クレミン錠25mgの用法・用量
モサプラミン塩酸塩として、通常、成人1日30~150mgを3回に分けて経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減するが、1日300mgまで増量することができる。
クレミン錠25mgの効能・効果
統合失調症。
クレミン錠25mgの副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 1.重大な副作用:
- 1)Syndrome malin(悪性症候群)(0.1%未満):無動緘黙、強度筋強剛、嚥下困難、頻脈、血圧変動、発汗等が発現し、それに引き続き発熱がみられる場合は、投与を中止し、体冷却、水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行うこと(本症発症時には、白血球増加や血清CK上昇がみられることが多く、また、ミオグロビン尿を伴う腎機能低下がみられることがある)、なお、高熱が持続し、意識障害、呼吸困難、循環虚脱、脱水症状、急性腎障害へと移行し、死亡した例が報告されている。
- 2)無顆粒球症、白血球減少(いずれも頻度不明)。
- 3)遅発性ジスキネジア(0.1%未満):長期投与により口周部不随意運動等の不随意運動があらわれることがある。
- 4)肺塞栓症、深部静脈血栓症(いずれも頻度不明):肺塞栓症、静脈血栓症等の血栓塞栓症が報告されているので、観察を十分に行い、息切れ、胸痛、四肢疼痛、浮腫等が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 5)麻痺性イレウス(頻度不明):腸管麻痺(食欲不振、悪心・嘔吐、著しい便秘、腹部膨満あるいは腹部弛緩及び腸内容物うっ滞等)を来し、麻痺性イレウスに移行することが報告されているので、腸管麻痺があらわれた場合には投与を中止すること。なお、この悪心・嘔吐は、本剤の制吐作用により不顕性化することもあるので注意すること。
- 6)抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)(頻度不明):低ナトリウム血症、低浸透圧血症、尿中ナトリウム排泄量増加、高張尿、痙攣、意識障害等を伴う抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)があらわれることが報告されているので、このような場合には投与を中止し、水分摂取の制限等適切な処置を行うこと。
- 7)心室頻拍(Torsade de Pointesを含む)(頻度不明)。発現頻度は、製造販売後調査の結果を含む。
- 2.その他の副作用:
- [1]循環器:(0.1~5%未満)胸内苦悶感、心悸亢進、顔面潮紅、(0.1%未満)低血圧、(頻度不明)心電図変化(QT間隔延長、T波変化等)。
- [2]精神神経系:(5%以上)眠気(11.3%)、睡眠障害、めまい・ふらつき、(0.1~5%未満)知覚異常、運動失調、性欲異常、焦燥感、頭痛・頭重、意識障害、(0.1%未満)痙攣、(頻度不明)不安、幻覚の顕在化・妄想の顕在化、過鎮静、易刺激。
- [3]肝臓:(0.1%未満)肝機能異常。
- [4]錐体外路症状:(5%以上)パーキンソン症候群(振戦、筋強剛、流涎等)、アカシジア(静坐不能)(11.3%)、(0.1~5%未満)ジスキネジア(口周部不随意運動、四肢不随意運動等の不随意運動等)、ジストニア(眼球上転、眼瞼痙攣、舌突出、痙性斜頸、頸後屈、体幹側屈、後弓反張、構音障害、嚥下障害等)。
- [5]眼:(0.1~5%未満)眼調節障害。
- [6]過敏症:(0.1~5%未満)そう痒感、発疹。
- [7]消化器:(5%以上)便秘、口渇、(0.1~5%未満)食欲不振、悪心・嘔吐、(0.1%未満)食欲亢進。
- [8]内分泌:(0.1~5%未満)月経異常、乳汁分泌、(0.1%未満)女性化乳房。
- [9]血液:(頻度不明)貧血(赤血球減少、ヘモグロビン減少、ヘマトクリット値低下)、白血球減少、血小板減少。
- [10]その他:(5%以上)脱力倦怠感、(0.1~5%未満)排尿障害、発汗、鼻閉、顔面浮腫、(0.1%未満)尿失禁、発熱、(頻度不明)CK上昇、尿閉。
クレミン錠25mgの使用上の注意
【禁忌】
- 1.昏睡状態、循環虚脱状態の患者[これらの状態を悪化させるおそれがある]。
- 2.バルビツール酸誘導体・麻酔剤等の中枢神経抑制剤の強い影響下にある患者[中枢神経抑制剤の作用を延長し増強させる]。
- 3.アドレナリン投与中<アナフィラキシー救急治療・歯科浸潤又は伝達麻酔除く>の患者。
- 4.パーキンソン病又はレビー小体型認知症の患者[錐体外路症状が悪化するおそれがある]。
- 5.本剤の成分又はイミノジベンジル系化合物に対し過敏症の患者。
- 6.妊婦又は妊娠している可能性のある女性。
【重要な基本的注意】
- 1.眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないように注意すること。
- 2.制吐作用を有するため、他の薬剤に基づく中毒、腸閉塞、脳腫瘍等による嘔吐症状を不顕性化することがあるので注意すること。
【合併症・既往歴等のある患者】
- 1.心・血管疾患、低血圧、又はそれらの疑いのある患者:一過性血圧降下があらわれることがある。
- 2.血液障害のある患者:血液障害を悪化させるおそれがある。
- 3.てんかん等の痙攣性疾患、又はこれらの既往歴のある患者:痙攣閾値を低下させることがある。
- 4.甲状腺機能亢進状態にある患者:錐体外路症状が起こりやすい。
- 5.脱水を伴う身体的疲弊・栄養不良状態を伴う身体的疲弊等のある患者:Syndrome malin(悪性症候群)が起こりやすい。
- 6.不動状態、長期臥床、肥満、脱水状態等の患者:肺塞栓症、静脈血栓症等の血栓塞栓症が報告されている。
【肝機能障害患者】
肝機能障害患者:肝機能障害を悪化させるおそれがある。
【妊婦】
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、投与しないこと(動物実験(マウス)で催奇形作用が報告されている。また、妊娠後期に抗精神病薬が投与されている場合、新生児に哺乳障害、傾眠、呼吸障害、振戦、筋緊張低下、易刺激性等の離脱症状(新生児薬物離脱症候群)や錐体外路症状があらわれたとの報告がある)。
【授乳婦】
投与中及び投与後一定期間は授乳を避けさせること(動物実験(ラット)で乳汁移行すること、乳仔生存率低下すること等が報告されている。授乳により曝露されその後に離乳等で曝露が低下した場合、乳児に新生児薬物離脱症候群と同様な症状があらわれるおそれがある)。
【小児等】
錐体外路症状、特にジスキネジアが起こりやすい(小児等を対象とした臨床試験は実施していない)。
【高齢者】
少量から投与を開始するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること(錐体外路症状等の副作用があらわれやすい)。
【相互作用】
- 1.併用禁忌:アドレナリン<アナフィラキシー救急治療・歯科浸潤又は伝達麻酔除く><ボスミン>[アドレナリンの作用を逆転させ重篤な血圧降下を起こすことがある(アドレナリンはアドレナリン作動性α,β-受容体の刺激剤であり、本剤のα-受容体遮断作用により、β-受容体刺激作用が優位となり、血圧降下作用が増強される)]。
- 2.併用注意:
- [1]中枢神経抑制剤(バルビツール酸誘導体・麻酔剤等)[睡眠<催眠>・精神機能抑制の増強、麻酔効果の増強・延長、血圧降下等を起こすことがあるので、減量するなど慎重に投与すること(相互に中枢神経抑制作用を増強させることがある)]。
- [2]アルコール(飲酒)[眠気、精神運動機能低下等を起こすことがある(相互に中枢神経抑制作用を増強させることがある)]。
- [3]ドンペリドン、メトクロプラミド[内分泌機能調節異常又は錐体外路症状が発現するおそれがある(ともに中枢ドパミン受容体遮断作用を有する)]。
- [4]リチウム[心電図変化、重症の錐体外路症状、持続性のジスキネジア、突発性のSyndrome malin<悪性症候群>、非可逆性の脳障害を起こすおそれがあるので、観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には投与を中止すること(機序は不明であるが、併用による抗ドパミン作用の増強等が考えられている)]。
- [5]ドパミン作動薬(レボドパ製剤、ブロモクリプチンメシル酸塩)[相互に作用を減弱させるおそれがある(ドパミン作動性神経において、作用が拮抗することによる)]。
- [6]アドレナリン含有歯科麻酔剤(リドカイン・アドレナリン歯科麻酔剤)[重篤な血圧降下を起こすことがある(アドレナリンはアドレナリン作動性α,β-受容体の刺激剤であり、本剤のα-受容体遮断作用により、β-受容体刺激作用が優位となり、血圧降下作用が増強されるおそれがある)]。
【過量投与】
- 1.症状:過量投与時の症状は、傾眠から昏睡までの中枢神経系抑制、血圧低下と錐体外路症状である(その他、激越と情緒不安、痙攣、口渇、腸閉塞、心電図変化及び不整脈等があらわれる可能性がある)。
【適用上の注意】
- 1.薬剤交付時の注意:PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。
【その他の注意】
- 1.臨床使用に基づく情報:
- 1)本剤による治療中、原因不明の突然死が報告されている。
- 2)外国で実施された高齢認知症患者を対象とした17の臨床試験において、非定型抗精神病薬投与群はプラセボ投与群と比較して死亡率が1.6~1.7倍高かったとの報告があり、また、外国での疫学調査において、定型抗精神病薬も非定型抗精神病薬と同様に死亡率上昇に関与するとの報告がある。
- 2.非臨床試験に基づく情報:長期経口投与試験において、雌マウスで乳腺腫瘍(約30mg/kg以上)及び下垂体腫瘍(約30mg/kg以上)の、雄マウスでハーダー腺腫瘍(約29mg/kg以上)の、また雌ラットで乳腺(約5mg/kg)の腫瘍発生頻度が対照群に比し高いとの報告がある。
【取扱い上の注意】
アルミピロー包装開封後は遮光保存すること。
【保管上の注意】
室温保存。