ミルリーラ注射液10mgの用法・用量
本剤は、注射液そのまま、又は必要に応じて生理食塩液、ブドウ糖注射液、乳酸リンゲル液、総合アミノ酸注射液等で希釈し、ミルリノンとして体重1kgあたり50μgを10分間かけて静脈内投与し、引き続き1分間あたり0.5μg/kgを点滴静脈内投与する。なお、点滴投与量は患者の血行動態、臨床症状に応じて1分間あたり0.25~0.75μg/kgの範囲で適宜増減できる。また、患者の状態によっては、点滴静脈内投与から開始してもよい。
【用法及び用量に関連する注意】
- 1.本剤の投与により臨床症状が改善し、患者の状態が安定した場合(急性期の状態を脱した場合)には、漫然と投与することなく他の治療方法に変更すること。投与期間は患者の反応性に応じて異なるが、48時間を超えて投与する必要が生じた場合には、血行動態及び全身状態等を十分管理しながら慎重に投与すること。なお、1日の総投与量は1.13mg/kg(承認用量の上限で24時間投与した場合に相当)を超えないこと。
- 2.本剤は腎排泄型の薬剤であり、腎機能低下している患者(慢性腎不全、糖尿病性腎症、高齢者等)では血漿中濃度が高くなるおそれがあるので、血圧、心拍数、心電図、尿量、腎機能、体液及び電解質、また可能な限り肺動脈楔入圧、心拍出量及び血液ガス等、患者の状態を十分観察しながら、点滴静脈内投与の際には1分間あたり0.25μg/kgから開始するなど過量投与にならないよう慎重に投与すること(なお、血清クレアチニン値3.0mg/dLを超える患者で、本剤の血漿中濃度が高まることが認められているので、このような患者では特に注意すること)。
ミルリーラ注射液10mgの効能・効果
次記の状態で他の薬剤を投与しても効果が不十分な場合:急性心不全。
【効能又は効果に関連する注意】
本剤は他の薬剤を投与しても効果が不十分な場合に適用を考慮すること。
ミルリーラ注射液10mgの副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 1.重大な副作用:
- 1)心室頻拍(Torsade de Pointesを含む)、心室細動、血圧低下(各0.1~5%未満)。
- 2)腎機能の悪化(頻度不明):腎機能低下している患者(慢性腎不全、糖尿病性腎症、高齢者等)では、腎機能悪化を来すことがある。
- 2.その他の副作用:
- [1]循環器:(0.1~5%未満)心房細動、心室性期外収縮、上室性期外収縮等の不整脈、頻脈、動悸。
- [2]血液:(0.1~5%未満)血小板減少。
- [3]消化器:(頻度不明)嘔吐、嘔気。
- [4]その他:(0.1~5%未満)肝機能障害、LDH上昇、ほてり感、頭痛、(頻度不明)気管支攣縮。
ミルリーラ注射液10mgの使用上の注意
【禁忌】
- 1.肥大型閉塞性心筋症のある患者[流出路閉塞が悪化する可能性がある]。
- 2.本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
【重要な基本的注意】
- 1.本剤の投与前に体液減少及び電解質の是正、呼吸管理等の必要な処置を行うこと。
- 2.本剤の投与は、血圧、心拍数、心電図、尿量、腎機能、体液及び電解質、また可能な限り肺動脈楔入圧、心拍出量及び血液ガス等、患者の状態を観察しながら行うこと。
- 3.本剤の投与によっても、期待された改善がみられない場合には投与を中止し、他剤に切り替えるなどの必要な処置を行うこと。
- 4.本剤の投与中に、過度の心拍数増加、血圧低下があらわれた場合には、過量投与の可能性があるので、このような場合には減量又は中止するなどの適切な処置を行うこと。
【合併症・既往歴等のある患者】
- 1.重篤な頻脈性不整脈のある患者:不整脈が悪化するおそれがある。
- 2.著しく血圧の低い患者:血圧がさらに低下するおそれがある。
- 3.血清カリウム低下のある患者:補正困難な場合、重篤な不整脈を来すおそれがある。
- 4.高度大動脈弁狭窄・高度僧帽弁狭窄等がある患者:本剤による改善がみられない可能性がある。
- 5.利尿剤を大量に投与されている患者:本剤に十分反応しない可能性がある。
- 6.フロセミド等のループ利尿剤投与中の患者:本剤と併用する際には注意すること(過度の利尿により低カリウム血症が生じやすいため、ジギタリスを併用している場合はジギタリスによる不整脈が生じやすくなる)。
- 7.急性心不全患者:初期投与量を減量するなど注意すること(不整脈があらわれることがあり、本剤投与によりその可能性を高めるおそれがある)。
【腎機能障害患者】
腎機能低下している患者では血漿中濃度が高くなることがある(本剤は腎排泄型の薬剤である)。
【妊婦】
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
【授乳婦】
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(動物実験(ラット:静脈内)で乳汁中への移行が認められている)。
【小児等】
小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
【高齢者】
過量投与にならないよう慎重に投与すること(腎機能が低下していることが多く、血漿中濃度が高くなるおそれがある)。
【相互作用】
- 2.併用注意:カテコラミン系の強心薬(ドパミン塩酸塩、ドブタミン塩酸塩等)、アデニル酸シクラーゼ活性化剤(コルホルシンダロパート塩酸塩)、アナグレリド塩酸塩[互いに強心作用を増強するが、不整脈の発現を助長させるおそれもあるので、必要に応じ、どちらかを減量すること(薬理学的(強心作用)な相加作用による)]。
【適用上の注意】
- 1.薬剤調製時の注意:
- 1)他の注射液と混合せずに用いることが望ましい(患者の病態に応じて、本剤の点滴静脈内投与量を調節する必要がある)。
【保管上の注意】
室温保存。