グルカゴンGノボ注射用1mgの用法・用量
- [1]消化管のX線及び内視鏡検査の前処置:通常、グルカゴン(遺伝子組換え)として1mgを1mLの注射用水に溶解し、0.5~1mgを筋肉内又は静脈内に注射する。
- なお、年齢、症状により適宜増減する。ただし、本剤の作用持続時間については、筋肉内注射の場合約25分間、静脈内注射の場合15~20分間である。
- [2]低血糖時の救急処置:通常、グルカゴン(遺伝子組換え)として1mgを1mLの注射用水に溶解し、筋肉内又は静脈内に注射する。
- [3]成長ホルモン分泌機能検査:グルカゴン(遺伝子組換え)として1mgを1mLの注射用水に溶解し、体重1kg当たり0.03mgを空腹時に皮下に注射する。
ただし、最大投与量は1mgとする。
[判定基準]
血中hGH値は、測定方法、患者の状態等の関連で異なるため、明確に規定しえないが、通常、正常人では、本剤投与後60~180分でピークに達し、10ng/mL以上を示す。血中hGH値が5ng/mL以下の場合hGH分泌不全とする。なお、本剤投与後60分以降は30分毎に180分まで測定し、判定することが望ましい。
- [4]肝型糖原病検査:通常、成人にはグルカゴン(遺伝子組換え)として1mgを生理食塩液20mLに溶かし、3分かけて静脈内に注射する。
なお、小児においてはグルカゴン(遺伝子組換え)として1mgを1mLの注射用水に溶解し、通常体重1kg当たり0.03mgを筋肉内に注射する。ただし、最大投与量は1mgとする。
[判定基準]
正常反応は個々の施設で設定されるべきであるが、通常、正常小児では、本剤筋注後30~60分で血糖はピークに達し、前値より25mg/dL以上上昇する。正常成人では、本剤の静注後15~30分でピークに達し、前値より30~60mg/dL上昇する。しかし、投与後の血糖のピーク値だけでは十分な判定ができないと考えられる場合は、投与後15~30分毎に測定し、判定することが望ましい。
- [5]胃の内視鏡的治療の前処置:通常、グルカゴン(遺伝子組換え)として1mgを1mLの注射用水に溶解し、筋肉内又は静脈内に注射する。また、内視鏡的治療中に消化管運動が再開し、治療に困難を来した場合又はその可能性がある場合には、1mgを追加投与する。
なお、本剤の作用発現時間は、筋肉内注射の場合約5分、静脈内注射の場合1分以内であり、作用持続時間については、筋肉内注射の場合約25分間、静脈内注射の場合15~20分間である。
グルカゴンGノボ注射用1mgの効能・効果
- [1]消化管X線検査及び消化管内視鏡検査の前処置。
- [2]低血糖時の救急処置。
- [3]成長ホルモン分泌機能検査。
- [4]肝型糖原病検査。
- [5]胃の内視鏡的治療の前処置。
【効能又は効果に関連する注意】
- 1.〈低血糖時の救急処置〉血糖上昇作用は、主として肝グリコーゲンの分解によるので、飢餓状態、副腎機能低下症、一部糖原病等の場合は血糖上昇効果がほとんど期待できない、また、アルコール性低血糖の場合には、血糖上昇効果はみられない。
- 2.〈胃の内視鏡的治療の前処置〉食道、十二指腸及び下部消化管の内視鏡的治療の前処置については使用経験がない。
グルカゴンGノボ注射用1mgの副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 1.重大な副作用:
- 1)ショック、アナフィラキシーショック(いずれも頻度不明):ショック、アナフィラキシーショック(初期症状:不快感、顔面蒼白、血圧低下等)があらわれることがある。
- 2)低血糖症状(0.1%未満):低血糖症状(初期症状:嘔吐、嘔気、全身倦怠、傾眠、顔面蒼白、発汗、冷汗、冷感、意識障害等)があらわれることがあるので観察を十分に行い、異常が認められた場合には直ちにブドウ糖、直ちに糖質の補給が望ましい。。
- 2.その他の副作用:
- [1]過敏症:(頻度不明)じん麻疹。
- [2]消化器:(0.1~5%未満)嘔気、嘔吐、(0.1%未満)腹痛、腹鳴、下痢。
- [3]血液:(0.1~5%未満)白血球数増加、白血球分画変動。
- [4]心血管系:(0.1%未満)心悸亢進、(頻度不明)血圧低下[低血糖時に本剤投与後40分から60分に、12/35例(34.3%)で血圧、特に収縮期血圧が20~30mmHg程度低下し、また、収縮期血圧低下は、静脈内投与より筋肉内投与(静脈内投与2例、筋肉内投与10例)に多く認められた]、高血圧。
- [5]肝臓:(0.1%未満)血清ビリルビン上昇。
- [6]糖代謝:(0.1~5%未満)血糖値上昇、尿糖。
- [7]脂質代謝:(0.1%未満)トリグリセライド上昇。
- [8]その他:(0.1~5%未満)頭痛、倦怠感、(0.1%未満)眠気、顔色不良、発汗、めまい、ほてり、冷感、LDH上昇、血清カリウム上昇、血清カリウム低下、血清無機リン上昇、尿潜血、(頻度不明)熱感、発赤、注射部位反応。
発現頻度は、使用成績調査及び未承認効能を対象とした第3相臨床試験の結果を含む。
グルカゴンGノボ注射用1mgの使用上の注意
【禁忌】
- 1.褐色細胞腫又はパラガングリオーマの患者及びその疑いのある患者[急激な昇圧発作を起こすことがある]。
- 2.本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
【重要な基本的注意】
- 1.本剤投与後に二次的低血糖が起こることがある。
- 1)〈効能共通〉低血糖に基づくめまい、ふらつき、意識障害を起こすことがあるので、高所作業、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には注意させること。
- 2)〈消化管のX線及び内視鏡検査の前処置、成長ホルモン分泌機能検査、肝型糖原病検査、胃の内視鏡的治療の前処置〉消化管のX線及び内視鏡検査の前処置、成長ホルモン分泌機能検査、肝型糖原病検査、胃の内視鏡的治療の前処置の場合、二次的な低血糖を予防するため、検査終了後、糖分を経口摂取させることが望ましい。
- 2.〈低血糖時の救急処置〉低血糖時の救急処置の場合、患者及びその看護者(家族等)が対処できるように、注射法について十分指導する(また、低血糖に関する注意についても十分徹底させる)。
- 3.〈低血糖時の救急処置〉低血糖を生じた患者にグルカゴンを投与すると通常10分以内に症状が改善するが、症状が改善しない場合は、直ちに、ブドウ糖等の静脈内投与等適切な処置を行うこと(なお、回復した場合でも糖質投与を行うことが望ましい)。
- 4.〈消化管のX線及び内視鏡検査の前処置〉投与直後だけでなく、検査終了後にも血圧低下があらわれることがあるため、検査終了後も観察を十分に行い、症状があらわれた場合には適切な処置を行うこと。
- 5.〈成長ホルモン分泌機能検査〉成長ホルモン分泌機能検査では、最終的に成長ホルモン分泌不全性低身長症と診断された症例においても、一部にグルカゴン投与による血中hGHの上昇が認められることがある。本剤の臨床試験において、最終的に成長ホルモン分泌不全性低身長症と診断された6/19例(31.6%)に本剤投与後、血中hGHの上昇(hGHピーク値:10ng/mL以上)が認められた。また、10ng/mL(プロプラノロール併用では15ng/mL)以上のhGHピーク値が認められた場合は正常反応、10ng/mL未満は低反応とすると、グルカゴン負荷とインスリンあるいはアルギニン負荷との診断的一致率は、それぞれ70.6%(24/34例)、75.8%(25/33例)であった。
【合併症・既往歴等のある患者】
- 1.インスリノーマのある患者:血糖値の変動に注意すること(インスリン分泌が促進され、低血糖を起こすおそれがある)。
- 2.糖尿病患者及び糖代謝異常が認められる患者:糖尿病の病態(内因性インスリン分泌能等)を考慮し、血糖値の変動等の観察を十分に行い、異常が認められた場合には、直ちに適切な処置を行い、胃の内視鏡的治療の前処置時に追加投与(計2mg)を行った場合には、特に注意すること(本剤の血糖上昇作用により、血糖コントロールに影響を及ぼすおそれがある)。また、糖代謝異常が認められる患者においては、高血糖状態が持続する可能性がある。
- 3.糖原病1型の患者:肝型糖原病検査に際しては、特に乳酸アシドーシスの発現に注意すること。糖原病1型ではグルコース-6-リン酸からグルコースへの変換が障害されているため、本剤の投与により血液中の乳酸が増加し、乳酸アシドーシスが起こり緊急処置を要した例が報告されている。
【肝機能障害患者】
- 1)肝硬変等、肝の糖放出能が低下している肝疾患のある患者:本剤のインスリン分泌促進作用により低血糖を起こすおそれがある。
【妊婦】
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないことが望ましい(動物膵由来グルカゴンにおけるマウス、ラットを用いた生殖・発生毒性試験において、胎仔眼球異常が報告されている)。
【授乳婦】
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
【小児等】
低血糖症状があらわれやすい。主に小児を対象とした成長ホルモン分泌機能検査においては、嘔気(6/46例、13.0%)、嘔吐(4/46例、8.7%)、発汗(3/46例、6.5%)等の低血糖によると思われる症状が多く認められている。特に、プロプラノロール併用による小児を対象とした成長ホルモン分泌機能検査では、2/5例(40.0%)に低血糖によると思われる症状が認められている。
【高齢者】
- 1)高齢者:一般に生理機能が低下している。
- 2)心疾患のある高齢者:心筋の酸素消費量の増加に伴い虚血症状の悪化が起こるおそれがある。
【相互作用】
- 2.併用注意:
- [1]β-遮断剤(プロプラノロール塩酸塩、アテノロール、ピンドロール)[血糖上昇後のリバウンド現象である低血糖症状があらわれやすくなり、特に、成長ホルモン分泌機能検査におけるプロプラノロール併用時に低血糖によると思われる症状が高頻度に認められているので、観察を十分に行うこと(通常、低血糖になるとアドレナリンが遊離され血糖を上昇させるが、β-遮断剤の併用により低血糖からの回復反応が抑制され、また、低血糖に対する交感神経系の症状(振戦、動悸等)をマスクし、低血糖を遷延させる可能性がある)]。
- [2]インスリン[インスリンの血糖降下作用が減弱することがあるので、血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(本剤は糖新生亢進、肝グリコーゲン分解促進等による血糖上昇作用を有する)]。
- [3]ワルファリンカリウム[ワルファリンカリウムの抗凝血作用が増強することがあるので、併用時は凝固能の変動に注意し、必要であればワルファリンカリウムを減量するなど適切な措置を行うこと(機序不明)]。
【過量投与】
高用量のグルカゴンは嘔吐、嘔気、血清カリウム低下を引き起こすことがある。
【適用上の注意】
- 1.薬剤調製時の注意:
- 1)本剤を添付の溶解液全量で溶かすこと。このとき、1mL中にグルカゴン(遺伝子組換え)1mgを含む注射用液が調製できる。ただし、成人における肝型糖原病検査の場合は、生理食塩液20mLに溶かすこと。
- 2)溶解後は速やかに使用する(溶解後凍結した場合は使用しない)。
- 2.薬剤投与時の注意:
- 1)筋肉内注射にあたっては、組織・神経等への影響を避けるため、次の点に配慮すること。・ 筋肉内注射時神経走行部位を避けるよう注意して注射すること。・ 筋肉内注射時繰り返し注射する場合には同一部位を避けること。特に小児等には注意すること。・ 注射針を刺入したとき、激痛を訴えたり、血液の逆流をみた場合には、直ちに針を抜き部位を変えて注射すること。
- 2)完全に溶けなかった場合、又は浮遊物がみられた場合は使用しないこと。
【取扱い上の注意】
個装箱開封後は、凍結を避け、冷所(15℃以下)に遮光して保存すること。
【保管上の注意】
凍結を避け、冷所(15℃以下)に保存。