トリクロリールシロップ10%の用法・用量
トリクロホスナトリウムとして、通常成人1回1~2gを就寝前又は検査前に経口投与する。幼小児は年齢により適宜減量する。なお、患者の年齢及び状態、目的等を考慮して、20~80mg/kgを標準とし、総量2gを超えないようにする。
【用法及び用量に関連する注意】
患者の年齢及び状態、目的等を考慮した体重あたりの製剤1回量は次のとおりである。なお、体重25kg未満の患者においては、総量として体重に80mg/kgを乗じた量を超えないこと。
- [1]体重5kg:トリクロホスナトリウム100~400mg、トリクロリールシロップ10%1~4mL。
- [2]体重10kg:トリクロホスナトリウム200~800mg、トリクロリールシロップ10%2~8mL。
- [3]体重15kg:トリクロホスナトリウム300~1200mg、トリクロリールシロップ10%3~12mL。
- [4]体重20kg:トリクロホスナトリウム400~1600mg、トリクロリールシロップ10%4~16mL。
- [5]体重25kg:トリクロホスナトリウム500~2000mg、*トリクロリールシロップ10%5~20mL。
- [6]体重30kg:トリクロホスナトリウム600~2000mg、*トリクロリールシロップ10%6~20mL。
*本剤の総量は20mLを超えないこと。
トリクロリールシロップ10%の効能・効果
- [1]脳波検査・心電図検査等における睡眠。
- [2]不眠症。
トリクロリールシロップ10%の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 1.重大な副作用:
- 1)無呼吸、呼吸抑制(いずれも頻度不明):心肺停止に至った症例も報告されているので、呼吸状態の観察を十分に行うこと。
- 2)ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明):そう痒感、浮腫、呼吸困難、血圧低下、チアノーゼ等があらわれた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
- 3)依存性(頻度不明):連用により薬物依存を生じることがあるので観察を十分に行い、用量及び使用期間に注意し慎重に投与すること。また、連用中の投与量の急激な減少ないし投与の中止により、痙攣発作、せん妄、振戦、不安等の離脱症状があらわれることがあるので投与を中止する場合には、徐々に減量するなど慎重に行うこと。
- 2.その他の副作用:
- [1]過敏症:(頻度不明)発疹、紅斑、水疱、固定薬疹、そう痒感、発熱。
- [2]循環器:(頻度不明)徐脈。
- [3]肝臓:(頻度不明)AST上昇、ALT上昇。
- [4]血液:(頻度不明)好酸球増多、白血球減少。
- [5]消化器:(頻度不明)悪心・嘔吐、鼓腸、胃痛。
- [6]精神神経系:(頻度不明)頭痛、めまい、ふらつき、運動失調、興奮、抑うつ、構音障害、覚醒遅延。
- [7]その他:(頻度不明)浮腫、尿量減少、ケトン尿症。
トリクロリールシロップ10%の使用上の注意
【禁忌】
- 1.本剤の成分又は抱水クロラールに対して過敏症の既往歴のある患者[本剤は、抱水クロラールと同様に生体内でトリクロロエタノールとなる]。
- 2.急性間けつ性ポルフィリン症の患者[ポルフィリン症の症状を増悪させる]。
【重要な基本的注意】
- 1.呼吸抑制等が起こることがあるので患者の状態を十分観察すること(特に小児では呼吸数、心拍数、経皮的動脈血酸素飽和度等をモニタリングするなど、十分に注意すること)。
- 2.抱水クロラールは、本剤と同様に生体内で活性代謝物であるトリクロロエタノールとなるため、併用により過量投与になるおそれがあるので注意すること。
- 3.本剤投与中の患者には、自動車の運転等危険を伴う機械の操作には従事させないよう注意すること。
- 4.連用により薬物依存を生じることがあるので、漫然とした継続投与による長期使用を避ける(本剤の投与を継続する場合には、治療上の必要性を十分に検討する)。
【合併症・既往歴等のある患者】
- 1.虚弱者:呼吸抑制を起こすおそれがある。
- 2.呼吸機能低下している患者:呼吸抑制を起こすおそれがある。
- 3.重篤な心疾患又は不整脈のある患者:心機能抑制により症状を増悪させるおそれがある。
【腎機能障害患者】
腎機能障害患者:本剤は肝臓において加水分解され、トリクロロエタノールとなり、また腎臓より排泄されるため、血中濃度の持続・上昇により副作用を増強するおそれがある。
【肝機能障害患者】
肝機能障害患者:本剤は肝臓において加水分解され、トリクロロエタノールとなり、また腎臓より排泄されるため、血中濃度の持続・上昇により副作用を増強するおそれがある。
【妊婦】
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
【授乳婦】
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
【小児等】
- 1)次の点を考慮し、少量から投与を開始するなど患者の状態を観察しながら、慎重に投与すること(一般に成人に比し、薬物感受性が高い)。・ 無呼吸、呼吸抑制、痙攣は低出生体重児、新生児、乳幼児での報告が多い。・ 無呼吸、呼吸抑制が起こり、心肺停止に至った症例も報告されている。・ 痙攣(間代性痙攣、部分発作等)が起こることがある。
【高齢者】
少量から投与を開始するなど慎重に投与すること(高齢者では呼吸抑制を起こすおそれがあり、また、一般に副作用があらわれやすい)。
【相互作用】
- 2.併用注意:
- [1]中枢神経抑制剤(フェノチアジン誘導体、バルビツール酸誘導体等)、モノアミン酸化酵素阻害剤[これらの作用を増強することがあるので、やむを得ず投与する場合には減量するなど慎重に投与すること(中枢抑制作用が増強する可能性がある)]。
- [2]アルコール[これらの作用を増強することがあるので、やむを得ず投与する場合には減量するなど慎重に投与すること(アルコール脱水素酵素を競合的に阻害し、アルコールの血中濃度が高くなる)]。
- [3]クマリン系抗凝血剤(ワルファリン等)[これらの作用を増強することがあるので、併用する場合には通常より頻回にプロトロンビン値の測定を行うなど慎重に投与すること(主代謝産物であるトリクロル酢酸は血漿蛋白結合部位からワルファリンを遊離置換し、遊離型ワルファリン濃度を増加させる)]。
【過量投与】
- 1.症状:過量投与時、呼吸抑制、徐脈、血圧低下が認められることがある。
- 2.処置:過量投与時、呼吸、脈拍、血圧、経皮的動脈血酸素飽和度の監視を行うとともに、気道の確保等の適切な処置を行うこと(血液透析、血液灌流が有効であったとの報告もある)。
【取扱い上の注意】
凍結を避け、冷所保存(1~15℃)すること。
【保管上の注意】
冷所保存。