バランス錠5mgの用法・用量
クロルジアゼポキシドとして、1日20~60mgを2~3回に、小児1日10~20mgを2~4回にそれぞれ分割経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
バランス錠5mgの効能・効果
- 1.神経症における不安・緊張・抑うつ。
- 2.うつ病における不安・緊張。
- 3.心身症(胃潰瘍・十二指腸潰瘍、高血圧症)における身体症候並びに不安・緊張・抑うつ。
バランス錠5mgの副作用
本剤は使用成績調査等の副作用発現頻度が明確となる調査を実施していないため、発現頻度については文献等を参考に集計した。
- 1.重大な副作用
- 1)依存性(頻度不明):連用により薬物依存を生じることがあるので、観察を十分に行い、用量及び使用期間に注意し慎重に投与する。また、連用中における投与量の急激な減少ないし投与の中止により、痙攣発作、譫妄、振戦、不眠、不安、幻覚、妄想等の離脱症状が現れることがあるので、投与を中止する場合には徐々に減量するなど慎重に行う。
- 2)刺激興奮、錯乱(いずれも頻度不明):刺激興奮、錯乱等が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行う。
- 3)呼吸器(頻度不明):慢性気管支炎等の呼吸器疾患に用いた場合、呼吸抑制が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行う。
- 2.その他の副作用
- 1)精神神経系:(5%以上)眠気、(0.1%~5%未満)ふらつき、眩暈、歩行失調、頭痛、多幸症。
- 2)肝臓:(0.1%~5%未満)黄疸[このような場合は観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行う]。
- 3)血液:(0.1%未満)顆粒球減少、白血球減少[このような場合は観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行う]。
- 4)循環器:(0.1%~5%未満)血圧低下。
- 5)消化器:(0.1%~5%未満)悪心、便秘、口渇。
- 6)過敏症:(0.1%~5%未満)発疹、(0.1%未満)光線過敏症[このような症状が現れた場合には投与を中止する]。
- 7)骨格筋:(0.1%~5%未満)倦怠感、脱力感等の筋緊張低下症状。
- 8)その他:(0.1%未満)浮腫。
バランス錠5mgの使用上の注意
【禁忌】
- 1.急性閉塞隅角緑内障の患者[抗コリン作用により眼圧が上昇し、症状を悪化させることがある]。
- 2.重症筋無力症のある患者[筋弛緩作用により症状が悪化する恐れがある]。
【慎重投与】
- 1.心障害、肝障害、腎障害のある患者[心障害では症状が悪化、肝障害・腎障害では排泄が遅延する恐れがある]。
- 2.脳器質的障害のある患者[作用が強く現れる]。
- 3.乳・幼児[作用が強く現れる]。
- 4.高齢者。
- 5.衰弱患者[作用が強く現れる]。
- 6.中等度呼吸不全又は重篤な呼吸不全のある患者[症状が悪化する恐れがある]。
【重要な基本的注意】
- 1.眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないように注意する。
- 2.連用により薬物依存を生じることがあるので、漫然とした継続投与による長期使用を避ける(本剤の投与を継続する場合には、治療上の必要性を十分に検討する)。
【相互作用】
- 併用注意:
- 1.中枢神経抑制剤(フェノチアジン誘導体、バルビツール酸誘導体等)[中枢神経抑制作用を増強することがある(中枢神経抑制剤との併用で相加的な増強作用を示す可能性がある)]。
- 2.モノアミン酸化酵素阻害剤[中枢神経抑制作用を増強することがある(モノアミン酸化酵素阻害剤の肝ミクロゾーム酵素阻害等が考えられる)]。
- 3.アルコール(飲酒)[中枢神経抑制作用を増強することがある(アルコールの中枢神経抑制作用及び肝ミクロゾーム酵素阻害による本剤の血中濃度の上昇が推定される)]。
- 4.マプロチリン塩酸塩[中枢神経抑制作用を増強することがある(明らかにされていないが、相加的な中枢神経抑制作用の増強と考えられる)、また、マプロチリン塩酸塩併用中の本剤を急速に減量又は中止すると痙攣発作が起こることがある(明らかにされていないが、相加的な中枢神経抑制作用の増強と考えられる)]。
- 5.ダントロレンナトリウム水和物[筋弛緩作用を増強することがある(相互に筋弛緩作用を増強することがある)]。
【高齢者への投与】
高齢者へ投与する場合は、少量から投与を開始するなど慎重に投与する[運動失調等の副作用が発現しやすい]。
【妊婦・産婦・授乳婦等への投与】
- 1.妊婦等:
- 1)妊婦<3カ月以内>又は妊娠している可能性のある婦人には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与する[妊娠中に本剤の投与を受けた患者の中に奇形児等の障害児を出産した例が対照群と比較して有意に多いとの疫学的調査報告がある]。
- 2)妊娠後期の婦人には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与する[ベンゾジアゼピン系薬剤で新生児に哺乳困難、嘔吐、活動低下、筋緊張低下、過緊張、嗜眠、傾眠、呼吸抑制・無呼吸、チアノーゼ、易刺激性、神経過敏、振戦、低体温、頻脈等を起こすことが報告されており、なお、これらの症状は、離脱症状あるいは新生児仮死として報告される場合もある(また、ベンゾジアゼピン系薬剤で新生児に黄疸増強を起こすことが報告されている)]。
- 3)分娩前に連用した場合、出産後新生児に離脱症状が現れることが、ベンゾジアゼピン系薬剤で報告されている。
- 2.授乳婦:授乳婦への投与は避けることが望ましいが、やむを得ず投与する場合は授乳を避けさせる[ヒト母乳中に移行し、新生児に嗜眠、体重減少等を起こすことが他のベンゾジアゼピン系薬剤(ジアゼパム)で報告されており、また、黄疸増強する可能性がある]。
【過量投与】
本剤の過量投与が明白又は疑われる場合の処置としてフルマゼニル(ベンゾジアゼピン受容体拮抗剤)を投与する場合には、使用前にフルマゼニルの使用上の注意(禁忌、慎重投与、相互作用等)を必ず読む。
【適用上の注意】
薬剤交付時:PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導する(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている)。
【その他の注意】
投与した薬剤が特定されないままにフルマゼニルを投与された(ベンゾジアゼピン受容体拮抗剤)患者で、新たに本剤を投与する場合、本剤の鎮静・抗痙攣作用が変化、鎮静・抗痙攣作用が遅延する恐れがある。