スピロピタン錠0.25mgの用法・用量
最初約1週間は、スピペロンとして1日0.5~1.5mg(1日量として、2~6錠)、以後漸増しスピペロンとして1日1.5~4.5mg(1日量として、6~18錠)を経口投与する。なお、年齢、症状に応じて適宜増減する。
スピロピタン錠0.25mgの効能・効果
統合失調症。
スピロピタン錠0.25mgの副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 1.重大な副作用:
- 1)悪性症候群(Syndrome malin)(頻度不明):無動緘黙、強度筋強剛、嚥下困難、頻脈、血圧変動、発汗等が発現し、それに引き続き発熱がみられる場合は、投与を中止し、体冷却、水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行うこと(本症発症時には、白血球増加や血清CK上昇がみられることが多く、また、ミオグロビン尿を伴う腎機能低下がみられることがある)、なお、高熱が持続し、意識障害、呼吸困難、循環虚脱、脱水症状、急性腎障害へと移行し、死亡することがある。
- 2)腸管麻痺(頻度不明):腸管麻痺(食欲不振、悪心・嘔吐、著しい便秘、腹部膨満あるいは腹部弛緩及び腸内容物うっ滞等の症状)を来し、麻痺性イレウスに移行することがあるので、腸管麻痺があらわれた場合には投与を中止すること。なお、この悪心・嘔吐は、本剤の制吐作用により不顕性化することもあるので注意すること。
- 3)抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)(頻度不明):低ナトリウム血症、低浸透圧血症、尿中ナトリウム排泄量増加、高張尿、痙攣、意識障害等を伴う抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)があらわれることがある。
- 4)無顆粒球症、白血球減少(いずれも頻度不明)。
- 5)肺塞栓症、深部静脈血栓症(いずれも頻度不明):抗精神病薬において、肺塞栓症、静脈血栓症等の血栓塞栓症が報告されているので、観察を十分に行い、息切れ、胸痛、四肢疼痛、浮腫等が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 2.その他の副作用:
- [1]循環器:(0.1~5%未満※)頻脈、(頻度不明)血圧降下、心電図変化(QT間隔延長、T波変化等)。
- [2]肝臓:(0.1~5%未満※)肝障害。
- [3]錐体外路症状:(5%以上※)アカシジア(静坐不能)、パーキンソン症候群(手指振戦、筋強剛、流涎等)、(0.1~5%未満※)ジスキネジア(痙攣性斜頸、顔面攣縮及び頸部攣縮、後弓反張、眼球回転発作等)、(頻度不明)長期投与による*口周部不随意運動等の*不随意運動[*:投与中止後も持続することがある]。
- [4]眼:(0.1~5%未満※)眼調節障害、(頻度不明)長期又は大量投与による、角膜混濁・水晶体混濁、角膜色素沈着。
- [5]過敏症:(0.1~5%未満※)そう痒、(頻度不明)発疹。
- [6]消化器:(0.1~5%未満※)食欲不振、悪心・嘔吐、便秘、(頻度不明)下痢、腹痛。
- [7]内分泌:(頻度不明)体重増加、月経異常、乳汁分泌、高プロラクチン血症、女性型乳房。
- [8]精神神経系:(5%以上※)不眠、眠気、(0.1~5%未満※)眩暈、頭痛・頭重、興奮、(頻度不明)焦躁感。
- [9]その他:(5%以上※)倦怠感、(0.1~5%未満※)口渇、鼻閉、発汗、排尿障害。
※)発現頻度は、副作用発現頻度調査終了時のもの。
スピロピタン錠0.25mgの使用上の注意
【禁忌】
- 1.昏睡状態の患者又はバルビツール酸誘導体等の中枢神経抑制剤の強い影響下にある患者[中枢神経抑制作用を増強させるおそれがある]。
- 2.重症心不全患者[症状を悪化させるおそれがある]。
- 3.パーキンソン病又はレビー小体型認知症のある患者[錐体外路症状が悪化するおそれがある]。
- 4.本剤の成分又はブチロフェノン系化合物に対し過敏症の既往歴のある患者。
- 5.アドレナリン投与中<アナフィラキシー救急治療・歯科浸潤又は伝達麻酔除く>の患者。
【重要な基本的注意】
- 1.眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないように注意すること。
- 2.本剤は制吐作用を有するため、他の薬剤に基づく中毒、腸閉塞、脳腫瘍等による嘔吐症状を不顕性化することがあるので注意すること。
【合併症・既往歴等のある患者】
- 1.心・血管疾患、低血圧又はそれらの疑いのある患者:一過性血圧降下があらわれることがある。
- 2.てんかん等の痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者:痙攣閾値を低下させることがある。
- 3.薬物過敏症の患者。
- 4.不動状態、長期臥床、肥満、脱水状態等の患者:抗精神病薬において、肺塞栓症、静脈血栓症等の血栓塞栓症が報告されている。
【肝機能障害患者】
肝機能障害患者:病状を悪化させるおそれがある。
【妊婦】
妊婦、妊娠している可能性のある女性には投与しないことが望ましい(他のブチロフェノン系化合物による動物実験で胎仔吸収、流産等の胎仔毒性が報告されている)。妊娠後期に抗精神病薬が投与されている場合、新生児に哺乳障害、傾眠、呼吸障害、振戦、筋緊張低下、易刺激性等の離脱症状や錐体外路症状があらわれたとの報告がある。
【授乳婦】
授乳しないことが望ましい(他のブチロフェノン系化合物でヒト母乳中への移行が報告されている)。
【小児等】
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
【高齢者】
少量から投与を開始するなど慎重に投与すること(錐体外路症状が起こりやすい)。
【相互作用】
- 1.併用禁忌:アドレナリン<アナフィラキシー救急治療・歯科浸潤又は伝達麻酔除く><ボスミン>[アドレナリンの作用を逆転させ重篤な血圧降下を起こすことがある(アドレナリンはアドレナリン作動性α、β-受容体の刺激剤であり、本剤のα-受容体遮断作用により、β-受容体刺激作用が優位となり、血圧降下作用が増強される)]。
- 2.併用注意:
- [1]アドレナリン含有歯科麻酔剤(リドカイン・アドレナリン歯科麻酔剤)[重篤な血圧降下を起こすことがある(アドレナリンはアドレナリン作動性α、β-受容体の刺激剤であり、本剤のα-受容体遮断作用により、β-受容体刺激作用が優位となり、血圧降下作用が増強されるおそれがある)]。
- [2]中枢神経抑制剤(バルビツール酸誘導体等)[中枢神経抑制作用が増強することがあるので、減量するなど注意すること(本剤およびこれらの薬剤の中枢神経抑制作用による)]。
- [3]アルコール[飲酒により相互に作用を増強することがあるので、用量を調節するなど注意すること(アルコールは中枢神経抑制作用を有する)]。
- [4]リチウム[心電図変化、重症の錐体外路症状、持続性のジスキネジア、突発性の悪性症候群<Syndrome malin>、非可逆性の脳障害を起こすおそれがあるので、観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には投与を中止すること(機序は不明であるが、併用による抗ドパミン作用の増強等が考えられている)]。
- [5]抗ドパミン作用を有する薬剤(ベンザミド系薬剤(メトクロプラミド、スルピリド、チアプリド等)、ドンペリドン等)[内分泌機能異常、錐体外路症状が発現することがある(併用により抗ドパミン作用が強くあらわれる)]。
- [6]タンドスピロンクエン酸塩[錐体外路症状を増強するおそれがある(タンドスピロンクエン酸塩は弱い抗ドパミン作用を有する)]。
- [7]ドパミン作動薬(レボドパ製剤、ブロモクリプチン等)[これらの薬剤のドパミン作動薬としての作用が減弱することがある(ドパミン作動性神経において、作用が拮抗することによる)]。
【過量投与】
- 1.症状:過量投与時、主な症状は、重症の錐体外路症状、低血圧、過度の鎮静である(また、まれにQT延長、心室性不整脈(Torsade de pointesを含む)、心停止があらわれることがある)。
- 2.処置:過量投与時、低血圧や循環虚脱があらわれた場合には、輸液、血漿製剤、アルブミン製剤、ドパミン、ドブタミン等の昇圧剤(アドレナリンは禁忌)の投与により処置を行う。また、過量投与時、重症の錐体外路症状に対して、抗コリン作用のある抗パーキンソン剤を投与する。
【その他の注意】
- 1.臨床使用に基づく情報:
- 1)他のブチロフェノン系化合物で光線過敏症があらわれたとの報告がある。
- 2)外国で実施された高齢認知症患者を対象とした17の臨床試験において、非定型抗精神病薬投与群はプラセボ投与群と比較して死亡率が1.6~1.7倍高かったとの報告があり、また、外国での疫学調査において、定型抗精神病薬も非定型抗精神病薬と同様に死亡率上昇に関与するとの報告がある。
【取扱い上の注意】
開栓後、湿気を避けて保存すること(湿気により変色することがある)。
【保管上の注意】
室温保存。