オルツビーオ静注用500の用法・用量
本剤を添付の溶解液全量で溶解し、緩徐に静脈内に投与する。出血時又は周術期に投与する場合、通常、1回体重1kg当たり50国際単位を投与する。なお、投与量は患者の状態に応じて適宜減量する。定期的に投与する場合、通常、体重1kg当たり50国際単位を週1回投与する。
【用法及び用量に関連する注意】
- 1.出血時又は周術期に投与する場合は、次を参考に投与量及び投与間隔を調節すること。なお、体重1kg当たり1国際単位の本剤を投与することにより、循環血漿中の血液凝固第8因子レベルが2%(2国際単位/dL)上昇することが見込まれる。
[出血時における投与量及び投与間隔の目安]
- [1]軽度及び中等度(例:合併症を伴わない関節出血、軽度な筋肉出血、粘膜又は皮下出血):50国際単位/kgを単回投与。直近の定期的な投与から3日以内の場合は、30国際単位/kgを投与することもできる。出血所見が認められる場合、30又は50国際単位/kgを2~3日毎に追加投与すること。
- [2]重度(例:頭蓋内出血、後腹膜及び腸腰筋出血、頸部出血、コンパートメント症候群を伴う筋肉出血、ヘモグロビン値の著しい低下を伴う出血):50国際単位/kgを単回投与。出血所見が認められる場合、30又は50国際単位/kgを2~3日毎に追加投与すること。
出血時の投与後に定期的な投与を実施する場合、直近の出血治療を50国際単位/kgで行ったときは72時間以上の間隔を空けてから開始又は再開すること(直近の出血治療を30国際単位/kgで行ったときは、間隔を空けずに開始又は再開することができる)。
[周術期における投与量及び投与間隔の目安]
- [1]小手術:手術前の用量は50国際単位/kgを単回投与。手術後の用量は必要に応じ、2~3日後に30又は50国際単位/kgを追加投与すること。
- [2]大手術(例:頭蓋内手術、腹腔内手術、人工関節置換術、複雑な歯科治療):手術前の用量は50国際単位/kgを単回投与。手術後の用量は周術期の管理のため、必要に応じ、30又は50国際単位/kgを2~3日毎に追加投与すること。
- 2.成人又は12歳以上の小児では、1バイアル当たり1~2分以上かけて投与すること。
- 3.12歳未満の小児では、体重20kg以上の場合は1バイアル当たり2~3分以上、体重20kg未満の場合は1バイアル当たり6分以上かけて投与すること。
オルツビーオ静注用500の効能・効果
血液凝固第8因子欠乏患者における出血傾向の抑制。
オルツビーオ静注用500の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 1.重大な副作用:
- 1)ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明):じん麻疹、悪寒、血管浮腫、呼吸困難、血圧低下、頻脈等の症状が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
- 2.その他の副作用:
- [1]神経系障害:(10%以上)頭痛。
- [2]胃腸障害:(1%以上~10%未満)嘔吐。
- [3]筋骨格系及び結合組織障害:(10%以上)関節痛、(1%以上~10%未満)四肢痛、背部痛。
- [4]一般・全身障害及び投与部位の状態:(1%以上~10%未満)発熱。
- [5]免疫系障害:(頻度不明)過敏症。
- [6]血液及びリンパ系障害:(頻度不明)第8因子抑制。
オルツビーオ静注用500の使用上の注意
【重要な基本的注意】
- 1.本剤の投与は、血友病の治療経験をもつ医師のもとで開始すること。
- 2.患者の血中に血液凝固第8因子に対するインヒビター発生するおそれがある。特に、血液凝固第8因子製剤による補充療法開始後、投与回数が少ない時期(補充療法開始後の比較的早期)や短期間に集中して補充療法を受けた時期にインヒビター発生しやすいことが知られている。本剤を投与しても予想した止血効果が得られない場合には、インヒビター発生を疑い、血液凝固第8因子回収率や血液凝固第8因子に対するインヒビターの検査を行うなど注意深く対応し、適切な処置を行うこと。
- 3.必要に応じて、十分な血液凝固第8因子レベルに到達・維持していることを確認すること。なお、本剤の活性(力価)は活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)に基づく凝固一段法(アクチンFS試薬を用いるものを除く)により決定されており、発色合成基質法又はアクチンFS試薬を用いる凝固一段法により血漿中血液凝固第8因子活性を測定した場合、測定結果が見かけ上高値を示すことが確認されていることから、発色合成基質法又はアクチンFS試薬を用いる凝固一段法により得られた血液凝固第8因子レベルについては2.5で除して補正すること。
- 4.本剤の在宅自己注射は、医師がその妥当性を慎重に検討し、患者又はその家族が適切に使用可能と判断した場合にのみ適用すること。本剤を在宅自己注射で処方する際には、使用方法等の患者教育を十分に実施した後、在宅にて適切な治療が行えることを確認した上で、医師の管理指導のもとで実施すること。また、患者又はその家族に対し本剤の注射により発現する可能性のある副作用等についても十分説明し、在宅自己注射後何らかの異常が認められた場合や注射後の止血効果が不十分な場合には速やかに医療機関へ連絡するよう指導すること。在宅自己注射適用後、自己注射の継続が困難な場合には、医師の管理下で慎重に観察するなど、適切な対応を行うこと。
【合併症・既往歴等のある患者】
- 1.本剤の成分又は他の血液凝固第8因子製剤に対し過敏症の既往歴のある患者。
【妊婦】
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(生殖発生毒性試験は実施していない)。
【授乳婦】
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
【高齢者】
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること(一般に高齢者では生理機能が低下している)。
【適用上の注意】
- 1.薬剤調製時の注意:
- 1)本剤及び添付溶解液を冷所保存している場合、調製前に室温に戻しておくこと。
- 2)添付された溶解液のみ使用すること。本剤に溶解液全量を加えた後、静かに円を描くように回して溶解する(激しく振とうしない)。
- 3)他の製剤と混合しないこと。
- 4)溶解した液を注射器に移す場合、添付のフィルター付バイアルアダプターを用いること。
- 5)溶解した液は、室温(30℃まで)で3時間保存することができる(3時間以内に使用されない場合は、廃棄する)。
- 6)使用後の残液は細菌感染のおそれがあるので使用しないこと。
- 2.薬剤投与時の注意:
- 1)他剤と同じチューブを使用しないこと(また、他剤に使用した容器で、本剤と希釈液を混合しないこと)。
- 2)溶解した液は澄明で、無色~微乳白色を呈する(沈殿又は濁りが認められる場合、使用しない)。
- 3.薬剤交付時の注意:
- 1)患者が家庭で保存する場合においては、冷蔵庫内で保存することが望ましいが、室温(30℃以下)で保存することもでき、室温で保存した場合には、使用期限を超えない範囲で6ヵ月以内に使用し、再び冷蔵庫に戻さないように指導すること。
- 2)子供による誤用等を避けるため、薬剤の保管に十分注意すること。
- 3)光の影響を防ぐために、薬剤バイアルは外箱に入れた状態で保存すること。
- 4)使用済みの医療機器等の処理については、主治医の指示に従うこと。
【保管上の注意】
2~8℃で保存。