ジアグノグリーン注射用25mgの用法・用量
- [1]肝機能検査:
- 〈血漿消失率測定及び血中停滞率測定の場合〉
- インドシアニングリーンとして体重1kg当たり0.5mgに相当する量を注射用水で5mg/mL程度に希釈し、肘静脈より30秒以内に症状に注意しながら徐々に静脈内投与する。
- 〈肝血流量測定の場合〉
- インドシアニングリーンとして25mgをできるだけ少量の注射用水に溶かした後、生理食塩液で2.5~5mg/mLの濃度に希釈し、インドシアニングリーンとして3mgに相当する前記溶液を静脈内投与する。その後引き続き0.27~0.49mg/分の割合で約50分間採血が終るまで一定速度で点滴静脈内投与する。
- [2]循環機能検査:目的に応じて心腔内より末梢静脈に至る種々の血管部位にインドシアニングリーンの溶液を注入するが通常前腕静脈から行う。成人1人当たり1回量はインドシアニングリーン5~10mg、すなわち1~2mL程度で、小児は体重に応じて減量する。
- [3]血管及び組織の血流評価:インドシアニングリーンとして25mgを5~10mLの注射用水で溶解し、使用目的に応じて、通常0.04~0.3mg/kgを静脈内投与する。なお、脳神経外科手術時における脳血管の造影の場合には、インドシアニングリーンとして25mgを5mLの注射用水で溶解し、通常0.1~0.3mg/kgを静脈内投与する。
- [4]センチネルリンパ節の同定:乳癌のセンチネルリンパ節の同定においては、インドシアニングリーンとして25mgを5mLの注射用水で溶解し、通常5mL以下を悪性腫瘍近傍又は乳輪部の皮下に適宜分割して投与する。悪性黒色腫のセンチネルリンパ節の同定においては、インドシアニングリーンとして25mgを5mLの注射用水で溶解し、通常1mLを悪性腫瘍近傍の皮内数箇所に適宜分割して投与する。
- [5]肝外胆管の描出:インドシアニングリーンとして25mgを10mLの注射用水で溶解し、通常1mLを静脈内投与する。
【用法及び用量に関連する注意】
- 1.〈効能共通〉「18.1測定法」の項を参照すること。
- 2.〈効能共通〉網脈絡膜血管の造影には、用法及び用量が承認されている他の製剤を用いること。
- 3.〈血管及び組織の血流評価、肝外胆管の描出〉インドシアニングリーンは赤外光(最大吸収波長は約805nm付近)で励起され蛍光(最大蛍光波長は約835nm付近)を発するので、適切な方法で観察すること。
- 4.〈センチネルリンパ節の同定〉可能な限り本剤とラジオアイソトープ法を併用することが望ましい(その際には、併用する薬剤の電子添文を参照した上で使用すること)。
ジアグノグリーン注射用25mgの効能・効果
- [1]肝機能検査(血漿消失率測定、血中停滞率測定及び肝血流量測定):肝疾患の診断、肝疾患の予後治癒判定。
- [2]循環機能検査(心拍出量測定、平均循環時間測定又は異常血流量測定):心臓血管系疾患の診断。
- [3]血管の血流評価及び組織の血流評価。
- [4]次の疾患におけるセンチネルリンパ節の同定:乳癌、悪性黒色腫。
- [5]肝外胆管の描出。
【効能又は効果に関連する注意】
〈センチネルリンパ節の同定〉本剤を用いたセンチネルリンパ節生検は、本検査法に十分な知識と経験を有する医師のもとで、実施が適切と判断される症例において実施すること(なお、症例の選択にあたっては、最新の関連ガイドライン等を参照し、適応となる腫瘍径や部位等について十分な検討を行うこと)。
ジアグノグリーン注射用25mgの副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 1.重大な副作用:
- 1)ショック(頻度不明)、アナフィラキシー(頻度不明):注入時、口のしびれ、嘔気、胸内苦悶、眼球結膜充血、眼瞼浮腫等があらわれた場合には、ショック、アナフィラキシーの前駆症状と考えられるため、直ちに注入を中止すること(症状に応じ、輸液、血圧上昇薬、強心薬、副腎皮質ホルモン剤等の投与、気道確保、人工呼吸、あるいは酸素吸入、心臓マッサージ、適切な体位をとらせるなどの救急処置を速やかに行うこと)。
- 2.その他の副作用:過敏症:(0.1%未満)悪心、嘔吐、蕁麻疹、発熱、(頻度不明)発疹。
ジアグノグリーン注射用25mgの使用上の注意
【禁忌】
- 1.本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
- 2.ヨード過敏症の既往歴のある患者[本剤はヨウ素を含有しているため、ヨード過敏症を起こすおそれがある]。
【重要な基本的注意】
- 1.〈効能共通〉ショックを起こすことがあるので、適応の選択を慎重に行い、診断上本検査が必要な場合には、使用に際して次の点に留意すること。
- 1)〈効能共通〉ショック等の反応を予測するため、十分な問診を行うこと。
- 2)〈効能共通〉本剤が不溶のまま注入されると、悪心、発熱、ショック様症状等を起こすおそれがあるので、完全に溶解すること。
- 3)〈効能共通〉あらかじめ救急用の医薬品・器具を準備しておくこと。
- 4)〈効能共通〉注入から検査終了まで、被検者に仰臥位をとらせるなど安静にさせ観察を十分に行うこと。
- 2.〈センチネルリンパ節の同定〉センチネルリンパ節の同定の場合、既存の情報を踏まえ、患者又はその家族に対し本検査の必要性及び限界等を十分に説明し同意を得た上で実施すること。
【合併症・既往歴等のある患者】
- 1.アレルギー素因のある患者。
【妊婦】
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、診断上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
【授乳婦】
診断上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
【小児等】
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
【高齢者】
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること(一般に生理機能が低下していることが多い)。
【臨床検査結果に及ぼす影響】
甲状腺放射性ヨード摂取率検査に影響を及ぼすことがあるので、必要な場合には1週間以上の間隔をおくこと。
【適用上の注意】
- 1.薬剤調製時の注意:
- 1)〈効能共通〉注入液は、用時調製し、溶解した液は保存しないこと。
- 2)〈効能共通〉必ず添付の溶解液で完全に溶解し、その他の溶解液(生理食塩液等)は溶解に使用しないこと。
- 3)〈効能共通〉溶解時バイアルを数回転倒し、軽く振とうしてゴム栓内側付着の薬剤も完全に溶解後、バイアルを横にして水平回転し、壁面を観察し、不溶の薬剤が残っていないことを確認すること。なお、ゴム栓、キャップ付着分の薬剤溶解にも留意すること。
- 4)〈循環機能検査〉循環機能検査の場合、本剤25mgを正確に5mLの注射用水で溶解すること。その他に生理食塩液を用意すること。
- 2.薬剤投与時の注意:
- 1)〈効能共通〉静脈内投与により血管痛があらわれることがある。
- 2)〈循環機能検査〉循環機能検査の場合、注入に際しては、本剤を速やかに注入し1回の注入容積は2mL以内とすること。
- (1)〈循環機能検査〉循環機能検査の心腔内注入の場合は、通常あらかじめカテーテル内を本剤の溶液で満たしておき、後から5~10mLの生理食塩液で押し出すように注入すること。
- (2)〈循環機能検査〉循環機能検査の末梢静脈注入の場合は、なるべく太い静脈を選び、本剤注入後、直ちに生理食塩液等の液体をやや多く注入し中心血流まで押し出すこと。循環機能検査の場合、肘静脈より注入するには上膊を10~20秒間緊縛しておき、注入1~2秒前に、それを急にゆるめてから色素を注入すると停滞することなく、中心血流に合流することができる。また、循環機能検査の場合、股静脈は太い注射針の挿入に困難を生じることなく、小児でも容易に投与できる(この部位では血流が多いため、本剤注入直後の生理食塩液の押し出しを必ずしも必要としない)。
- 3.診断上の注意:次の場合、測定値に誤差を生じることがある。
- 1)患者の体の状態による影響:
- (1)乳び血清あるいは極度に混濁した血清又は溶血血清の場合、測定値に誤差を生じることがある。
- (2)浮腫患者、痩躯又は肥満患者、多量失血患者等の場合、測定値に誤差を生じることがある(このような場合は血漿消失率で測定すること)。
- 2)薬剤との併用による影響:胆嚢造影剤(イオトロクス酸メグルミン等)、利胆薬、リファンピシン又は抗痛風薬との併用により、本剤の肝細胞への取り込みが阻害されることがあるので、測定値に誤差を生じることがある。
- 3)薬剤以外の物質による影響:食物による影響により肝血流量が増加するため、また、食物中の脂肪摂取により脂質増加をもたらし、血清が白濁し、測定値に誤差を生じることがある。
- 1)患者の体の状態による影響:
【取扱い上の注意】
外箱開封後は遮光して保存すること。
【保管上の注意】
室温保存。