ダントリウム静注用20mgの用法・用量
〈麻酔時における悪性高熱症〉
通常、ダントロレンナトリウム水和物として、初回量1mg/kgを静脈内投与し、症状の改善が認められない場合には、1mg/kgずつ静脈内に追加投与する。なお、症状により適宜増減できるが、投与総量は7mg/kgまでとする。
〈悪性症候群〉
通常、成人にはダントロレンナトリウム水和物として、初回量40mgを静脈内投与し、症状の改善が認められない場合には、20mgずつ追加投与する。年齢、症状により適宜増減するが、1日総投与量は200mgまでとする。悪性症候群の場合、通常7日以内の投与とする。
〈溶液調製法〉
通常、1バイアルに日局注射用水60mLを加え、振り混ぜ、溶液が澄明になったことを確認の後、使用する。
【用法及び用量に関連する注意】
〈悪性症候群〉静脈内投与後、継続投与が必要でかつ経口投与が可能な場合には、ダントロレンナトリウム水和物カプセル剤を投与すること。
ダントリウム静注用20mgの効能・効果
- [1]麻酔時における悪性高熱症。
- [2]悪性症候群。
ダントリウム静注用20mgの副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 1.重大な副作用:
- 1)呼吸不全(0.1~5%未満):呼吸不全が疑われた場合には臨床症状及び血液ガス等のデータを参考に、呼吸管理を実施しながら本剤を投与すること。
- 2)ショック、アナフィラキシー(0.1~5%未満):顔面蒼白、血圧低下、呼吸困難等があらわれることがある。
- 3)イレウス(0.1~5%未満)。
- 2.その他の副作用:
- [1]過敏症:(0.1~5%未満)発疹。
- [2]肝臓:(5%以上)肝機能障害(AST上昇、ALT上昇、LDH上昇)。
- [3]血液:(0.1~5%未満)血小板減少。
- [4]精神神経系:(0.1~5%未満)強直性痙攣、眠気、頭痛。
- [5]消化器:(0.1~5%未満)食欲不振、悪心、嘔吐、消化管出血。
- [6]循環器:(0.1~5%未満)静脈炎、(0.1%未満)血圧低下。
- [7]呼吸器:(頻度不明)胸水貯留。
- [8]その他:(0.1~5%未満)発熱、脱力感、(0.1%未満)悪寒。
ダントリウム静注用20mgの使用上の注意
【重要な基本的注意】
- 1.〈効能共通〉投与開始後は肝機能検査(AST、ALT、アルカリフォスファターゼ、総ビリルビン等)を定期的に行うこと(なお、救命を最優先とすることから、肝機能異常がみられた場合には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ慎重に投与すること)。
- 2.〈悪性症候群〉過量にならないように注意すること(2日目40mg投与で過量のために呼吸不全を生じたとの報告がある)。
【合併症・既往歴等のある患者】
- 1.肺機能障害、特に閉塞性肺疾患の患者:本剤の筋弛緩作用により、症状が悪化するおそれがある。
- 2.心筋疾患による重篤な心機能障害の患者:本剤の筋弛緩作用により、症状が悪化するおそれがある。
- 3.筋無力症状のある患者:本剤の筋弛緩作用により、症状が悪化するおそれがある。
- 4.イレウスのある患者:本剤の筋弛緩作用により、症状が悪化するおそれがある。
【肝機能障害患者】
肝機能障害患者:肝障害を増悪させることがある。
【生殖能を有する者】
- 1)妊娠する可能性のある女性:妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後6カ月間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること。
- 2)男性:男性には、本剤投与中及び最終投与後3カ月間においてバリア法(コンドーム)を用いて避妊する必要性について説明すること。
【妊婦】
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。また妊娠13日目及び19日目の雌ラットに14C-ダントロレンナトリウム水和物1mg/kgを経口投与した際、胎仔移行することが報告されている。
【授乳婦】
授乳しないことが望ましい(分娩後14日目の雌ラットに14C-ダントロレンナトリウム水和物1mg/kgを経口投与した際、乳汁中に移行することが報告されている)。
【高齢者】
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること(一般に生理機能が低下していることが多い)。
【相互作用】
- 2.併用注意:
- [1]カルシウム拮抗剤(ベラパミル等)[高カリウム血症に伴う心室細動・循環虚脱等があらわれることがある(高カリウム血症を来すと考えられる)]。
- [2]向精神薬[呼吸中枢抑制作用を増強する可能性がある(薬理学的(呼吸中枢抑制作用)な相加作用による)]。
【適用上の注意】
- 1.薬剤調製時の注意:
- 1)本剤の溶解に際しては、日局注射用水以外を使用しないこと。
- 2)溶解後の溶液を保存する場合は、光を避け、5℃から30℃の温度条件にて保存し、6時間以内に使用すること。
- 2.薬剤投与時の注意:
- 1)本剤使用に際しては、混注を避け、単独投与すること。
- 2)本剤は、溶解時pHが高く(約9.5)、血管外に漏出した場合に壊死、腫脹、発赤等を起こすおそれがあるので、静脈内投与に際しては溶液が血管外の組織へ漏れないよう厳重に注意すること。
【その他の注意】
- 2.非臨床試験に基づく情報:
- 1)ラットを用いた30カ月間長期がん原性試験及び18カ月間慢性毒性試験において、本剤のがん原性を示唆する所見が認められたとの報告がある。
- 2)細菌を用いた復帰突然変異試験(Ames試験)において、変異原性が報告されている。また、ほ乳類培養細胞を用いた染色体異常試験において、染色体異常誘発性が報告されている。
【保管上の注意】
室温保存。