ジビイ静注用1000の用法・用量
本剤を添付の溶解液全量で溶解し、緩徐に静脈内注射する。なお、1分間に2.5mLを超える注射速度は避けること。通常、12歳以上の患者には、1回体重1kg当たり10~30国際単位を投与するが、患者の状態に応じて適宜増減する。定期的に投与する場合、通常、12歳以上の患者には、体重1kg当たり30~40国際単位を週2回投与するが、患者の状態に応じて、体重1kg当たり45~60国際単位を5日に1回投与、又は体重1kg当たり60国際単位を週1回投与することもできる。
【用法及び用量に関連する注意】
- 1.体重1kg当たり1国際単位(IU)の本剤を投与することにより、血漿中の血液凝固第8因子レベルが2%(2IU/dL)上昇することが見込まれる。必要量は次の計算式に基づいて算出すること。必要量(IU)=体重(kg)×血液凝固第8因子の目標上昇値(%又はIU/dL)×0.5[(IU/kg)/(IU/dL)]。
- 2.出血時に使用する場合は、次の目標第8因子レベルを参考に、投与量及び投与間隔を調節すること。
[出血時における投与量及び投与間隔の目安]
- [1]軽度(初期の関節内出血、軽度の筋肉内出血、軽度の口腔内出血等):必要な第8因子レベル20-40(%又はIU/dL)、投与間隔24-48時間ごと、投与期間は出血症状消失まで。
- [2]中等度(より広範な関節内出血、筋肉内出血、血腫等):必要な第8因子レベル30-60(%又はIU/dL)、投与間隔24-48時間ごと、投与期間は出血症状消失まで。
- [3]重度(頭蓋内出血、腹腔内出血、胸腔内出血、消化管出血、中枢神経系の出血、咽頭後隙/後腹膜又は腸腰筋鞘の出血、生命を脅かす出血等):必要な第8因子レベル60-100(%又はIU/dL)、投与間隔8-24時間ごと、投与期間は出血症状消失まで。
- 3.周術期に使用する場合は、次の目標第8因子レベルを参考に、投与量及び投与間隔を調節すること。
[周術期における投与量及び投与間隔の目安]
- [1]小手術(抜歯等):必要な第8因子レベル30-60(%又はIU/dL)(術前術後)、投与間隔24時間ごと、投与期間は最低1日、必要に応じ治癒するまで。
- [2]大手術(頭蓋内手術、腹腔内手術、胸腔内手術、人工関節置換術等):必要な第8因子レベル80-100(%又はIU/dL)(術前術後)、投与間隔12-24時間ごと、投与期間は十分な創傷治癒まで、その後、少なくともさらに7日間、第8因子レベルを30-60%(IU/dL)に維持する。
- 4.定期的な投与の用法・用量は、直近の出血状況等、患者の状態を考慮して選択すること。
ジビイ静注用1000の効能・効果
血液凝固第8因子欠乏患者における出血傾向の抑制。
ジビイ静注用1000の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 1.重大な副作用:
- 1)ショック、アナフィラキシー(頻度不明):胸部圧迫感、めまい、低血圧、悪心等の症状が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
- 2.その他の副作用:
- [1]胃腸障害:(5%未満)腹痛、(頻度不明)悪心、嘔吐。
- [2]一般・全身障害:(頻度不明)発熱。
- [3]注射部位反応:(5%未満)そう痒感。
- [4]過敏症:(5%未満)知覚異常、潮紅、発疹、息切れ。
- [5]神経系障害:(5%未満)頭痛、浮動性めまい、(頻度不明)味覚異常。
- [6]精神障害:(5%未満)不眠症。
- [7]呼吸器、胸郭および縦隔障害:(頻度不明)咳嗽。
- [8]皮膚および皮下組織障害:(5%未満)多形紅斑、皮膚そう痒症、(頻度不明)紅斑、発疹、丘疹性皮疹。
- [9]その他:(頻度不明)インヒビター発現。
ジビイ静注用1000の使用上の注意
【重要な基本的注意】
- 1.本剤の投与は、血友病の治療経験をもつ医師のもとで開始すること。
- 2.患者の血中に血液凝固第8因子に対するインヒビター発生するおそれがある。特に、血液凝固第8因子製剤による補充療法開始後、投与回数が少ない時期(補充療法開始後の比較的早期)や短期間に集中して補充療法を受けた時期にインヒビター発生しやすいことが知られている。本剤を投与しても予想した止血効果が得られない場合には、インヒビター発生を疑い、血液凝固第8因子回収率や血液凝固第8因子に対するインヒビターの検査を行うなど注意深く対応し、適切な処置を行うこと。
- 3.目標とする血液凝固第8因子レベルに達していることを確認するため、必要に応じ血液凝固第8因子レベルをモニタリングすること(本剤投与後に血液凝固第8因子活性を測定する場合は、最新の情報を参照し、適切な試薬を用いて測定を行うこと(測定試薬の種類により、測定結果が見かけ上、高値又は低値を示すことがある))。
- 4.本剤の臨床試験において、抗ポリエチレングリコール(PEG)抗体との関連が疑われる過敏症又は有効性の欠如が報告されており、いずれも本剤投与開始初期に認められていることから、本剤投与開始初期には観察を十分に行うこと。本剤を投与しても予想した止血効果が得られない場合には、血液凝固第8因子回収率や血液凝固第8因子に対するインヒビターの検査を行うなど注意深く対応し、有効性の欠如が疑われたときには、過去の治療で有効であった血液凝固第8因子製剤に切り替えるなど、適切な処置を行うこと。
- 5.本剤の在宅自己注射は、医師がその妥当性を慎重に検討し、患者又はその家族が適切に使用可能と判断した場合のみに適用すること。本剤を在宅自己注射で処方する際には、使用方法等の患者教育を十分に実施した後、在宅にて適切な治療が行えることを確認した上で、医師の管理指導のもとで実施すること。また、患者又はその家族に対し本剤の注射により発現する可能性のある副作用等についても十分説明し、在宅自己注射後何らかの異常が認められた場合や投与後の止血効果が不十分な場合には速やかに医療機関へ連絡するよう指導すること。在宅自己注射適用後、在宅自己注射の継続が困難な場合には、医師の管理下で慎重に観察するなど、適切な対応を行うこと。
【合併症・既往歴等のある患者】
- 1.マウスモノクローナル抗体により精製した製剤に過敏症又はハムスター腎細胞由来の製剤に過敏症の既往歴のある患者。
- 2.本剤の成分又は他の第8因子製剤に対し過敏症の既往歴のある患者。
【妊婦】
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合のみ投与すること(生殖発生毒性試験は実施していない)。
【小児等】
治療歴のある12歳未満の重症血友病A患者73例を対象とした臨床試験において、10例で本剤投与開始初期(4曝露日以内)に抗PEG抗体との関連が疑われる過敏症又は有効性の欠如が報告されている。
【高齢者】
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること(一般に高齢者では生理機能が低下している)。
【適用上の注意】
- 1.薬剤調製時の注意:
- 1)本剤及び添付溶解液を冷所保存している場合、調製前に室温に戻しておくこと。
- 2)添付の溶解液以外は使用しないこと。本剤に溶解液全量を加えた後、泡立てないようバイアルを静かに円を描くように回して溶解する(激しく振とうしない)。
- 3)他剤と混合しないこと。
- 4)溶解した液を使用する際には、フィルターのあるセットを用いること。
- 5)一度溶解したものは室温で3時間以内に使用し、3時間以内に使用されない場合は、廃棄すること。
- 6)使用後の残液は細菌汚染のおそれがあるので使用しない(本剤は保存剤が含有されていない)。
- 2.薬剤投与時の注意:
- 1)溶解時に不溶物の認められるもの又は混濁しているものは使用しないこと。
- 2)凍結した溶液は使用しないこと。
- 3.薬剤交付時の注意:
- 1)患者が家庭で保管する場合においても冷蔵庫内で保存することが望ましいが、室温(30℃以下)で保存することもでき、この場合には、使用期限を超えない範囲で3ヵ月以内に使用し、再び冷蔵庫に戻さないように指導すること。
- 2)光の影響を避けるため、薬剤は外箱に入れた状態で保存すること。
- 3)子供による誤用等を避けるため、薬剤の保管に十分注意すること。
- 4)使用済みの医療機器等の処理については、主治医の指示に従うこと。
【その他の注意】
- 1.臨床使用に基づく情報:本剤はvon Willebrand因子を含んでいない。
【取扱い上の注意】
外箱開封後は遮光して保存すること。
【保管上の注意】
凍結を避ける、2~8℃で保存。