ザルトラップ点滴静注100mgの用法・用量
イリノテカン塩酸塩水和物、レボホリナート及びフルオロウラシルとの併用において、通常、成人には2週間に1回、アフリベルセプト ベータ(遺伝子組換え)として1回4mg/kg(体重)を60分かけて点滴静注する。なお、患者の状態により適宜減量する。
【用法及び用量に関連する注意】
本剤投与により副作用が発現した場合には、次の基準を参考に本剤を休薬・減量・中止すること。
- 1.好中球減少:1500/mm3以上に回復するまで休薬する。
- 2.血小板減少:75000/mm3以上に回復するまで休薬する。
- 3.高血圧:
- [1]Grade2の高血圧の場合:投与を継続し、降圧剤による治療を行う。
- [2]Grade3の高血圧の場合:150/100mmHg(高血圧を合併する場合は収縮期血圧180mmHg)以下に回復するまで休薬し、降圧剤による治療を行う[①2週間以内に回復した場合、1回目は減量せず投与し、2回目は2mg/kgに減量する、②2週間を超え4週間以内に回復した場合、2mg/kgに減量する、③4週間以内に回復しない場合及び2mg/kgに減量しても再発した場合、投与を中止する]。
- [3]Grade4の高血圧又は高血圧に伴う臓器障害が認められた場合:投与を中止する。
- GradeはNCI-CTCAE ver.3.0に準じる。。
- 4.尿蛋白:
- [1]1<UPCR≦2で、血尿が認められない場合:
- ①.1<UPCR≦2で血尿が認められない場合:a.今回の投与を継続する、b.今回投与後の尿蛋白量(最高値)<3.5g/日で次回投与直近の尿蛋白量≦2g/日:投与を継続する、c.次々回投与直近の尿蛋白量≦2g/日:投与を継続する。
- ②.1<UPCR≦2で血尿が認められない場合:a.今回の投与を継続する、b.今回投与後の尿蛋白量(最高値)<3.5g/日で次回投与直近の尿蛋白量>2g/日:休薬する、c.次々回投与直近の尿蛋白量≦2g/日:2mg/kgに減量する、次々回投与直近の尿蛋白量>2g/日:投与を中止する(2mg/kgに減量しても再発した場合は投与を中止する)。
- ③.1<UPCR≦2で血尿が認められない場合:a.今回の投与を継続する、b.今回投与後の尿蛋白量(最高値)≧3.5g/日で次回投与直近の尿蛋白量≦2g/日:2mg/kgに減量する、c.次々回投与直近の尿蛋白量≦2g/日:2mg/kgに減量する(2mg/kgに減量しても再発した場合は投与を中止する)。
- ④.1<UPCR≦2で血尿が認められない場合:a.今回の投与を継続する、b.今回投与後の尿蛋白量(最高値)≧3.5g/日で次回投与直近の尿蛋白量>2g/日かつ≦3.5g/日:休薬する、c.次々回投与直近の尿蛋白量≦2g/日:2mg/kgに減量する、次々回投与直近の尿蛋白量>2g/日:投与を中止する(2mg/kgに減量しても再発した場合は投与を中止する)。
- ⑤.1<UPCR≦2で血尿が認められない場合:a.今回の投与を継続する、b.今回投与後の尿蛋白量(最高値)≧3.5g/日で次回投与直近の尿蛋白量>3.5g/日:投与を中止する。
- [2]1<UPCR≦2で、血尿が認められる場合、UPCR>2の場合:
- ①.1<UPCR≦2で血尿が認められる場合、UPCR>2の場合:a.今回の投与を休薬する、b.次回投与直近の尿蛋白量≦2g/日:投与を継続する、c.次々回投与直近の尿蛋白量≦2g/日:投与を継続する。
- ②.1<UPCR≦2で血尿が認められる場合、UPCR>2の場合:a.今回の投与を休薬する、b.次回投与直近の尿蛋白量>2g/日かつ≦3.5g/日:休薬する、c.次々回投与直近の尿蛋白量≦2g/日:2mg/kgに減量する、次々回投与直近の尿蛋白量>2g/日:投与を中止する(2mg/kgに減量しても再発した場合は投与を中止する)。
- ③.1<UPCR≦2で血尿が認められる場合、UPCR>2の場合:a.今回の投与を休薬する、b.次回投与直近の尿蛋白量>3.5g/日:投与を中止する。
- [3]2mg/kgに減量しても尿蛋白が再発した場合:投与を中止する。
- [4]ネフローゼ症候群、血栓性微小血管症:投与を中止する。
- 投与前の尿中蛋白/クレアチニン比(UPCR)に基づき、前記を参考に対応する。UPCRが1を超える場合、次回は1日尿蛋白量に基づき判断する。。
- [1]1<UPCR≦2で、血尿が認められない場合:
- 5.Infusion reaction:
- [1]軽度及び中等度Infusion reaction:直ちに投与を中断し、回復した場合、投与を再開する。
- [2]重度Infusion reaction:直ちに投与を中止する。
。
ザルトラップ点滴静注100mgの効能・効果
治癒切除不能な進行・再発の結腸癌、治癒切除不能な進行・再発の直腸癌。
【効能又は効果に関連する注意】
- 1.本剤の術後補助化学療法における有効性及び安全性は確立していない。
- 2.本剤の一次化学療法における有効性及び安全性は確立していない。
ザルトラップ点滴静注100mgの副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 1.重大な副作用:
- 1)出血(31.1%):消化管出血(6.2%)、血尿(0.7%)、術後出血(頻度不明)、鼻出血(25.7%)、頭蓋内出血(頻度不明)、肺出血(頻度不明)、喀血(0.9%)等があらわれることがあり、死亡に至る例も報告されている。
- 2)消化管穿孔(頻度不明):死亡に至る例も報告されている。
- 3)瘻孔(0.9%)。
- 4)高血圧(37.4%)、高血圧クリーゼ(頻度不明)。
- 5)ネフローゼ症候群(0.3%)、蛋白尿(11.9%)。
- 6)好中球減少症(42.6%)、発熱性好中球減少症(3.7%)。
- 7)重度下痢(17.1%*)。
- 8)Infusion reaction(15.8%):気管支痙攣、呼吸困難、血管浮腫及びアナフィラキシー等のinfusion reactionがあらわれることがある。
- 9)創傷治癒遅延(頻度不明):創離開、縫合不全(いずれも頻度不明)等の創傷治癒遅延による合併症があらわれることがあるので、創傷治癒遅延による合併症が認められた場合には創傷が治癒するまで本剤の投与を中止し、適切な処置を行うこと。
- 10)可逆性後白質脳症症候群(頻度不明):可逆性後白質脳症症候群(症状:痙攣発作、頭痛、精神状態変化、視覚障害等)があらわれることがある。
- 11)動脈血栓塞栓症(2.1%):一過性脳虚血発作(0.3%)、脳卒中(0.1%)、狭心症(0.3%)、心臓内血栓(0.1%)、心筋梗塞(0.1%)、動脈塞栓症(0.1%)等があらわれることがある。
- 12)静脈血栓塞栓症(7.6%):深部静脈血栓症(2.1%)、肺塞栓症(3.6%)等があらわれることがある。
- 13)血栓性微小血管症(0.4%):破砕赤血球を伴う貧血、血小板減少、腎機能障害等が認められた場合には本剤の投与を中止し、適切な処置を行うこと。
- 14)動脈解離(頻度不明):大動脈解離を含む動脈解離があらわれることがある。
- 2.その他の副作用:
- [1]血液:(5%未満)血小板減少症、白血球減少症。
- [2]神経系障害:(5%以上)頭痛。
- [3]呼吸器:(5%以上)発声障害、(5%未満)口腔咽頭痛、鼻漏。
- [4]消化器:(5%以上)上腹部痛、食欲減退、下痢、口内炎、腹痛、(5%未満)アフタ性口内炎、肛門周囲痛、歯痛、虚血性大腸炎、痔核。
- [5]皮膚:(5%以上)手掌・足底発赤知覚不全症候群、皮膚色素過剰。
- [6]泌尿器:(5%未満)血清クレアチニン上昇。
- [7]肝臓:(5%未満)AST上昇、ALT上昇。
- [8]心臓:(5%未満)心不全、(頻度不明)駆出率低下。
- [9]感染症:(5%未満)上気道感染、肺炎、カテーテル留置部位感染、歯感染、尿路感染、鼻咽頭炎。
- [10]その他:(5%以上)無力症、脱水、体重減少、疲労、(5%未満)顎骨壊死。
*)臨床試験で認められたGrade3以上の副作用の頻度を記載した。
ザルトラップ点滴静注100mgの使用上の注意
【警告】
- 1.本剤は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。
- 2.本剤の投与により重度消化管出血があらわれることがあり、死亡に至る例が報告されているので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には本剤の投与を中止し、適切な処置を行うこと(重度出血が認められた場合には本剤を再投与しないこと)。
- 3.本剤の投与により消化管穿孔があらわれることがあり、死亡に至る例が報告されているので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には本剤の投与を中止し、適切な処置を行うこと(消化管穿孔が認められた場合には本剤を再投与しないこと)。
【禁忌】
- 1.本剤の成分に対し重篤な過敏症の既往歴のある患者。
- 2.妊婦又は妊娠している可能性のある女性。
【重要な基本的注意】
- 1.高血圧があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び投与期間中は定期的に血圧を測定し、また、高血圧クリーゼがあらわれることがあるので、血圧の推移等に十分注意して投与すること。
- 2.ネフローゼ症候群、蛋白尿があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び投与期間中は定期的に尿蛋白を検査すること。
- 3.好中球減少症、発熱性好中球減少症があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び投与期間中は定期的に血液検査を行うこと。
- 4.創傷治癒を遅らせる可能性があるので、手術を予定している場合には手術の前に本剤の投与を中断し、手術後の投与再開は、患者の状態に応じて判断すること。
- 5.血栓性微小血管症があらわれることがあるので、定期的に検査を行う等観察を十分に行うこと。
【合併症・既往歴等のある患者】
- 1.消化管炎症等腹腔内炎症を合併している患者:消化管穿孔があらわれるおそれがある。
- 2.消化管出血等の出血が認められている患者:出血が増強されるおそれがある。
- 3.出血素因や凝固系異常のある患者:出血があらわれるおそれがある。
- 4.高血圧症の患者:高血圧が悪化するおそれがある。
- 5.血栓塞栓症又はその既往歴のある患者:心筋梗塞、脳血管障害、肺塞栓症等があらわれるおそれがある。
- 6.大きな手術の術創が治癒していない患者:創傷治癒遅延による合併症があらわれるおそれがある。
【生殖能を有する者】
妊娠する可能性のある女性:妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後3ヵ月間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること。
【妊婦】
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと(ウサギ胚胎仔試験において、AUC比較で臨床曝露量未満に相当する用量から催奇形性及び胎仔毒性が認められている)。
【授乳婦】
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(ヒト乳汁中への移行は不明であり、また、非臨床試験等のデータがなく、ヒトで哺乳中の児における影響は不明である)。
【小児等】
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
【高齢者】
高齢者では下痢及び脱水の発現について十分に観察を行うこと。海外臨床試験において、65歳未満の患者と比較し、65歳以上の患者では下痢、浮動性めまい、無力症、体重減少及び脱水の発現率が高かった。
【相互作用】
- 2.併用注意:抗凝固剤(ヘパリン、ワルファリン等)[出血があらわれるおそれがある(出血リスクを増強させるおそれがある)]。
【適用上の注意】
- 1.薬剤調製前の注意:調製前にバイアル内を目視検査し、溶液に変色あるいは微粒子が認められた場合は使用しないこと。
- 2.薬剤調製時の注意:
- 1)本剤は無菌的に希釈調製を行うこと。
- 2)必要量を注射筒で抜き取り、生理食塩液又は5%ブドウ糖液で希釈し、0.6~8mg/mLの濃度になるように調製すること。
- 3)DEHP[di-(2-ethylhexyl)phthalate:フタル酸ジ-(2-エチルヘキシル)]を含むポリ塩化ビニル(PVC)製かポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)製輸液バッグを使用すること。
- 4)希釈後は速やかに使用すること(なお、希釈後やむを得ず保存する場合は、2~8℃では24時間、25℃では8時間以内に使用すること)。
- 5)本剤のバイアルは1回使い切りである。バイアル中の未使用残液は適切に廃棄すること(本剤は保存剤を含まない)。
- 3.薬剤投与時の注意:
- 1)本剤は0.2ミクロンのポリエーテルスルホン製フィルターを用いて投与すること(ポリフッ化ビニリデン(PVDF)製又はナイロン製のフィルターは使用しないこと)。
- 2)他の薬剤との配合試験は実施していないため、他剤<生理食塩液又は5%ブドウ糖液を除く>との混注はしないこと。
【その他の注意】
- 1.臨床使用に基づく情報:海外臨床試験において、本剤に対する抗体産生が報告されている。
- 2.非臨床試験に基づく情報:サルを用いた6ヵ月間反復投与毒性試験において、AUC比較で臨床曝露量の約1.3倍に相当する用量から、椎骨の骨軟骨性外骨腫(頸椎の骨軟骨性外骨腫、胸椎の骨軟骨性外骨腫及び腰椎の骨軟骨性外骨腫)等の骨軟骨性外骨腫が認められるとともに、雌雄の受胎能に影響を及ぼす可能性が示唆された。
【取扱い上の注意】
外箱開封後は遮光して保存すること。
【保管上の注意】
2~8℃で保存。