グリクラジド錠40mg「NP」の用法・用量
グリクラジドとして、通常成人では1日40mgより開始し、1日1~2回(朝または朝夕)食前又は食後に経口投与する。維持量は通常1日40~120mgであるが、160mgを超えないものとする。
グリクラジド錠40mg「NP」の効能・効果
インスリン非依存型糖尿病(成人型糖尿病)(ただし、食事療法・運動療法のみで十分な効果が得られない場合に限る)。
グリクラジド錠40mg「NP」の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 1.重大な副作用:
- 1)低血糖(1.9%):脱力感、高度空腹感、発汗等(初期症状として)が、また、心悸亢進、振戦、頭痛、知覚異常、不安、興奮、神経過敏、集中力低下、精神障害、意識障害、痙れん等があらわれることがある(なお、徐々に進行する低血糖では、精神障害、意識障害等が主である場合があるので注意すること)。低血糖症状が認められた場合には、糖質を含む食品を摂取するなど適切な処置を行うこと。ただし、α-グルコシダーゼ阻害剤との併用により低血糖症状が認められた場合にはブドウ糖を投与すること。
- 2)無顆粒球症(0.1%未満)。
- 3)肝機能障害、黄疸(0.1%未満):AST上昇、ALT上昇、ALP上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある。
- 2.その他の副作用:
- [1]血液:(0.1%未満)貧血、白血球減少、(頻度不明)血小板減少。
- [2]肝臓:(0.1~5%未満)AST上昇、ALT上昇、ALP上昇。
- [3]腎臓:(0.1%未満)BUN上昇、(頻度不明)血清クレアチニン上昇。
- [4]消化器:(0.1~5%未満)悪心、嘔吐、食欲不振、(0.1%未満)胃膨満感、便秘、下痢、腹痛。
- [5]過敏症:(0.1~5%未満)皮膚そう痒感、発疹、(0.1%未満)光線過敏症。
- [6]その他:(0.1~5%未満)頭重、めまい、(0.1%未満)頭痛、熱感、(頻度不明)脱毛。
発現頻度は使用成績調査を含む。
グリクラジド錠40mg「NP」の使用上の注意
【警告】
重篤かつ遷延性の低血糖を起こすことがあるので、用法及び用量、使用上の注意に特に留意すること。
【禁忌】
- 1.重症ケトーシス、糖尿病性昏睡又は糖尿病性前昏睡、インスリン依存型糖尿病の患者[インスリンの適用である]。
- 2.重篤な肝機能障害又は重篤な腎機能障害のある患者[低血糖を起こすおそれがある]。
- 3.重症感染症、手術前後、重篤な外傷のある患者[インスリンの適用である]。
- 4.下痢、嘔吐等の胃腸障害のある患者[低血糖を起こすおそれがある]。
- 5.本剤の成分又はスルホンアミド系薬剤に対し過敏症の既往歴のある患者。
- 6.妊婦又は妊娠している可能性のある女性。
【重要な基本的注意】
- 1.投与する場合には、少量より開始し、血糖、尿糖を定期的に検査し、薬剤の効果を確かめ、効果が不十分な場合には、速やかに他の治療法への切り替えを行うこと。
- 2.重篤かつ遷延性の低血糖を起こすことがあるので、高所作業、自動車の運転等に従事している患者に投与するときには注意すること。
- 3.本剤の使用にあたっては、患者及びその家族に対し低血糖症状及びその対処方法について十分説明すること。
【合併症・既往歴等のある患者】
低血糖を起こすおそれのある次の患者又は状態。・ 脳下垂体機能不全又は副腎機能不全。・ 栄養不良状態、飢餓状態、不規則な食事摂取、食事摂取量不足又は衰弱状態。・ 激しい筋肉運動。・ 過度のアルコール摂取者。
【腎機能障害患者】
- 1)重篤な腎機能障害のある患者:投与しないこと(低血糖を起こすおそれがある)。
- 2)腎機能障害<重篤な腎機能障害を除く>患者:低血糖を起こすおそれがある。
- 3)血液透析中の患者:慢性透析を施行中の糖尿病患者10例において、朝食前にグリクラジドを投与後、午前中に透析を開始し、その透析前後のグリクラジド血中濃度を測定したところ、透析前は1.97μg/mL、透析後は1.79μg/mLであり、9.1%の低下が認められた。
【肝機能障害患者】
- 1)重篤な肝機能障害のある患者:投与しないこと(低血糖を起こすおそれがある)。
- 2)肝機能障害<重篤な肝機能障害を除く>患者:低血糖を起こすおそれがある。
【妊婦】
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと(スルホニル尿素系薬剤は胎盤を通過することが報告されており、新生児の低血糖、また、巨大児が認められている)。
【授乳婦】
授乳中の女性に投与する場合には、治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(他のスルホニル尿素系薬剤で母乳中への移行が報告されている)。
【小児等】
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
【高齢者】
少量から投与を開始し、定期的に検査を行うなど慎重に投与すること(高齢者では、生理機能が低下していることが多く、低血糖があらわれやすい)。
【相互作用】
- 2.併用注意:
- 1)血糖降下作用を増強する薬剤:
- [1]糖尿病用薬(インスリン製剤、ビグアナイド系薬剤、チアゾリジン系薬剤、α-グルコシダーゼ阻害剤、DPP-4阻害剤、GLP-1受容体作動薬、SGLT2阻害剤、イメグリミン塩酸塩等)[<臨床症状>血糖降下作用の増強による低血糖症状が起こることがある;<措置方法>併用する場合には、血糖値その他患者の状態を十分観察し、必要に応じて本剤又は併用薬剤の投与量を調節するなど慎重に投与すること(これらの薬剤の血糖降下作用による)]。
- [2]ピラゾロン系消炎剤(ケトフェニルブタゾン等)[<臨床症状>血糖降下作用の増強による低血糖症状が起こることがある;<措置方法>併用する場合には、血糖値その他患者の状態を十分観察し、必要に応じて本剤又は併用薬剤の投与量を調節するなど慎重に投与すること(ピラゾロン系消炎剤によるスルホニル尿素系薬剤の蛋白結合の阻害、肝代謝の抑制、腎排泄の抑制が考えられている)]。
- [3]サルファ剤(スルファメトキサゾール等)[<臨床症状>血糖降下作用の増強による低血糖症状が起こることがある;<措置方法>併用する場合には、血糖値その他患者の状態を十分観察し、必要に応じて本剤又は併用薬剤の投与量を調節するなど慎重に投与すること(サルファ剤によるスルホニル尿素系薬剤の蛋白結合の阻害、肝代謝の抑制等が考えられている)]。
- [4]サリチル酸剤(アスピリン、サザピリン等)[<臨床症状>血糖降下作用の増強による低血糖症状が起こることがある;<措置方法>併用する場合には、血糖値その他患者の状態を十分観察し、必要に応じて本剤又は併用薬剤の投与量を調節するなど慎重に投与すること(サリチル酸剤によるスルホニル尿素系薬剤の蛋白結合の阻害、サリチル酸剤の血糖降下作用が考えられている)]。
- [5]クロフィブラート、ベザフィブラート[<臨床症状>血糖降下作用の増強による低血糖症状が起こることがある;<措置方法>併用する場合には、血糖値その他患者の状態を十分観察し、必要に応じて本剤又は併用薬剤の投与量を調節するなど慎重に投与すること(これらの薬剤によるスルホニル尿素系薬剤の蛋白結合の阻害又は腎排泄の抑制、インスリン抵抗性の減弱等が考えられている)]。
- [6]クマリン系薬剤(ワルファリン)、クロラムフェニコール、ミコナゾール、フルコナゾール[<臨床症状>血糖降下作用の増強による低血糖症状が起こることがある;<措置方法>併用する場合には、血糖値その他患者の状態を十分観察し、必要に応じて本剤又は併用薬剤の投与量を調節するなど慎重に投与すること(これらの薬剤によるスルホニル尿素系薬剤の肝代謝の抑制が考えられている)]。
- [7]プロベネシド[<臨床症状>血糖降下作用の増強による低血糖症状が起こることがある;<措置方法>併用する場合には、血糖値その他患者の状態を十分観察し、必要に応じて本剤又は併用薬剤の投与量を調節するなど慎重に投与すること(プロベネシドによるスルホニル尿素系薬剤の腎排泄の抑制が考えられている)]。
- [8]ジヒドロエルゴタミン製剤[<臨床症状>血糖降下作用の増強による低血糖症状が起こることがある;<措置方法>併用する場合には、血糖値その他患者の状態を十分観察し、必要に応じて本剤又は併用薬剤の投与量を調節するなど慎重に投与すること(ジヒドロエルゴタミン製剤によるスルホニル尿素系薬剤のインスリン分泌作用の促進が考えられている)]。
- [9]ジソピラミド、シベンゾリン、ピルメノール[<臨床症状>血糖降下作用の増強による低血糖症状が起こることがある;<措置方法>併用する場合には、血糖値その他患者の状態を十分観察し、必要に応じて本剤又は併用薬剤の投与量を調節するなど慎重に投与すること(これらの薬剤によるインスリン分泌の促進等が考えられている)]。
- [10]β遮断剤(プロプラノロール、ピンドロール等)[<臨床症状>血糖降下作用の増強による低血糖症状が起こることがある;<措置方法>併用する場合には、血糖値その他患者の状態を十分観察し、必要に応じて本剤又は併用薬剤の投与量を調節するなど慎重に投与すること(特にβ遮断剤と併用する場合にはプロプラノロール等の非選択性β遮断剤は避けることが望ましい)(機序は不明であるが、アドレナリンを介した低血糖からの回復の抑制、低血糖時の交感神経症状(心悸亢進等)の不顕性化等が考えられている)]。
- [11]モノアミン酸化酵素阻害剤[<臨床症状>血糖降下作用の増強による低血糖症状が起こることがある;<措置方法>併用する場合には、血糖値その他患者の状態を十分観察し、必要に応じて本剤又は併用薬剤の投与量を調節するなど慎重に投与すること(機序は不明であるが、モノアミン酸化酵素阻害剤によるインスリン分泌の促進、肝での糖新生抑制が考えられている)]。
- [12]三環系抗うつ剤(イミプラミン、ノルトリプチリン等)[<臨床症状>血糖降下作用の増強による低血糖症状が起こることがある;<措置方法>併用する場合には、血糖値その他患者の状態を十分観察し、必要に応じて本剤又は併用薬剤の投与量を調節するなど慎重に投与すること(機序は不明であるが、三環系抗うつ剤による低血糖に対する反応の変化、末梢でのインスリン感受性促進が考えられている)]。
- [13]テトラサイクリン系抗生物質(テトラサイクリン、ドキシサイクリン等)、クラリスロマイシン[<臨床症状>血糖降下作用の増強による低血糖症状が起こることがある;<措置方法>併用する場合には、血糖値その他患者の状態を十分観察し、必要に応じて本剤又は併用薬剤の投与量を調節するなど慎重に投与すること(機序は不明である)]。
- 2)血糖降下作用を減弱する薬剤:
- [1]アドレナリン[<臨床症状>血糖降下作用の減弱による高血糖症状(嘔気・嘔吐、脱水、呼気のアセトン臭等)が起こることがある;<措置方法>併用する場合は、血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(アドレナリンによる末梢でのブドウ糖の取り込み抑制、肝での糖新生促進、インスリン分泌の抑制が考えられている)]。
- [2]副腎皮質ホルモン[<臨床症状>血糖降下作用の減弱による高血糖症状(嘔気・嘔吐、脱水、呼気のアセトン臭等)が起こることがある;<措置方法>併用する場合は、血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(副腎皮質ホルモンによる肝での糖新生促進、末梢でのインスリン感受性低下等が考えられている)]。
- [3]甲状腺ホルモン(乾燥甲状腺、リオチロニン、レボチロキシン)[<臨床症状>血糖降下作用の減弱による高血糖症状(嘔気・嘔吐、脱水、呼気のアセトン臭等)が起こることがある;<措置方法>併用する場合は、血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(甲状腺ホルモンによる腸管でのブドウ糖吸収促進、肝での糖新生促進等が考えられている)]。
- [4]利尿剤(トリクロルメチアジド、ヒドロクロロチアジド、フロセミド等)[<臨床症状>血糖降下作用の減弱による高血糖症状(嘔気・嘔吐、脱水、呼気のアセトン臭等)が起こることがある;<措置方法>併用する場合は、血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(利尿剤によるインスリン分泌抑制、末梢でのインスリン感受性低下等が考えられている)]。
- [5]フェニトイン[<臨床症状>血糖降下作用の減弱による高血糖症状(嘔気・嘔吐、脱水、呼気のアセトン臭等)が起こることがある;<措置方法>併用する場合は、血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(フェニトインによるインスリン分泌抑制が考えられている)]。
- [6]リファンピシン[<臨床症状>血糖降下作用の減弱による高血糖症状(嘔気・嘔吐、脱水、呼気のアセトン臭等)が起こることがある;<措置方法>併用する場合は、血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(リファンピシンによるスルホニル尿素系薬剤の肝代謝の促進が考えられている)]。
- [7]イソニアジド、ニコチン酸[<臨床症状>血糖降下作用の減弱による高血糖症状(嘔気・嘔吐、脱水、呼気のアセトン臭等)が起こることがある;<措置方法>併用する場合は、血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(これらの薬剤による血糖上昇作用が考えられている)]。
- [8]卵胞ホルモン(エチニルエストラジオール、エストリオール等)[<臨床症状>血糖降下作用の減弱による高血糖症状(嘔気・嘔吐、脱水、呼気のアセトン臭等)が起こることがある;<措置方法>併用する場合は、血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(機序は不明であるが、卵胞ホルモンによるコルチゾール分泌変化、組織での糖利用変化、成長ホルモンの過剰産生、肝機能の変化、末梢でのインスリン感受性低下等が考えられている)]。
- [9]フェノチアジン系薬剤(クロルプロマジン等)[<臨床症状>血糖降下作用の減弱による高血糖症状(嘔気・嘔吐、脱水、呼気のアセトン臭等)が起こることがある;<措置方法>併用する場合は、血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(機序は不明であるが、クロルプロマジンによるインスリン分泌抑制、副腎からのアドレナリン遊離が考えられている)]。
- [10]ピラジナミド[<臨床症状>血糖降下作用の減弱による高血糖症状(嘔気・嘔吐、脱水、呼気のアセトン臭等)が起こることがある;<措置方法>併用する場合は、血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(機序は不明である)]。
- 1)血糖降下作用を増強する薬剤:
【過量投与】
- 1.症状:過量投与時、低血糖が起こる。
- 2.処置:
- 1)過量投与時、意識障害がない場合。
- 2)過量投与時、意識障害がある場合:ブドウ糖液を静脈内注射する。
- 3)その他:過量投与時、血糖上昇ホルモンとしてのグルカゴン投与も有効である。
【適用上の注意】
- 1.薬剤交付時の注意:PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。
【その他の注意】
- 1.臨床使用に基づく情報:
- 1)スルホニル尿素系薬剤(トルブタミド1日1.5g)を長期間継続投与した場合、食事療法単独の場合と比較して心臓・血管系障害による死亡率が有意に高かったとの報告がある。
- 2)インスリン又は経口血糖降下剤の投与中にアンジオテンシン変換酵素阻害剤を投与することにより、低血糖が起こりやすいとの報告がある。
【保管上の注意】
室温保存。