が診療に来る日にあわせ再来院頂き、2週間後との経過観察を行うこととしました。
⇒その後
2年間ほど経過観察を行っていたのですが、心疾患のためお亡くなりになりました。

口内炎が痛くて食べられないから往診してください…

この患者さんは、往診で対応した方です。
担当のケアマネージャーさんから
「最近、○○さんの食事量が急激に落ちてきているので話を伺ったところ、口内炎が痛くて・・・と訴えられています。先生、往診していただけますか?」
とお電話を頂き、伺いました。
息子さんと2人暮らしの80歳後半の女性です。
「長いこと歯医者にはかかっていないのだが、最近口の中が痛くてモノが飲み込めない」とおっしゃいます。
一通りのお話を伺い、口腔内を拝見したところ・・・

軟口蓋から上咽頭にかけ、腫瘍が広がっている様子が観察されました。 家族の方は、一切口腔内を見たことがないとのことで、事情を説明し、 当日中に病院歯科受診をお願いしました(極度の栄養失調状態で内科的な対応も早急に必要であると考えたため)。
このようなケースでは、連携している病院歯科(当院は3ヶ所の総合病院内にある口腔外科とタイアップしています) の口腔外科医に直接電話にてその場で連絡し、状況を伝えたうえで、後ほど必要書類を郵送するようにしております。
次のコンテンツでは、病院歯科と連携し末期癌の患者さんを在宅で看取るために行った連携をご紹介します。

執筆 : オーラルスタジオ連携歯科医師

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