パロキセチン錠10mg「TCK」の用法・用量
〈うつ病・うつ状態〉
通常、成人には1日1回夕食後、パロキセチンとして20~40mgを経口投与する。投与は1回10~20mgより開始し、原則として1週ごとに10mg/日ずつ増量する。なお、症状により1日40mgを超えない範囲で適宜増減する。
〈パニック障害〉
通常、成人には1日1回夕食後、パロキセチンとして30mgを経口投与する。投与は1回10mgより開始し、原則として1週ごとに10mg/日ずつ増量する。なお、症状により1日30mgを超えない範囲で適宜増減する。
〈強迫性障害〉
通常、成人には1日1回夕食後、パロキセチンとして40mgを経口投与する。投与は1回20mgより開始し、原則として1週ごとに10mg/日ずつ増量する。なお、症状により1日50mgを超えない範囲で適宜増減する。
〈社会不安障害〉
通常、成人には1日1回夕食後、パロキセチンとして20mgを経口投与する。投与は1回10mgより開始し、原則として1週ごとに10mg/日ずつ増量する。なお、症状により1日40mgを超えない範囲で適宜増減する。
〈外傷後ストレス障害〉
通常、成人には1日1回夕食後、パロキセチンとして20mgを経口投与する。投与は1回10~20mgより開始し、原則として1週ごとに10mg/日ずつ増量する。なお、症状により1日40mgを超えない範囲で適宜増減する。
【用法及び用量に関連する注意】
- 1.本剤の投与量は必要最小限となるよう、患者ごとに慎重に観察しながら調節すること。
パロキセチン錠10mg「TCK」の効能・効果
- [1]うつ病・うつ状態。
- [2]パニック障害。
- [3]強迫性障害。
- [4]社会不安障害。
- [5]外傷後ストレス障害。
【効能又は効果に関連する注意】
- 1.〈効能共通〉抗うつ剤の投与により、24歳以下の患者で、自殺念慮、自殺企図のリスクが増加するとの報告があるため、本剤の投与にあたっては、リスクとベネフィットを考慮すること。
- 2.〈社会不安障害及び外傷後ストレス障害〉社会不安障害及び外傷後ストレス障害の診断は、DSM*等の適切な診断基準に基づき慎重に実施し、基準を満たす場合にのみ投与すること。*)DSM:American Psychiatric Association(米国精神医学会)のDiagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders(精神疾患の診断・統計マニュアル)。
パロキセチン錠10mg「TCK」の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 1.重大な副作用:
- 1)セロトニン症候群(頻度不明):不安、焦燥、興奮、錯乱、幻覚、反射亢進、ミオクロヌス、発汗、戦慄、頻脈、振戦等があらわれるおそれがあり、セロトニン作用薬との併用時に発現する可能性が高くなるため、特に注意すること(異常が認められた場合には、投与を中止し、水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行うこと)。
- 2)悪性症候群(頻度不明):無動緘黙、強度筋強剛、嚥下困難、頻脈、血圧変動、発汗等が発現し、それに引き続き発熱がみられる場合があり、抗精神病剤との併用時にあらわれることが多いため、特に注意し、異常が認められた場合には、抗精神病剤及び本剤の投与を中止し、体冷却、水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行うこと(本症発現時には、白血球増加や血清CK上昇がみられることが多く、また、ミオグロビン尿を伴う腎機能低下がみられることがある)。
- 3)痙攣(0.1%未満)、錯乱、幻覚、せん妄(いずれも頻度不明)。
- 4)中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、多形紅斑(いずれも頻度不明)。
- 5)抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)(頻度不明):主に高齢者において、低ナトリウム血症、痙攣等があらわれることが報告されているので、異常が認められた場合には、投与を中止し、水分摂取の制限等適切な処置を行うこと。
- 6)重篤な肝機能障害(頻度不明):肝不全、肝壊死、肝炎、黄疸等があらわれることがあるので、必要に応じて肝機能検査を行い、異常が認められた場合には、投与を中止する等適切な処置を行うこと。
- 7)横紋筋融解症(頻度不明):筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中ミオグロビン上昇及び尿中ミオグロビン上昇等があらわれた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、横紋筋融解症による急性腎障害の発症に注意すること。
- 8)白血球減少(2.4%)、血小板減少(0.1%)、汎血球減少、無顆粒球症(いずれも頻度不明):血液検査等の観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
- 9)アナフィラキシー(頻度不明):アナフィラキシー(発疹、血管性浮腫、呼吸困難等)があらわれることがある。
- 2.その他の副作用:
- [1]全身症状:(10%未満)倦怠(倦怠感)、ほてり、無力症、疲労、発熱、悪寒。
- [2]精神神経系:(10%以上)傾眠(23.6%)、めまい、(10%未満)頭痛、不眠、振戦、神経過敏、知覚減退、躁病反応、感情鈍麻、錐体外路障害、あくび、*アカシジア[*:内的な落ち着きのなさ、静坐困難/起立困難等の精神運動性激越であり、苦痛が伴うことが多く、治療開始後数週間以内に発現しやすい]、味覚異常、異常な夢(悪夢を含む)、健忘、失神、離人症、(頻度不明)激越、緊張亢進、レストレスレッグス症候群。
- [3]消化器:(10%以上)嘔気、(10%未満)便秘、食欲不振、腹痛、口渇、嘔吐、下痢、消化不良。
- [4]循環器:(10%未満)心悸亢進、一過性血圧上昇又は一過性血圧低下、起立性低血圧、頻脈。
- [5]過敏症:(10%未満)発疹、そう痒、蕁麻疹、血管性浮腫、紅斑性発疹、(頻度不明)光線過敏症。
- [6]血液:(10%未満)白血球増多、ヘモグロビン減少、ヘマトクリット値増加又はヘマトクリット値減少、赤血球減少、異常出血(皮下溢血、紫斑、胃腸出血等)。
- [7]肝臓:(10%未満)肝機能検査値異常(ALT上昇、AST上昇、γ-GTP上昇、LDH上昇、Al-P上昇、総ビリルビン上昇、ウロビリノーゲン陽性等)。
- [8]腎臓・泌尿器:(10%未満)BUN上昇、尿沈渣<赤血球・白血球>、尿蛋白、排尿困難、尿閉、尿失禁。
- [9]眼:(10%未満)霧視、視力異常、散瞳、(頻度不明)急性緑内障。
- [10]その他:(10%未満)性機能異常(射精遅延、勃起障害等)[強迫性障害患者を対象とした本邦での臨床試験において95例中6例(6.3%)に射精遅延等の性機能異常が認められた]、発汗、総コレステロール上昇、体重増加、血清カリウム上昇、総蛋白減少、乳汁漏出、末梢性浮腫、月経障害(不正子宮出血、無月経等)、(頻度不明)高プロラクチン血症。
パロキセチン錠10mg「TCK」の使用上の注意
【警告】
海外で実施した7~18歳の大うつ病性障害患者を対象としたプラセボ対照試験において有効性が確認できなかったとの報告、また、自殺に関するリスクが増加するとの報告もあるので、本剤を18歳未満の大うつ病性障害患者に投与する際には適応を慎重に検討すること。
【禁忌】
- 1.本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
- 2.MAO阻害剤投与中あるいは投与中止後2週間以内の患者。
- 3.ピモジド投与中の患者。
【重要な基本的注意】
- 1.〈効能共通〉眠気、めまい等があらわれることがあるので、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には十分注意させること。眠気、めまい等の症状は治療開始早期に多くみられている。
- 2.〈効能共通〉うつ症状を呈する患者は希死念慮があり、自殺企図のおそれがあるので、このような患者は投与開始早期ならびに投与量を変更する際には患者の状態及び病態の変化を注意深く観察すること。なお、うつ病・うつ状態以外で本剤の適応となる精神疾患においても自殺企図のおそれがあり、さらにうつ病・うつ状態を伴う場合もあるので、このような患者にも注意深く観察しながら投与すること。
- 3.〈効能共通〉不安、焦燥、興奮、パニック発作、不眠、易刺激性、敵意、攻撃性、衝動性、アカシジア/精神運動不穏、軽躁、躁病等があらわれることが報告されている。また、因果関係は明らかではないが、これらの症状・行動を来した症例において、基礎疾患の悪化又は自殺念慮、自殺企図、他害行為が報告されているので、患者の状態及び病態の変化を注意深く観察するとともに、不安増悪、焦燥増悪、興奮増悪、パニック発作増悪、不眠増悪、易刺激性増悪、敵意増悪、攻撃性増悪、衝動性増悪、アカシジア増悪/精神運動不穏増悪、軽躁増悪、躁病増悪等が観察された場合には、服薬量を増量せず、徐々に減量し、中止するなど適切な処置を行うこと。
- 4.〈効能共通〉若年成人(特に大うつ病性障害の若年成人患者)において、本剤投与中に自殺行動(自殺既遂、自殺企図)のリスクが高くなる可能性が報告されているため、これらの患者に投与する場合には注意深く観察すること。
- 5.〈効能共通〉自殺目的での過量服用を防ぐため、自殺傾向が認められる患者に処方する場合には、1回分の処方日数を最小限にとどめること。
- 6.〈効能共通〉家族等に自殺念慮や自殺企図、興奮、攻撃性、易刺激性等の行動の変化及び基礎疾患悪化があらわれるリスク等について十分説明を行い、医師と緊密に連絡を取り合うよう指導すること。
- 7.〈効能共通〉投与中止(特に突然の中止)又は減量により、めまい、知覚障害(錯感覚、電気ショック様感覚、耳鳴等)、睡眠障害(悪夢を含む)、不安、焦燥、興奮、意識障害、嘔気、振戦、錯乱、発汗、頭痛、下痢等があらわれることがあり、症状の多くは投与中止後数日以内にあらわれ、軽症から中等症であり、2週間程で軽快するが、患者によっては重症であったり、また、回復までに2、3ヵ月以上かかる場合もある。これまでに得られた情報からはこれらの症状は薬物依存によるものではないと考えられている。本剤の減量又は投与中止に際しては、次の点に注意すること。・ 〈効能共通〉突然の投与中止を避けること(投与を中止する際は、患者の状態を見ながら数週間又は数ヵ月かけて徐々に減量すること)。・ 〈効能共通〉減量又は中止する際には5mg錠の使用も考慮すること。・ 〈効能共通〉減量後又は投与中止後に耐えられない症状が発現した場合には、減量又は中止前の用量にて投与を再開し、より緩やかに減量することを検討すること。・ 〈効能共通〉患者の判断で本剤の服用を中止することのないよう十分な服薬指導をすること。また、前記のめまい、知覚障害等の症状が飲み忘れにより発現することがあるため、患者に必ず指示されたとおりに服用するよう指導すること。
- 8.〈うつ病・うつ状態〉大うつ病エピソードは、双極性障害の初発症状である可能性があり、抗うつ剤単独で治療した場合、躁転や病相の不安定化を招くことが一般的に知られている。従って、双極性障害を適切に鑑別すること。
- 9.〈外傷後ストレス障害〉外傷後ストレス障害患者においては、症状の経過を十分に観察し、本剤を漫然と投与しないよう、定期的に本剤の投与継続の要否について検討すること。
【合併症・既往歴等のある患者】
- 1.躁うつ病患者:躁転、自殺企図があらわれることがある。
- 2.自殺念慮又は自殺企図の既往のある患者、自殺念慮のある患者:自殺念慮、自殺企図があらわれることがある。
- 3.脳器質的障害又は統合失調症素因のある患者:精神症状を増悪させることがある。
- 4.衝動性が高い併存障害を有する患者:精神症状を増悪させることがある。
- 5.てんかんの既往歴のある患者:てんかん発作があらわれることがある。
- 6.緑内障患者:散瞳があらわれることがある。
- 7.出血の危険性を高める薬剤を併用している患者、出血傾向又は出血性素因のある患者:皮膚出血及び粘膜出血(胃腸出血等)が報告されている。
- 8.QT間隔延長又はその既往歴のある患者、心疾患又はその既往歴のある患者:QT間隔延長を起こすおそれがある。
【腎機能障害患者】
- 1)重度腎障害のある患者:血中濃度が上昇することがある。
【肝機能障害患者】
- 1)肝障害のある患者:血中濃度が上昇することがある。
【妊婦】
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ本剤の投与を開始すること。また、本剤投与中に妊娠が判明した場合には、投与継続が治療上妥当と判断される場合以外は、投与を中止するか、代替治療を実施すること。
- 1)海外の疫学調査において、妊娠第1三半期に本剤を投与された女性が出産した新生児では先天異常、特に心血管系異常(心室中隔欠損又は心房中隔欠損等)のリスクが増加した。このうち1つの調査では、一般集団における新生児の心血管系異常の発生率は約1%であるのに対し、パロキセチン曝露時の発生率は約2%と報告されている。
- 2)妊娠末期に本剤を投与された女性が出産した新生児において、呼吸抑制、無呼吸、チアノーゼ、多呼吸、てんかん様発作、振戦、筋緊張低下又は筋緊張亢進、反射亢進、ぴくつき、易刺激性、持続的な泣き、嗜眠、傾眠、発熱、低体温、哺乳障害、嘔吐、低血糖等の症状があらわれたとの報告があり、これらの多くは出産直後又は出産後24時間までに発現していた(なお、これらの症状は、新生児仮死あるいは薬物離脱症状として報告された場合もある)。
- 3)海外の疫学調査において、妊娠中に本剤を含む選択的セロトニン再取り込み阻害剤を投与された女性が出産した新生児において新生児遷延性肺高血圧症のリスクが増加したとの報告がある。このうち1つの調査では、妊娠34週以降に生まれた新生児における新生児遷延性肺高血圧症発生のリスク比は、妊娠早期の投与では2.4(95%信頼区間1.2-4.3)、妊娠早期及び後期の投与では3.6(95%信頼区間1.2-8.3)であった。
【授乳婦】
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(授乳婦の患者に本剤10~40mgを1日1回8日間以上反復経口投与した時、投与量の約1%が乳汁中へ移行した(外国人データ))。
【小児等】
- 1)小児等を対象とした臨床試験は実施していない(長期投与による成長への影響については検討されていない)。
- 2)海外で実施した7~18歳の大うつ病性障害患者(DSM-4における分類)を対象としたプラセボ対照の臨床試験において本剤の有効性が確認できなかったとの報告がある。また、7~18歳の大うつ病性障害、強迫性障害、社会不安障害患者を対象とした臨床試験を集計した結果、2%以上かつプラセボ群の2倍以上の頻度で報告された有害事象は次のとおりであった。・ 本剤投与中の7~18歳の大うつ病性障害、7~18歳の強迫性障害、7~18歳の社会不安障害患者:食欲減退、振戦、発汗、運動過多、敵意、激越、情動不安定(泣き、気分変動、自傷、自殺念慮、自殺企図等)なお、自殺念慮、自殺企図は主に12~18歳の大うつ病性障害患者で、また、敵意(攻撃性、敵対的行為、怒り等)は主に7~18歳の強迫性障害又は12歳未満の患者で観察された。・ 本剤減量中又は中止後の7~18歳の大うつ病性障害、7~18歳の強迫性障害、7~18歳の社会不安障害患者:神経過敏、めまい、嘔気、情動不安定(涙ぐむ、気分変動、自殺念慮、自殺企図等)、腹痛。
【高齢者】
血中濃度が上昇するおそれがあるため、十分に注意しながら投与すること。また、抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)、出血の危険性が高くなるおそれがあるので注意すること。
【相互作用】
本剤は、主として肝代謝酵素CYP2D6で代謝される。また、CYP2D6の阻害作用をもつ。
- 1.併用禁忌:
- [1]MAO阻害剤<リネゾリド・メチルチオニニウム塩化物水和物以外>(セレギリン塩酸塩<エフピー>、ラサギリンメシル酸塩<アジレクト>、サフィナミドメシル酸塩<エクフィナ>)[セロトニン症候群があらわれることがあるので、MAO阻害剤を投与中あるいは投与中止後2週間以内の患者には投与しないこと、また、本剤の投与中止後2週間以内にMAO阻害剤の投与を開始しないこと(脳内セロトニン濃度が高まると考えられている)]。
- [2]ピモジド[QT延長、心室性不整脈<torsade de pointesを含む>等の重篤な心臓血管系の副作用があらわれるおそれがある(ピモジド(2mg)との併用により、ピモジドの血中濃度が上昇したことが報告されている;本剤が肝臓の薬物代謝酵素CYP2D6を阻害することによると考えられる)]。
- 2.併用注意:
- [1]セロトニン作用を有する薬剤(炭酸リチウム、選択的セロトニン再取り込み阻害剤、トリプタン系薬剤(スマトリプタンコハク酸塩等)、セロトニン前駆物質含有製剤(L-トリプトファン含有製剤、5-ヒドロキシトリプトファン含有製剤等)又はセロトニン前駆物質含有食品(L-トリプトファン含有食品、5-ヒドロキシトリプトファン含有食品等)等、トラマドール塩酸塩、フェンタニルクエン酸塩、リネゾリド、セイヨウオトギリソウ<セント・ジョーンズ・ワート>含有食品(St.John’s Wort)等)[セロトニン症候群等のセロトニン作用による症状があらわれることがあるので、これらの薬物を併用する際には観察を十分に行うこと(相互にセロトニン作用が増強するおそれがある)]。
- [2]メチルチオニニウム塩化物水和物<メチレンブルー>[セロトニン症候群等のセロトニン作用による症状があらわれることがあるので、これらの薬物を併用する際には観察を十分に行うこと(メチルチオニニウム塩化物水和物はMAO阻害作用を有するため、セロトニン作用が増強される)]。
- [3]フェノチアジン系抗精神病剤(ペルフェナジン)[これらの抗精神病剤との併用により悪性症候群があらわれるおそれがあり、これらの薬剤の作用が増強され、過鎮静、錐体外路症状等の発現が報告されている(本剤が肝臓の薬物代謝酵素CYP2D6を阻害することにより、患者によってはこれら薬剤の血中濃度が上昇するおそれがある;ペルフェナジンとの併用により、ペルフェナジンの血中濃度が約6倍増加したことが報告されている)]。
- [4]リスペリドン[これらの抗精神病剤との併用により悪性症候群があらわれるおそれがあり、これらの薬剤の作用が増強され、過鎮静、錐体外路症状等の発現が報告されている(本剤が肝臓の薬物代謝酵素CYP2D6を阻害することにより、患者によってはこれら薬剤の血中濃度が上昇するおそれがある;リスペリドンとの併用により、リスペリドン及び活性代謝物の血中濃度が約1.4倍増加したことが報告されている)]。
- [5]三環系抗うつ剤(アミトリプチリン塩酸塩、ノルトリプチリン塩酸塩、イミプラミン塩酸塩)[これら薬剤の作用が増強されるおそれがある(本剤が肝臓の薬物代謝酵素CYP2D6を阻害することにより、患者によってはこれら薬剤の血中濃度が上昇するおそれがある)。イミプラミンと本剤の薬物相互作用試験において、併用投与により鎮静及び抗コリン作用の症状が報告されている(イミプラミンとの併用により、イミプラミンのAUCが約1.7倍増加したことが報告されている)]。
- [6]抗不整脈剤(プロパフェノン塩酸塩、フレカイニド酢酸塩)、β-遮断剤(チモロールマレイン酸塩)[これら薬剤の作用が増強されるおそれがある(本剤が肝臓の薬物代謝酵素CYP2D6を阻害することにより、患者によってはこれら薬剤の血中濃度が上昇するおそれがある)]。
- [7]β-遮断剤(メトプロロール酒石酸塩)[メトプロロールと本剤の併用投与により、重度の血圧低下が報告されている(本剤が肝臓の薬物代謝酵素CYP2D6を阻害することにより、メトプロロールの(S)-体及び(R)-体のT1/2がそれぞれ約2.1及び2.5倍、AUCがそれぞれ約5及び8倍増加したことが報告されている)]。
- [8]アトモキセチン塩酸塩[併用によりアトモキセチンの血中濃度が上昇したとの報告がある(本剤が肝臓の薬物代謝酵素CYP2D6を阻害することによると考えられる)]。
- [9]タモキシフェンクエン酸塩[タモキシフェンの作用が減弱されるおそれがあり、併用により乳癌による死亡リスクが増加したとの報告がある(本剤が肝臓の薬物代謝酵素CYP2D6を阻害することにより、タモキシフェンの活性代謝物の血中濃度が減少するおそれがある)]。
- [10]キニジン硫酸塩水和物、シメチジン[本剤の作用が増強するおそれがある(これらの薬剤の肝薬物代謝酵素阻害作用により、本剤の血中濃度が上昇するおそれがある)]。
- [11]フェニトイン、フェノバルビタール、カルバマゼピン、リファンピシン[本剤の作用が減弱するおそれがある(これらの薬剤の肝薬物代謝酵素誘導作用により、本剤の血中濃度が低下するおそれがある)]。
- [12]ホスアンプレナビルカルシウム水和物とリトナビルの併用時[本剤の作用が減弱するおそれがある(作用機序は不明であるが、ホスアンプレナビルとリトナビルとの併用時に本剤の血中濃度が約60%減少したことが報告されている)]。
- [13]ワルファリンカリウム[ワルファリンの作用が増強されるおそれがある(本剤との相互作用は認められていないが、他の抗うつ剤で作用の増強が報告されている)]。
- [14]ジゴキシン[ジゴキシンの作用が減弱されるおそれがある(健康人において、本剤との併用によるジゴキシンの血中濃度の低下が認められている)]。
- [15]止血・血液凝固を阻害する薬剤(非ステロイド性抗炎症剤、アスピリン、ワルファリンカリウム等)、出血症状の報告のある薬剤(フェノチアジン系抗精神病剤、非定型抗精神病剤、三環系抗うつ剤等)[出血傾向が増強するおそれがある(これらの薬剤を併用することにより作用が増強されることが考えられる)]。
- [16]アルコール(飲酒)[本剤服用中は、飲酒を避けることが望ましい(本剤との相互作用は認められていないが、他の抗うつ剤で作用の増強が報告されている)]。
【過量投与】
- 1.症状:外国において、本剤単独2000mgまでの、また、他剤との併用による過量投与が報告されている。過量投与後にみられる主な症状は、11.副作用の項にあげる症状の他、発熱、不随意筋収縮及び不安等である。過量投与時、飲酒の有無にかかわらず他の精神病用薬と併用した場合に、昏睡、心電図変化があらわれることがある。
【適用上の注意】
- 1.薬剤交付時の注意:PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。
【その他の注意】
- 1.臨床使用に基づく情報:
- 1)海外において、1日量10mgずつ1週間間隔で減量し20mgで1週間投与継続し中止する漸減法を実施した臨床試験を集計した結果、漸減期又は投与中止後に観察された有害事象の頻度は30%、プラセボ群は20%であった。さらに10mgまで減量する漸減法を実施した7~18歳の患者が対象の試験では本剤32%、プラセボ群24%であった。
- 2)海外で実施された大うつ病性障害等の精神疾患を有する患者を対象とした、本剤を含む複数の抗うつ剤の短期プラセボ対照臨床試験の検討結果において、24歳以下の患者では、自殺念慮や自殺企図の発現のリスクが抗うつ剤投与群でプラセボ群と比較して高かった。なお、25歳以上の患者における自殺念慮や自殺企図の発現のリスクの上昇は認められず、65歳以上においてはそのリスクが減少した。
- 3)海外で実施された精神疾患を有する成人患者を対象とした、本剤のプラセボ対照臨床試験の検討結果より、大うつ病性障害の患者において、プラセボ群と比較して本剤投与群での自殺企図の発現頻度が統計学的に有意に高かった(本剤投与群3455例中11例(0.32%)、プラセボ群1978例中1例(0.05%))。なお、本剤投与群での報告の多くは18~30歳の患者であった。
- 4)主に50歳以上を対象に実施された海外の疫学調査において、選択的セロトニン再取り込み阻害剤及び三環系抗うつ剤を含む抗うつ剤を投与された患者で、骨折のリスクが上昇したとの報告がある。
- 5)海外で実施された臨床試験において、本剤を含む選択的セロトニン再取り込み阻害剤が精子特性を変化させ、受精率に影響を与える可能性が報告されている。
【保管上の注意】
室温保存。