オムニスキャン静注32%の用法・用量
- 本剤0.2mL/kgを静脈内注射する。腎臓を対象とする場合は、本剤0.1mL/kgを静脈内注射する。
<用法・用量に関連する使用上の注意>
- 1)20mLを超えて投与しない[承認前の調査で、20mLを超えて投与すると臨床検査値異常の発現の増加がみられている]。
- 2)投与量換算:体重当たりの投与量は次を参照する。
- 体重40kgの場合:本剤投与量8.0mL(腎臓を対象とする場合4.0mL)。
- 体重50kgの場合:本剤投与量10.0mL(腎臓を対象とする場合5.0mL)。
- 体重60kgの場合:本剤投与量12.0mL(腎臓を対象とする場合6.0mL)。
- 体重70kgの場合:本剤投与量14.0mL(腎臓を対象とする場合7.0mL)。
- 体重80kgの場合:本剤投与量16.0mL(腎臓を対象とする場合8.0mL)。
- 体重90kgの場合:本剤投与量18.0mL(腎臓を対象とする場合9.0mL)。
- 体重100kg以上の場合:本剤投与量20.0mL(腎臓を対象とする場合10.0mL)。
オムニスキャン静注32%の効能・効果
磁気共鳴コンピューター断層撮影における次記造影:脳・脊髄造影、躯幹部・四肢造影。
<効能・効果に関連する使用上の注意>
- 1.ガドリニウム造影剤を複数回投与した患者において、非造影T1強調MR画像上、小脳歯状核、淡蒼球等に高信号が認められたとの報告や脳の剖検組織からガドリニウムが検出されたとの報告があるので、ガドリニウム造影剤を用いた検査の必要性を慎重に判断する。
- 2.本剤を含む線状型ガドリニウム造影剤は、環状型ガドリニウム造影剤より脳にガドリニウムが多く残存するとの報告があるので、本剤は環状型ガドリニウム造影剤の使用が適切でない場合に投与する。
オムニスキャン静注32%の副作用
<承認時>承認前の調査992例中報告された副作用(臨床検査値の変動を除く)は0.8%(8例)で、主な副作用は発疹等の皮膚症状0.3%(3件)であった。また、主な臨床検査値の変動はAST(GOT)上昇1.2%(9/762)、ALT(GPT)上昇1.1%(8/760)であった。なお、臨床検査値の変動がみられた症例はいずれも軽度な変動であり、臨床上問題となるような症例は認められなかった。
<再審査終了時>承認後における使用成績調査7,662例中報告された副作用は0.69%(53例)で、主な副作用は肝機能検査異常0.07%(5件)、AST(GOT)上昇0.09%(7件)、ALT(GPT)上昇0.13%(10件)等の肝臓・胆管系障害、嘔気0.09%(7件)、悪心0.07%(5件)、嘔吐0.05%(4件)等の消化管障害、発熱0.03%(2件)、気分不良0.03%(2件)、顔面潮紅0.03%(2件)、熱感0.03%(2件)等の一般的全身障害であった。
- 1.重大な副作用(頻度不明)
- 1)ショック、アナフィラキシー:ショックを起こし、呼吸困難、意識消失、顔面蒼白等の症状が現れることがあり、また、呼吸困難、咽頭浮腫・喉頭浮腫、顔面浮腫等のアナフィラキシーが現れることがあるので、投与後も観察を十分に行い、異常が認められた場合には適切な処置を行う。
- 2)痙攣発作:痙攣発作が現れることがあるので、このような症状が現れた場合はフェノバルビタール等バルビツール酸誘導体又はジアゼパム等を投与する。
- 3)腎性全身性線維症(Nephrogenic Systemic Fibrosis、NSF):重篤な腎障害のある患者において、腎性全身性線維症が現れることがあるので、投与後も観察を十分に行い、皮膚そう痒、皮膚腫脹、皮膚硬化、関節硬直、筋力低下等の異常の発生には十分留意する。
- 2.その他の副作用:次記の副作用が現れることがあるので、異常が認められた場合には必要に応じ適切な処置を行う。
- 1)過敏症:(0.1%未満)発赤、発疹、蕁麻疹、そう痒感、顔面潮紅等。
- 2)循環器:(頻度不明)血圧低下、血圧上昇、動悸、頻脈。
- 3)血液:(0.1%未満)赤血球減少、白血球変動、ヘモグロビン減少、ヘマトクリット減少、血小板減少。
- 4)呼吸器:(0.1%未満)咳嗽、くしゃみ、鼻閉、(頻度不明)喘息。
- 5)精神神経系:(0.1%未満)頭痛、眩暈。
- 6)消化器:(0.1~5%未満)悪心、(0.1%未満)下痢、嘔吐。
- 7)肝臓:(0.1~5%未満)肝機能障害[AST上昇(GOT上昇)、ALT上昇(GPT上昇)等]、(0.1%未満)総ビリルビン上昇。
- 8)その他:(0.1~5%未満)Al-P上昇、(0.1%未満)気分不快感、発汗、温熱感、発熱、悪寒、冷汗、冷感、結膜充血、LDH上昇、カリウム値変動、クロル値上昇、血清鉄変動、尿蛋白増加、尿沈渣増加。
オムニスキャン静注32%の使用上の注意
【警告】
- 1.本剤を髄腔内に投与すると重篤な副作用を発現する恐れがあるので、髄腔内には投与しない。
- 2.重篤な腎障害のある患者では、ガドリニウム造影剤による腎性全身性線維症の発現のリスクが上昇することが報告されているので、腎障害のある患者又は腎機能低下している恐れのある患者では、十分留意する。
【禁忌】
- 1.本剤の成分又はガドリニウム造影剤に対し過敏症の既往歴のある患者。
- 2.重篤な腎障害のある患者[腎性全身性線維症を起こすことがある(また、本剤の主たる排泄経路は腎臓であり、腎機能低下患者では、排泄遅延から急性腎障害等の症状が悪化する恐れがある)]。
【原則禁忌】
- 1.一般状態の極度に悪い患者。
- 2.気管支喘息のある患者[ショック、アナフィラキシーが現れることがあり、また、喘息発作を誘発することがある]。
- 3.重篤な肝障害のある患者[肝機能に影響を及ぼす恐れがある]。
【慎重投与】
- 1.アレルギー性鼻炎、発疹、蕁麻疹等を起こしやすいアレルギー体質を有する患者。
- 2.両親、兄弟に気管支喘息、アレルギー性鼻炎、発疹、蕁麻疹等を起こしやすいアレルギー体質を有する患者。
- 3.薬物過敏症の既往歴のある患者。
- 4.既往歴を含めて、痙攣、てんかん及びその素質のある患者[海外で痙攣が報告されている]。
- 5.腎障害のある患者又は腎機能低下している恐れのある患者。
- 6.高齢者。
- 7.幼児又は小児。
【重要な基本的注意】
- 1.過敏反応に備え、使用に際しては十分な問診を行う。
- 2.ショック、アナフィラキシー等の重篤な副作用が現れることがあるので、投与に際しては必ず救急処置の準備を行う。また、本剤投与開始より1時間~数日後にも遅発性副作用(発熱、発疹、悪心、血圧低下、呼吸困難等)が現れることがあるので、投与後も患者の状態を十分に観察する。患者に対して、発熱、発疹、悪心、血圧低下、呼吸困難等の症状が現れた場合には速やかに主治医等に連絡するよう指導するなど適切な対応をとる。
- 3.腎障害のある患者又は腎機能低下している恐れのある患者に本剤を投与する場合には、患者の腎機能を十分に評価した上で慎重に投与する。
- 4.長期透析が行われている終末期腎障害、eGFRが30mL/min/1.73㎡未満の慢性腎障害(eGFR<estimated glomerular filtration rate:推算糸球体濾過値>)、急性腎障害の患者では、ガドリニウム造影剤による腎性全身性線維症の発現のリスクが上昇することが報告されているので、本剤の投与を避ける。
【高齢者への投与】
本剤は主として腎臓から排泄されるが、高齢者では腎機能が低下していることが多いため高い血中濃度が持続する恐れがあるので、患者の状態を十分に観察しながら慎重に投与する。
【妊婦・産婦・授乳婦等への投与】
- 1.妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には診断上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与する[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない、また、動物(ウサギ)における妊娠中期投与試験において、0.5mmol/kg/日の投与(妊娠6日から18日まで)で胎仔骨格異常が報告されている]。
- 2.投与後24時間は授乳を避けさせる[動物実験(ラット静脈内投与)で乳汁中に移行することが報告されている]。
【小児等への投与】
- 1.低出生体重児、新生児又は乳児に対する安全性は確立していない(使用経験が少ない)。
- 2.幼児又は小児に投与する場合は、患者の状態を十分に観察しながら慎重に投与する。
【臨床検査結果に及ぼす影響】
本剤は比色分析法(キレート滴定法)による血清カルシウム測定値に影響を与えることがあり、また、他の電解質の測定値にも影響(例えば鉄)を与えることがあるので、本剤投与後24時間以内には比色分析法(キレート滴定法)を用いないことが望ましい。
【適用上の注意】
- 1.投与経路:髄腔内投与は行わない。
- 2.投与時:
- 1)静脈内投与により血管痛、血栓性静脈炎が現れることがある。
- 2)通常、コントラストは本剤投与直後から約45分後まで持続する。追加投与によってコントラストの向上が得られるとは限らないので、コントラストが持続している場合は漫然と追加投与しない。
- 3)誤って血管外に造影剤を漏出させてしまった場合には、発赤、腫脹、水疱、血管痛等が現れることがあるので、注入時に十分注意する。
- 3.開封後:1回の検査にのみ使用し、余剰の溶液は廃棄する。