トレドミン錠15mgの用法・用量
通常、成人には、ミルナシプラン塩酸塩として1日25mgを初期用量とし、1日100mgまで漸増し、1日2~3回に分けて食後に経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。ただし、高齢者には、1日25mgを初期用量とし、1日60mgまで漸増し、1日2~3回に分けて食後に経口投与する。
トレドミン錠15mgの効能・効果
うつ病・うつ状態。
【効能又は効果に関連する注意】
- 1.抗うつ剤の投与により、24歳以下の患者で、自殺念慮、自殺企図のリスクが増加するとの報告があるため、本剤の投与にあたっては、リスクとベネフィットを考慮すること。
- 2.本剤の有効性は、四環系抗うつ薬(ミアンセリン塩酸塩)と同等と判断されているものの、三環系抗うつ薬(イミプラミン塩酸塩)との非劣性は検証されていないため、投与に際しては、リスクとベネフィットを勘案すること。
- 3.本剤を18歳未満の大うつ病性障害患者に投与する際には適応を慎重に検討すること。
トレドミン錠15mgの副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 1.重大な副作用:
- 1)悪性症候群(Syndrome malin)(0.1%未満):無動緘黙、強度筋強剛、嚥下困難、頻脈、血圧変動、発汗等が発現し、それに引き続き発熱がみられる悪性症候群があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には、投与を中止し、体冷却、水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行うこと。
- 2)セロトニン症候群(頻度不明):激越、錯乱、発汗、幻覚、反射亢進、ミオクロヌス、戦慄、頻脈、振戦、発熱、協調異常等が認められた場合には、投与を中止し、水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行うこと。
- 3)痙攣(0.1%未満)。
- 4)白血球減少(頻度不明):血液検査等の観察を十分に行うこと。
- 5)重篤な皮膚障害(頻度不明):皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)等の重篤な皮膚障害があらわれることがあるので、発熱、紅斑、そう痒感、眼充血、口内炎等があらわれた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
- 6)抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)(頻度不明):低ナトリウム血症、低浸透圧血症、尿中ナトリウム増加、高張尿、意識障害等を伴う抗利尿ホルモン不適合分泌症候群があらわれることがあるので、食欲不振、頭痛、嘔気、嘔吐、全身倦怠感等があらわれた場合には電解質の測定を行い、異常が認められた場合には、投与を中止し、水分摂取制限等の適切な処置を行うこと。
- 7)肝機能障害(0.1%未満)、黄疸(頻度不明):AST上昇、ALT上昇、γ-GTP上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある。
- 8)高血圧クリーゼ(頻度不明):血圧の推移等に十分注意しながら投与すること。
- 2.その他の副作用:
- [1]循環器:(0.1~5%未満)起立性低血圧、頻脈、動悸、血圧上昇、(頻度不明)血圧低下、上室性頻拍。
- [2]精神神経系:(0.1~5%未満)眠気、めまい、ふらつき、立ちくらみ、頭痛、振戦、視調節障害、躁転、焦躁感、知覚減退(しびれ感等)、不眠、頭がボーッとする、筋緊張亢進、アカシジア・口部ジスキネジア・パーキンソン様症状等の錐体外路障害、不安、(0.1%未満)幻覚、せん妄、被注察感、聴覚過敏、自生思考。
- [3]過敏症:(0.1~5%未満)発疹、そう痒感。
- [4]消化器:(5%以上)悪心・嘔吐、便秘、(0.1~5%未満)口渇、腹痛、腹部膨満感、胸やけ、味覚異常、舌異常、食欲不振、食欲亢進、口内炎、下痢、(0.1%未満)飲水量増加。
- [5]肝臓:(0.1~5%未満)AST上昇、ALT上昇、γ-GTP上昇。
- [6]泌尿器:(0.1~5%未満)排尿障害、頻尿、尿蛋白陽性、(0.1%未満)尿失禁。
- [7]その他:(0.1~5%未満)倦怠感、発汗、熱感、発熱、悪寒、冷感、耳鳴、息苦しい、性機能異常(勃起力減退、射精障害、精巣痛、精液漏等)、トリグリセライド上昇、(0.1%未満)鼻閉、関節痛、浮腫、CK上昇、脱力感、胸痛、(頻度不明)脱毛。
発現頻度は使用成績調査の結果を含む。
トレドミン錠15mgの使用上の注意
【禁忌】
- 1.本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
- 2.モノアミン酸化酵素阻害剤投与中あるいは投与中止後2週間以内の患者。
- 3.尿閉(前立腺疾患等)のある患者[本剤はノルアドレナリン再取り込み阻害作用を有するため、症状を悪化させるおそれがある]。
【重要な基本的注意】
- 1.うつ症状を呈する患者は希死念慮があり、自殺企図のおそれがあるので、このような患者は投与開始早期ならびに投与量を変更する際には患者の状態及び病態の変化を注意深く観察すること。
- 2.不安、焦燥、興奮、パニック発作、不眠、易刺激性、敵意、攻撃性、衝動性、アカシジア/精神運動不穏、軽躁、躁病等があらわれることが報告されている。また、因果関係は明らかではないが、これらの症状・行動を来した症例において、基礎疾患の悪化又は自殺念慮、自殺企図、他害行為が報告されているので、患者の状態及び病態の変化を注意深く観察するとともに、不安増悪、焦燥増悪、興奮増悪、パニック発作増悪、不眠増悪、易刺激性増悪、敵意増悪、攻撃性増悪、衝動性増悪、アカシジア増悪/精神運動不穏増悪、軽躁増悪、躁病増悪等が観察された場合には、服薬量を増量せず、徐々に減量し、中止するなど適切な処置を行うこと。
- 3.自殺目的での過量服用を防ぐため、自殺傾向が認められる患者に処方する場合には、1回分の処方日数を最小限にとどめること。
- 4.家族等に自殺念慮や自殺企図、興奮、攻撃性、易刺激性等の行動の変化及び基礎疾患悪化があらわれるリスク等について十分説明を行い、医師と緊密に連絡を取り合うよう指導すること。
- 5.眠気、めまい等が起こることがあるので、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には十分注意させ、また、患者に、これらの症状を自覚した場合は自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事しないよう、指導すること。
- 6.高血圧クリーゼ、血圧上昇があらわれることがあるので、適宜血圧・脈拍数等を測定し、異常が認められた場合には、減量、休薬又は中止するなど適切な処置を行うこと。
【合併症・既往歴等のある患者】
- 1.排尿困難のある患者:本剤はノルアドレナリン再取り込み阻害作用を有するため、症状を悪化させるおそれがある。
- 2.緑内障又は眼内圧亢進のある患者:症状を悪化させるおそれがある。
- 3.心疾患のある患者:定期的に血圧・脈拍数等を測定すること(血圧上昇、頻脈等があらわれ、症状を悪化させるおそれがある)。
- 4.高血圧のある患者:定期的に血圧・脈拍数等を測定すること(高血圧クリーゼがあらわれることがある)。
- 5.てんかん等の痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者:痙攣を起こすことがある。
- 6.躁うつ病患者:躁転、自殺企図があらわれることがある。
- 7.自殺念慮又は自殺企図の既往のある患者、自殺念慮のある患者:自殺念慮、自殺企図があらわれることがある。
- 8.脳器質障害又は統合失調症素因のある患者:精神症状を増悪させることがある。
- 9.衝動性が高い併存障害を有する患者:精神症状を増悪させることがある。
【腎機能障害患者】
腎機能障害患者:投与量を減じて使用すること(外国における腎機能障害患者での体内薬物動態試験で、高い血中濃度が持続する傾向が認められている)。
【肝機能障害患者】
肝機能障害患者:高い血中濃度が持続するおそれがある。
【妊婦】
- 1)妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(ラットに経口投与した実験で、胎仔への移行(胎仔中濃度は母体血液中濃度と同程度)が報告されている)。
- 2)動物における周産期及び授乳期投与試験で、死産仔増加等が報告されている。
【授乳婦】
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(ラットに経口投与した実験で、乳汁への移行(乳汁中濃度は血漿中濃度の3倍)が報告されている)。
【小児等】
- 1)小児等を対象とした国内臨床試験は実施していない。
- 2)類薬において、海外で実施された18歳以下の大うつ病性障害(DSM-4*における分類)患者を対象としたプラセボ対照の臨床試験において有効性が確認できなかったとの報告がある。*)DSM-4:American Psychiatric Association(米国精神医学会)のDiagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders,4th edition(DSM-4精神疾患の診断・統計マニュアル)。
【高齢者】
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること(高齢者では、血中濃度が上昇し、薬物の消失が遅延する傾向が認められており、また、低ナトリウム血症、抗利尿ホルモン不適合分泌症候群は主に高齢者において報告されている)。
【相互作用】
- 1.併用禁忌:MAO阻害剤<リスデキサンフェタミンメシル酸塩・メチルチオニニウム以外>(セレギリン塩酸塩<エフピー>、ラサギリンメシル酸塩<アジレクト>、サフィナミドメシル酸塩<エクフィナ>)[他の抗うつ剤で併用により発汗、他の抗うつ剤で併用により不穏、他の抗うつ剤で併用により全身痙攣、他の抗うつ剤で併用により異常高熱、他の抗うつ剤で併用により昏睡等の症状があらわれることが報告されているので、モノアミン酸化酵素阻害剤の投与を受けた患者に本剤を投与する場合には、少なくとも2週間の間隔をおき、また、本剤からモノアミン酸化酵素阻害剤に切り替えるときは2~3日間の間隔をおくことが望ましい(主にモノアミン酸化酵素阻害剤による神経外アミン総量の増加及び抗うつ剤によるモノアミン作動性神経終末におけるアミン再取り込み阻害によると考えられている)]。
- 2.併用注意:
- [1]アルコール[他の抗うつ剤で相互に作用を増強することが報告されている(アルコールは中枢神経抑制作用を有する)]。
- [2]中枢神経抑制剤(バルビツール酸誘導体等)[相互に作用を増強するおそれがある(機序は不明)]。
- [3]降圧剤(クロニジン等)[降圧剤の作用を減弱する可能性があるので、観察を十分に行うこと(本剤のノルアドレナリン再取り込み阻害作用によると考えられる)]。
- [4]炭酸リチウム[他の抗うつ剤で併用によりセロトニン症候群があらわれることが報告されている(機序は不明)]。
- [5]5-HT1B/1D受容体作動薬(スマトリプタンコハク酸塩等)[他の抗うつ剤で併用により高血圧、他の抗うつ剤で併用により冠動脈収縮があらわれることが報告されている(本剤はセロトニン再取り込み阻害作用を有するため、併用によりセロトニン作用が増強するおそれがある)]。
- [6]リスデキサンフェタミンメシル酸塩[セロトニン症候群があらわれるおそれがある(本剤はセロトニン再取り込み阻害作用を有するため、併用によりセロトニン作用が増強するおそれがある)]。
- [7]メチルチオニニウム塩化物水和物<メチレンブルー>[セロトニン症候群があらわれるおそれがある(併用薬剤のMAO阻害作用によりセロトニン作用が増強される)]。
- [8]ジゴキシン[ジゴキシンの静脈内投与との併用により起立性低血圧、頻脈があらわれたとの報告がある(機序は不明)]。
- [9]アドレナリン、ノルアドレナリン[併用薬剤(特に注射剤)との併用により、心血管作用<血圧上昇等>を増強するおそれがある(本剤はノルアドレナリン再取り込み阻害作用を有するため、併用によりアドレナリン作用が増強するおそれがある)]。
【過量投与】
- 1.徴候・症状:外国において、本剤800mg~1gで、嘔吐、呼吸困難(無呼吸期)、頻脈がみられている。1.9~2.8gを他の薬剤と併用(特にベンゾジアゼピン系薬剤と併用)した場合、傾眠、高炭酸血症、意識障害がみられている。
- 2.処置:過量投与時、特異的な解毒剤は知られていないので、できるだけ速やかに活性炭投与等の適切な処置を行うこと。
【適用上の注意】
- 1.薬剤交付時の注意:PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。
- 2.薬剤服用時の注意:空腹時に服用すると嘔気、嘔吐が強く出現するおそれがあるので、空腹時の服用は避けさせること。
【その他の注意】
- 1.臨床使用に基づく情報:
- 1)海外で実施された大うつ病性障害等の精神疾患を有する患者を対象とした、複数の抗うつ剤の短期プラセボ対照臨床試験の検討結果において、24歳以下の患者では、自殺念慮や自殺企図の発現のリスクが抗うつ剤投与群でプラセボ群と比較して高かった。なお、25歳以上の患者における自殺念慮や自殺企図の発現のリスクの上昇は認められず、65歳以上においてはそのリスクが減少した。
- 2)主に50歳以上を対象に実施された海外の疫学調査において、選択的セロトニン再取り込み阻害剤及び三環系抗うつ剤を含む抗うつ剤を投与された患者で、骨折のリスクが上昇したとの報告がある。
【取扱い上の注意】
アルミピロー包装開封後は、湿気を避けて保存すること。本剤は湿気により変色することがある(変色したものは使用しない)。
【保管上の注意】
室温保存。