Dドライ透析剤2.5Sの組成・成分
A剤(2670.4g中)
塩化ナトリウム:1969.8g
塩化カリウム:47.0g
塩化カルシウム水和物:57.9g
塩化マグネシウム(6水塩):32.0g
無水酢酸ナトリウム:206.7g
氷酢酸:42.0g
ブドウ糖:315.0g
B剤(661.6g中)
炭酸水素ナトリウム:661.6g
Dドライ透析剤2.5Sの用法・用量
A剤を水に溶かし9Lとする(A液)。別にB剤を水に溶かし、11.34Lとする(B液)。このA液及びB液を、A液:B液:水=1:1.26:32.74の比率で希釈・調製する重炭酸型透析液供給装置を用いて血液透析を行う灌流液とする。用量は透析時間により異なるが、灌流液として150~300Lを用いる。
Dドライ透析剤2.5Sの効能・効果
慢性腎不全における透析型人工腎臓の灌流液として、活性型ビタミンD3剤やカルシウム剤の投与などによる高カルシウム血症の場合であって、次の要因を持つものに用いる:重炭酸濃度の高い重炭酸型透析液では、過度のアルカローシスを起こす恐れのある場合、無糖の透析液では、血糖値管理の困難な場合、カリウム、マグネシウム濃度の高い透析液では、高カリウム血症、高マグネシウム血症の改善が不十分な場合。
Dドライ透析剤2.5Sの副作用
本剤は、使用成績調査等の副作用発生頻度が明確となる調査を実施していない。
透析療法により起こす恐れのある次記の症状に対してそれぞれ適切な処置を行う。
- 1.循環器:
- 1)血圧低下、ショック症状(循環血液量の急激な減少による)[透析を中止するか又は透析効率を下げ、輸液剤、昇圧剤の投与等を行う]。
- 2)血圧上昇[降圧剤の投与等を行う]。
- 2.カルシウム代謝異常:
- 1)低カルシウム血症による筋痙攣、血圧低下、気分不快等[カルシウム濃度の高い透析液への変更、又は活性型ビタミンD3製剤やカルシウム製剤の投与等を行う(なお、血清カルシウム濃度及び血清リン濃度の管理を十分に行う)]。
- 2)骨粗鬆症、骨軟化症、線維性骨炎などの骨合併症[活性型ビタミンD3製剤の投与等を行う]。
- 3)異所性石灰沈着症[リン吸着剤の投与又は食事療法などにより血清リン濃度を正常範囲内に維持する等の処置を行う]。
- 3.血糖:
- 1)低血糖[ブドウ糖注射液の投与、糖分の補給等を行う]。
- 2)高血糖[ブドウ糖を含まない透析液による透析等を行う]。
- 4.体重・血圧:体重増加、血圧上昇傾向(口渇感増強などによる水分摂取増加)[除水量の調節により、体重のコントロールを行う]。
- 5.不均衡症候群:頭痛、悪心、嘔吐、筋痙攣、意識混濁、気分不快、倦怠等[透析効率を下げる等の処置を行う]。
Dドライ透析剤2.5Sの使用上の注意
【慎重投与】
- 1.高度肝障害による酢酸代謝障害又は重症糖尿病による酢酸代謝障害などのある患者(酢酸による末梢血管拡張作用、心機能抑制作用により、血圧低下等の症状が現れる恐れがある)。
- 2.ジギタリス配糖体製剤投与中の患者(血清カリウム値低下によるジギタリス中毒発症の恐れがある)。
【重要な基本的注意】
本剤は、慢性腎不全に対する通常の血液透析に使用するが、次の事項を考慮して使用する。
- 1.本剤は炭酸水素ナトリウムを含む製剤(使用時HCO3-:25.0mEq/L)であるので、重炭酸濃度の高い重炭酸型透析液では、過度のアルカローシスを起こす恐れのある場合に使用する。
- 2.本剤はブドウ糖を含む製剤(使用時:100mg/dL)であるので、ブドウ糖を含まない透析液では、透析中血糖値の急激な低下等、良好な血糖コントロールの困難な場合に使用する。
- 3.本剤は、カリウム、カルシウム、マグネシウム濃度の低い製剤であるので、次のような場合に使用する、1)カリウム、マグネシウム濃度の高い透析液では高カリウム血症、高マグネシウム血症の改善が不十分な場合に使用する、2)活性型ビタミンD3製剤などの薬剤の使用中で、血液透析による多量のカルシウム負荷を必要とせず、カルシウム濃度の高い透析液では、高カルシウム血症を起こす場合に使用する、3)リン吸着剤として経口カルシウム製剤を使用することにより、高カルシウム血症を起こす場合に使用する。
- 4.長期使用する場合には、骨代謝異常が現れることがあるので、定期的に臨床検査(生化学検査、X線検査など)を行い、活性型ビタミンD3製剤投与などの適切な処置を行う。
- 5.アルミニウム骨症の患者は、骨塩量が低下することがあるので、骨塩量を定期的に測定し、低下する場合はカルシウム濃度3.0mEq/L以上の透析液を用いる。
【高齢者への投与】
使用にあたっては、他の患者と同様に本剤の特性に十分留意し、長期使用する場合には、骨代謝異常が現れることがあるので、定期的に臨床検査(生化学検査、X線検査など)を行い、活性型ビタミンD3製剤投与などの適切な処置を行う。また、アルミニウム骨症の高齢者は、骨塩量が低下することがあるので、骨塩量を定期的に測定し、低下する場合はカルシウム濃度3.0mEq/L以上の透析液を用いる。
【妊婦・産婦・授乳婦等への投与】
妊娠中の使用に関する安全性は確立していないので、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ使用する。
【小児等への投与】
未熟児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない(使用経験がない)。
【適用上の注意】
- 1.透析用水:透析用水の水質は、(一社)日本透析医学会が定める最新の透析液水質基準を参照する。
- 2.溶解希釈時:
- 1)溶解希釈時は、特に次の事項に注意する。
- (1)A剤(電解質・ブドウ糖)及びB剤(炭酸水素ナトリウム)は、各々1瓶単位で使用し、分割使用しない。
- (2)A剤及びB剤は、各々単独では使用しない。
- (3)A剤とB剤は、同時に混合して溶解しない。
- (4)溶解したA剤とB剤は、濃厚溶液の状態で直接混合しない。
- 2)定められた希釈液として調製する。希釈・調製後の濃度が不正確な場合は、次のような症状を起こすことがあるので注意する。
- 濃度が高すぎた場合:頭痛、心悸亢進、血圧上昇、意識障害、急性代謝性アルカローシス、筋痙攣、呼吸抑制、悪心、嘔吐。
- 濃度が低すぎた場合:四肢のしびれ感、全身倦怠、胸内苦悶、急激な血圧低下、意識障害、悪心、嘔吐。
- 特にB剤の希釈・調製後の濃度が高すぎた場合は、急性代謝性アルカローシスを起こし、テタニー、意識障害、精神障害、呼吸抑制、悪心、嘔吐などが現れることがある。
- 3)使用前に透析液の電解質濃度を測定し、それらが適正であることを確認する。また、透析液のpHは透析用水等の影響で若干の変動があり得るので、使用前にpH7.2~7.4の範囲にあることを確認する。
- 4)残液は使用しない。
- 5)本剤は用時調製用の製剤であり、希釈調製後の透析液はすみやかに使用する。
- 6)透析液の浸透圧比が0.9~1.0の範囲にあることを確認する。浸透圧比は生理食塩液の浸透圧(286mOsm)に対する透析液の浸透圧測定値の比から求める。
- 1)溶解希釈時は、特に次の事項に注意する。
- 3.使用時:
- 1)本剤は、注射又は腹膜灌流に用いない。
- 2)透析患者の血清浸透圧は、高窒素血症のため高値を示すのが普通であるから、血液側の陽圧によって、透析液浸透圧とのバランスを保つ。
- 3)使用に際しては、体温程度に温める。
- 4)透析液中の沈殿の有無を透析器前の透析液回路で確認し、沈殿を生じた透析液は使用しない。
- 5)本剤の使用に際しては、定期的に血液検査(電解質、酸塩基平衡、尿素窒素、クレアチニン、尿酸、血糖など)を行う。