ステロネマ注腸3mgの用法・用量
通常成人は、1回1~2個(ベタメタゾンとして3~6mg)を直腸内注入する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
ステロネマ注腸3mgの効能・効果
限局性腸炎、潰瘍性大腸炎。
ステロネマ注腸3mgの副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 1.重大な副作用:
- 1)アナフィラキシー(頻度不明):呼吸困難、全身潮紅、血管浮腫、蕁麻疹等の症状があらわれることがある。
- 2)誘発感染症、感染症増悪(頻度不明):B型肝炎ウイルス増殖による肝炎があらわれることがある(異常が認められた場合には、本剤の減量を考慮し、抗ウイルス剤を投与するなど適切な処置を行うこと)。
- 3)続発性副腎皮質機能不全、糖尿病(頻度不明)。
- 4)消化管潰瘍、消化管穿孔(頻度不明)。
- 5)膵炎(頻度不明)。
- 6)精神変調、うつ状態、痙攣(頻度不明)。
- 7)骨粗鬆症、大腿骨頭無菌性壊死及び上腕骨頭無菌性壊死等の骨頭無菌性壊死、ミオパチー(頻度不明)。
- 8)緑内障、後嚢白内障(頻度不明)。
- 9)血栓症(頻度不明)。
- 10)喘息発作増悪(頻度不明)。
- 2.その他の副作用:
- [1]過敏症:(頻度不明)発疹等。
- [2]内分泌系:(頻度不明)月経異常、クッシング症候群様症状等。
- [3]消化器:(頻度不明)下痢、悪心・嘔吐、胃痛、胸やけ、腹部膨満感、口渇、食欲不振、食欲亢進等。
- [4]精神神経系:(頻度不明)多幸症、不眠、頭痛、めまい等。
- [5]投与部位:(頻度不明)局所的刺激症状(排便感増強、局所的熱感等)。
- [6]筋・骨格:(頻度不明)筋肉痛、関節痛等。
- [7]脂質・蛋白質代謝:(頻度不明)満月様顔貌、野牛肩、窒素負平衡、脂肪肝等。
- [8]体液・電解質:(頻度不明)浮腫、血圧上昇、低カリウム性アルカローシス等。
- [9]眼:(頻度不明)中心性漿液性網脈絡膜症等による網膜障害、眼球突出等。
- [10]血液:(頻度不明)白血球増多等。
- [11]皮膚:(頻度不明)ざ瘡、多毛、脱毛、皮膚色素沈着、皮下いっ血、紫斑、皮膚線条、皮膚そう痒、発汗異常、顔面紅斑、脂肪織炎等。
- [12]その他:(頻度不明)発熱、疲労感、ステロイド腎症、体重増加、精子数増減及び精子運動性増減、創傷治癒障害、皮膚菲薄化・皮膚脆弱化・結合組織菲薄化・結合組織脆弱化、しゃっくり。
ステロネマ注腸3mgの使用上の注意
【禁忌】
- 1.本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
- 2.デスモプレシン酢酸塩水和物投与中<男性における夜間多尿による夜間頻尿>の患者。
【重要な基本的注意】
- 1.本剤の投与により、誘発感染症、続発性副腎皮質機能不全、消化管潰瘍、糖尿病、精神障害等の重篤な副作用があらわれることがあるので、本剤の投与にあたっては次の注意が必要である。
- 1)投与に際しては、特に適応、症状を考慮し、他の治療法(サラゾスルファピリジン等)によって十分に治療効果が期待できる場合には、本剤を投与しないこと。
- 2)投与中は副作用の発現に対し、常に十分な配慮と観察を行い、また、患者をストレスから避けるようにし、事故、手術等の場合には増量するなど適切な処置を行うこと。
- 3)特に、本剤投与中に水痘又は麻疹に感染すると、致命的な経過をたどることがあるので、次の注意が必要である。
- (1)本剤投与前に水痘又は麻疹の既往や予防接種の有無を確認すること。
- (2)水痘又は麻疹の既往のない患者においては、水痘又は麻疹への感染を極力防ぐよう常に十分な配慮と観察を行うこと。水痘又は麻疹への感染が疑われる場合や感染した場合には、直ちに受診するよう指導し、適切な処置を講ずること。
- (3)水痘又は麻疹の既往や予防接種を受けたことがある患者であっても、本剤投与中は、水痘又は麻疹を発症する可能性があるので留意すること。
- 4)連用後、投与を急に中止すると、ときに発熱、頭痛、食欲不振、脱力感、筋肉痛、関節痛、ショック等の離脱症状があらわれることがあるので、投与を中止する場合には、徐々に減量するなど慎重に行うこと(離脱症状があらわれた場合には、直ちに再投与又は増量すること)。
- 2.本剤の長期あるいは大量投与中の患者、又は投与中止後6ヵ月以内の患者では、免疫機能が低下していることがあり、生ワクチンの接種により、ワクチン由来の感染を増強又は持続させるおそれがあるので、これらの患者には生ワクチンを接種しないこと。
- 3.連用により眼圧亢進、緑内障、後嚢白内障を来すことがあるので、定期的に検査をすることが望ましい。
- 4.褐色細胞腫の合併を認識していなかった状態でベタメタゾン製剤(注射剤)を投与した際に褐色細胞腫クリーゼを発現したとの報告がある(本剤投与後に著明な血圧上昇、頭痛、動悸等が認められた場合は、褐色細胞腫クリーゼの発現を考慮した上で適切な処置を行うこと)。
【合併症・既往歴等のある患者】
- 1.次の患者には治療上やむを得ないと判断される場合を除き投与しないこと。
- (1)有効な抗菌剤の存在しない感染症、全身の真菌症の患者:免疫抑制作用により、感染症が増悪するおそれがある。
- (2)消化性潰瘍の患者:肉芽組織増殖抑制作用により、潰瘍治癒(組織修復)が障害されることがある。
- (3)精神病の患者:大脳辺縁系の神経伝達物質に影響を与え、症状が増悪することがある。
- (4)結核性疾患の患者:免疫機能抑制作用により、症状が増悪することがある。
- (5)単純疱疹性角膜炎の患者:免疫機能抑制作用により、症状が増悪することがある。
- (6)後嚢白内障の患者:症状が増悪することがある。
- (7)緑内障の患者:眼圧の亢進により、緑内障が増悪することがある。
- (8)高血圧症の患者:電解質代謝作用により、高血圧症が増悪することがある。
- (9)電解質異常のある患者:電解質代謝作用により、電解質異常が増悪することがある。
- (10)血栓症の患者:血液凝固促進作用により、症状が増悪することがある。
- (11)最近行った内臓の手術創のある患者:創傷治癒(組織修復)が障害されることがある。
- (12)急性心筋梗塞を起こした患者:心破裂を起こしたとの報告がある。
- 2.感染症<有効な抗菌剤の存在しない感染症・全身の真菌症を除く>の患者:免疫機能抑制作用により、感染症が増悪するおそれがある。
- 3.糖尿病の患者:糖新生作用等により血糖が上昇し、糖尿病が増悪するおそれがある。
- 4.骨粗鬆症の患者:蛋白異化作用等により、骨粗鬆症が増悪するおそれがある。
- 5.甲状腺機能低下のある患者:血中半減期が延長するとの報告があり、副作用があらわれるおそれがある。
- 6.脂肪肝の患者:脂肪分解・再分布作用により、肝臓への脂肪沈着が増大し、脂肪肝が増悪するおそれがある。
- 7.脂肪塞栓症の患者:大量投与により脂肪塞栓症が起こるとの報告があり、症状が増悪するおそれがある。
- 8.重症筋無力症の患者:使用当初、一時症状が増悪するおそれがある。
- 9.B型肝炎ウイルスキャリアの患者:副腎皮質ホルモン剤を投与されたB型肝炎ウイルスキャリアの患者において、B型肝炎ウイルス増殖による肝炎があらわれることがあるので、本剤の投与期間中及び投与終了後は継続して肝機能検査値や肝炎ウイルスマーカーのモニタリングを行うなど、B型肝炎ウイルス増殖の徴候や症状の発現に注意し、異常が認められた場合には、本剤の減量を考慮し、抗ウイルス剤を投与するなど適切な処置を行うこと。なお、投与開始前にHBs抗原陰性の患者において、B型肝炎ウイルスによる肝炎を発症した症例が報告されている。
- 10.薬物に過敏な喘息、食物に過敏な喘息、添加物に過敏な喘息等の患者:他の副腎皮質ホルモン剤の投与により、気管支喘息患者の喘息発作を増悪させたとの報告がある。
- 11.褐色細胞腫又はパラガングリオーマのある患者及びその疑いのある患者:褐色細胞腫クリーゼがあらわれることがある。
【腎機能障害患者】
- 1)腎不全の患者:薬物の排泄が遅延するため、体内蓄積による副作用があらわれるおそれがある。
【肝機能障害患者】
- 1)肝硬変の患者:代謝酵素活性の低下等により、副作用があらわれやすい。
【妊婦】
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(動物実験で催奇形作用が報告されており、また、新生児に副腎不全を起こすことがある)。
【授乳婦】
治療上の有益性及び母乳栄養の有用性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
【小児等】
- 1)観察を十分に行うこと。小児等の発育抑制があらわれることがある。
- 2)長期投与した場合、頭蓋内圧亢進症状があらわれることがある。
【高齢者】
長期投与した場合、感染症の誘発、糖尿病、骨粗鬆症、高血圧症、後嚢白内障、緑内障等の副作用があらわれやすい。
【相互作用】
- 1.併用禁忌:デスモプレシン酢酸塩水和物<男性における夜間多尿による夜間頻尿><ミニリンメルト>[低ナトリウム血症が発現するおそれがある(機序不明)]。
- 2.併用注意:
- [1]バルビツール酸誘導体(フェノバルビタール)、フェニトイン、リファンピシン[本剤の作用が減弱することが報告されているので、併用する場合には用量に注意すること(バルビツール酸誘導体、フェニトイン、リファンピシンはチトクロームP-450を誘導し、本剤の代謝が促進される)]。
- [2]サリチル酸誘導体(アスピリン、アスピリンダイアルミネート、サザピリン等)[併用時に本剤を減量すると、サリチル酸中毒を起こすことが報告されているので、併用する場合には用量に注意すること(本剤はサリチル酸誘導体の腎排泄と肝代謝を促進し、血清中のサリチル酸誘導体の濃度が低下する)]。
- [3]抗凝血剤(ワルファリンカリウム)[抗凝血剤の作用を減弱させることが報告されているので、併用する場合には用量に注意すること(本剤は血液凝固促進作用がある)]。
- [4]糖尿病用薬(ビグアナイド系薬剤、スルホニルウレア剤、速効型インスリン分泌促進剤、α-グルコシダーゼ阻害剤、チアゾリジン系薬剤、DPP-4阻害剤、GLP-1受容体作動薬、SGLT2阻害剤)、インスリン製剤等[これら薬剤の作用を減弱させることが報告されているので、併用する場合には用量に注意すること(本剤は肝臓での糖新生を促進し、末梢組織での糖利用を抑制する)]。
- [5]利尿剤<カリウム保持性利尿剤を除く>(フロセミド、アセタゾラミド、トリクロルメチアジド等)[低カリウム血症があらわれることがあるので、併用する場合には用量に注意すること(本剤は尿細管でのカリウム排泄促進作用がある)]。
- [6]シクロスポリン[他の副腎皮質ホルモン剤の大量投与で、シクロスポリンの血中濃度が上昇するとの報告があるので、併用する場合には用量に注意すること(副腎皮質ホルモン剤はシクロスポリンの代謝を抑制する)]。
- [7]エリスロマイシン[本剤の作用が増強されるとの報告があるので、併用する場合には用量に注意すること(本剤の代謝が抑制される)]。
- [8]非脱分極性筋弛緩剤(パンクロニウム臭化物、ベクロニウム臭化物)[筋弛緩作用が減弱又は増強するとの報告があるので、併用する場合には用量に注意すること(機序は不明)]。
- [9]リトドリン塩酸塩[併用により肺水腫があらわれることがある(体内の水分貯留傾向が促進される)]。
【適用上の注意】
- 1.薬剤投与時の注意:直腸粘膜を傷つけるおそれがあるので、慎重に挿入すること。
【その他の注意】
- 1.臨床使用に基づく情報:
- 1)副腎皮質ホルモン剤を投与中の患者にワクチン(種痘等)を接種して神経障害、抗体反応の欠如が起きたとの報告がある。
- 2)プレドニゾロン経口製剤の投与中に、腸管嚢胞様気腫症、縦隔気腫が発現したとの報告がある。
- (ステロネマ注腸3mgの使い方)
- 本品は薬液の完全密封式構造になっている。使用の際は次記に従い、使用する。
- 1.アルミ袋のまま温湯につけ、適温(体温程度)にあたためてから容器を取り出す。
- 2.挿入する部分に潤滑剤(オリーブ油、ワセリン、グリセリン等または水)を塗ると滑らかに挿入できる。
- 3.チューブを上向きにし、アダプターを左右どちらかに1回転して開封する(回し過ぎてもアダプターがはずれる心配はない)。
- 4.左腰を下にした体位でチューブを挿入する。チューブ挿入長さの目安は5~7cmで、チューブを「赤ライン」より深く挿入すると、直腸粘膜を傷つけるおそれがあり危険である(チューブ挿入の目安は、患者ごとに変わることがあるので、医師の指示に従う)。チューブ先端には挿入長さの目安となる目盛が印字されている。赤色のラインは挿入の注意・危険ゾーンを示している。
[正しい注入の仕方]
容器後方部を高くしながら添付文書の図のように容器を持ちゆっくりと注入する。容器のアダプター側を強く押さえると薬液がもれる場合がある。
[(必要に応じて)体位変換]
必要に応じて体位変換を行う。
【保管上の注意】
室温保存。