オルプロリクス静注用500の用法・用量
本剤を添付の溶解液全量で溶解し、数分かけて緩徐に静脈内に注射する。通常、1回体重1kg当たり50国際単位を投与するが、患者の状態に応じて適宜増減する。定期的に投与する場合、通常、体重1kg当たり50国際単位を週1回投与、又は100国際単位を10日に1回投与から開始する。以降の投与量及び投与間隔は患者の状態に応じて適宜調節するが、1回の投与量は体重1kg当たり100国際単位を超えないこと。
【用法及び用量に関連する注意】
- 1.体重1kg当たり1国際単位の本剤を投与することにより、循環血漿中の血液凝固第9因子レベルが1%(1国際単位/dL)上昇することが見込まれる。個々の患者における薬物動態(消失半減期、上昇値等)及び本剤に対する臨床効果は異なるため、必要量は次の計算式に基づいて算出すること。必要量(国際単位)=体重(kg)×血液凝固第9因子の目標上昇値(%又は国際単位/dL)×血液凝固第9因子の上昇値の逆数[(国際単位/kg)/(国際単位/dL)]。
- 2.急性出血時又は周術期に使用する場合は、血液凝固第9因子活性の測定を行うなど患者の状態を観察し、次を参考に投与量及び投与間隔を調節すること(また、国内外の最新のガイドラインも参照すること)。
[急性出血時における投与量及び投与間隔の目安]
- [1]軽度及び中等度(例:関節出血、神経血管障害を伴わない表在筋出血(腸腰筋除く)、深い裂傷及び腎出血、表在性軟組織出血、粘膜出血):必要な血液凝固第9因子レベル30~60(%又は国際単位/dL)、投与量及び投与頻度は30~60国際単位/kg、出血所見が認められる場合、48時間毎に追加投与すること。
- [2]重度(例:生命を脅かす出血):必要な血液凝固第9因子レベル80~100(%又は国際単位/dL)、投与量及び投与頻度は100国際単位/kg、追加投与に関しては、周術期における投与量及び投与方法の目安を参照すること。
[周術期における投与量及び投与間隔の目安]
- [1]小手術(合併症のない抜歯を含む):必要な初回血液凝固第9因子レベル50~80(%又は国際単位/dL)、投与量及び投与頻度は50~80国際単位/kg、通常、単回投与で十分であるが、必要に応じ、24-48時間後に追加投与を行う。
- [2]大手術(腹腔内手術、人工関節置換術を含む):必要な初回血液凝固第9因子レベル60~100(%又は国際単位/dL)、1~3日目の維持レベル40~60(%又は国際単位/dL)、4~6日目の維持レベル30~50(%又は国際単位/dL)、7~14日目の維持レベル20~40(%又は国際単位/dL)、投与量及び投与頻度は100国際単位/kg(初回投与)、最初の3日間は、初回投与6~10時間後、及び24時間毎に80国際単位/kgの追加投与を考慮すること。本剤は長期半減期を有することから、3日目以降は、投与量を減量し、投与間隔を48時間毎に延期すること。
オルプロリクス静注用500の効能・効果
血液凝固第9因子欠乏患者における出血傾向の抑制。
オルプロリクス静注用500の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
- 1.重大な副作用:
- 1)ショック、アナフィラキシー(頻度不明)。
- 2)血栓塞栓症(頻度不明)。
- 2.その他の副作用:
- [1]神経系障害:(1~2%未満)頭痛、(1%未満)浮動性めまい、味覚異常。
- [2]胃腸障害:(1~2%未満)口の錯感覚、(1%未満)呼気臭。
- [3]一般・全身障害および投与部位の状態:(1%未満)疲労、注入部位疼痛。
- [4]心臓障害:(1%未満)動悸。
- [5]腎および尿路障害:(1~2%未満)閉塞性尿路疾患、(1%未満)血尿、腎仙痛。
- [6]血管障害:(1%未満)低血圧。
- [7]代謝および栄養障害:(1%未満)食欲減退。
- [8]血液およびリンパ系障害:(頻度不明)第9因子抑制。
オルプロリクス静注用500の使用上の注意
【重要な基本的注意】
- 1.本剤の投与は、血友病の治療経験をもつ医師のもとで開始すること。
- 2.患者の血中に血液凝固第9因子に対するインヒビター発生するおそれがある。本剤を投与しても予想した止血効果が得られない場合には、インヒビター発生を疑い、血液凝固第9因子回収率や血液凝固第9因子に対するインヒビターの検査を行うなど注意深く対応し、適切な処置を行うこと。
- 3.十分な血液凝固第9因子レベルに到達・維持していることを確認するため、必要に応じ、血漿中血液凝固第9因子レベルをモニタリングすること。
- 4.本剤の在宅自己注射は、医師がその妥当性を慎重に検討し、患者又はその家族が適切に使用可能と判断した場合のみに適用すること。本剤を在宅自己注射で処方する際には、使用方法等の患者教育を十分に実施したのち、在宅にて適切な治療が行えることを確認した上で、医師の管理指導のもとで実施すること。また、患者又はその家族に対し本剤の注射により発現する可能性のある副作用等についても十分説明し、在宅自己注射後何らかの異常が認められた場合や注射後の止血効果が不十分な場合には速やかに医療機関へ連絡するよう指導すること。在宅自己注射適用後、在宅自己注射の継続が困難な場合には、医師の管理下で慎重に観察するなど、適切な対応を行うこと。
【合併症・既往歴等のある患者】
- 1.本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
- 2.血液凝固第9因子製剤に対し過敏症の既往歴のある患者:過敏症の既往歴のある患者には、血液凝固第9因子に対するインヒビターの有無を確認すること。
- 3.血液凝固第9因子に対するインヒビターが発生した患者:急性過敏症反応の徴候及び症状を慎重に観察し、本剤投与初期には特に注意すること(血液凝固第9因子投与によりアナフィラキシーのリスクが増加する可能性がある)。
- 4.術後の患者、血栓塞栓性事象のリスクのある患者、線維素溶解の徴候又は播種性血管内凝固症候群(DIC)のある患者:投与に際しては、本剤の治療上の有益性と血栓塞栓性合併症のリスクを勘案すること。
【肝機能障害患者】
肝機能障害患者:投与に際しては、本剤の治療上の有益性と血栓塞栓性合併症のリスクを勘案すること。
【妊婦】
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(生殖発生毒性試験は実施していないが、本剤はFc領域を有するため、胎盤を通過する可能性があり、また、動物実験(マウス)で胎盤通過が認められている)。
【授乳婦】
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳継続又は中止を検討すること。
【小児等】
- 1)12歳未満の患者:投与量及び投与頻度の調節について適宜検討すること(通常よりも高い投与量及び頻回な投与が必要となる可能性がある)。
- 2)新生児:投与に際しては、本剤の治療上の有益性と血栓塞栓性合併症のリスクを勘案すること。
【高齢者】
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること(一般に生理機能が低下している)。
【臨床検査結果に及ぼす影響】
本剤投与後の血液凝固第9因子活性の測定において、活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)試薬の種類が、測定結果に影響を与える可能性があり、カオリンを含むaPTT試薬を用いた凝固一段法では、測定結果がみかけ上、低値を示すことがあるので注意すること。
【適用上の注意】
- 1.薬剤調製時の注意:
- 1)本剤及び添付溶解液を冷所保存している場合、調製前に室温に戻しておくこと。
- 2)添付された溶解液のみ使用すること。本剤に溶解液全量を加えた後、静かに円を描くように回して溶解する(激しく振とうしない)。
- 3)他の製剤と混合しないこと。
- 4)溶解した液を注射器に移す場合、フィルター付バイアルアダプターを用いること。
- 5)溶解した液は、室温(30℃まで)で6時間保存することができ、6時間以内に使用されない場合は、廃棄すること。
- 6)使用後の残液は細菌汚染のおそれがあるので使用しないこと。
- 7)未使用の場合、室温(30℃まで)で保存することもでき、室温で保存した場合には、使用期限を超えない範囲で6ヵ月以内に使用し、再び冷蔵庫に戻さないこと。
- 2.薬剤投与時の注意:
- 1)他剤と同じチューブを使用しないこと(また、他剤に使用した容器で、本剤と希釈液を混合しないこと)。
- 2)溶解した液は、無色~微黄褐色を呈する、澄明~微乳白色であるため、沈殿又は濁りが認められる場合、使用しないこと。
- 3.薬剤交付時の注意:
- 1)子供による誤用等を避けるため、薬剤の保管に十分注意すること。
- 2)光の影響を防ぐために、薬剤バイアルは外箱に入れた状態で保存すること。
- 3)使用済みの医療機器等の処理については、主治医の指示に従うこと。
【その他の注意】
- 1.臨床使用に基づく情報:
- 1)本剤による免疫寛容導入療法の安全性と有効性は確立されていない。なお、海外において、血液凝固第9因子に対するインヒビターを有しかつ血液凝固第9因子に過敏症の既往のある血友病B患者では、血液凝固第9因子製剤に伴う免疫寛容導入療法後に、ネフローゼ症候群を発現したとの報告がある。
- 2)他の血液凝固第9因子製剤において、中心静脈カテーテルを用いた持続注入により血栓症が報告されている。
【取扱い上の注意】
外箱開封後は、遮光して保存すること。
【保管上の注意】
2~8℃で保存。