トビエース錠4mgの用法・用量
〈過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿及び切迫性尿失禁〉
通常、成人にはフェソテロジンフマル酸塩として4mgを1日1回経口投与する。なお、症状に応じて1日1回8mgまで増量できる。
〈神経因性膀胱における排尿管理〉
通常、体重25kg超の小児にはフェソテロジンフマル酸塩4mgを開始用量として1日1回経口投与する。投与開始から1週間後以降に、患者の状態に応じて1日1回8mgまで増量できる。
【用法及び用量に関連する注意】
重度腎障害(クレアチニンクリアランス30mL/min未満)のある患者、中等度肝障害のある患者(Child-Pugh分類B)、又は強力なチトクロムP450<CYP>3A4阻害薬投与中の患者では、1日投与量はフェソテロジンフマル酸塩として4mgとし、8mgへの増量は行わないものとする。
トビエース錠4mgの効能・効果
- [1]過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿及び切迫性尿失禁。
- [2]神経因性膀胱における排尿管理。
【効能又は効果に関連する注意】
- 1.〈過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿及び切迫性尿失禁〉本剤を適用する際、過活動膀胱の場合、十分な問診により臨床症状を確認し類似症状を呈する疾患(尿路感染症、尿路結石、膀胱癌や前立腺癌など下部尿路の新生物等)に留意し尿検査等により除外診断を実施し必要に応じ専門的な検査も考慮すること。
- 2.〈過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿及び切迫性尿失禁〉過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿及び切迫性尿失禁の場合、下部尿路閉塞疾患(前立腺肥大症等)を合併している患者では、それに対する治療を優先させること。
- 3.〈過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿及び切迫性尿失禁〉認知症で過活動膀胱の自覚症状の把握が困難、認知機能障害で過活動膀胱の自覚症状の把握が困難な患者の場合は、本剤の投与対象とならない。
- 4.〈神経因性膀胱における排尿管理〉本剤の薬理作用(排尿筋の収縮の抑制)を踏まえて、本剤投与の適否を判断すること。
トビエース錠4mgの副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 1.重大な副作用:
- 1)尿閉(2.0%)。
- 2)血管性浮腫(頻度不明):顔面浮腫、口唇腫脹、舌腫脹、喉頭浮腫、咽頭腫脹、咽頭浮腫等があらわれることがある。
- 3)QT延長(頻度不明)、心室性頻拍(頻度不明)、房室ブロック(頻度不明)、徐脈(頻度不明)。
- 2.その他の副作用:
- [1]眼障害:(1~10%未満)眼乾燥、(0.3~1%未満)霧視。
- [2]神経系障害:(1~10%未満)頭痛、めまい、(0.3~1%未満)傾眠、味覚異常、(頻度不明)感覚鈍麻。
- [3]精神障害:(頻度不明)錯乱状態。
- [4]心臓障害:(0.3~1%未満)心電図QT延長、頻脈、(0.3%未満)動悸。
- [5]血管障害:(0.3~1%未満)高血圧。
- [6]呼吸器、胸郭及び縦隔障害:(1~10%未満)咽喉乾燥、(0.3~1%未満)鼻乾燥、咳嗽、口腔咽頭痛、鼻出血。
- [7]肝胆道系障害:(0.3%未満)AST増加、(0.3~1%未満)ALT増加、γ-GTP増加。
- [8]胃腸障害:(10%以上)口内乾燥(36.5%)、(1~10%未満)便秘、消化不良、腹痛、悪心、下痢、(0.3~1%未満)胃食道逆流性疾患、腹部不快感、腹部膨満、嘔吐、胃炎、(0.3%未満)鼓腸。
- [9]腎及び尿路障害:(1~10%未満)排尿困難、尿路感染、(0.3~1%未満)膀胱炎、排尿躊躇、尿流量減少、残尿、尿失禁。
- [10]皮膚及び皮下組織障害:(0.3~1%未満)皮膚乾燥、発疹、皮膚そう痒症、(頻度不明)蕁麻疹、血管性浮腫。
- [11]全身障害及び投与局所様態:(0.3~1%未満)CK増加、疲労、浮腫。
トビエース錠4mgの使用上の注意
【禁忌】
- 1.尿閉を有する患者[抗コリン作用により排尿時の膀胱収縮が抑制され、症状が悪化するおそれがある]。
- 2.眼圧が調節できない閉塞隅角緑内障の患者[眼圧の上昇を招き、症状が悪化するおそれがある]。
- 3.幽門閉塞、十二指腸閉塞又は腸管閉塞している患者及び麻痺性イレウスのある患者[抗コリン作用により胃腸の平滑筋の収縮及び運動が抑制され、症状が悪化するおそれがある]。
- 4.胃アトニー又は腸アトニーのある患者[抗コリン作用により消化管運動が低下するため症状が悪化するおそれがある]。
- 5.重症筋無力症の患者[抗コリン作用により筋緊張の低下がみられ症状が悪化するおそれがある]。
- 6.重度肝障害のある患者(Child-Pugh分類C)。
- 7.重篤な心疾患の患者[抗コリン作用により、症状を悪化させるおそれがある]。
- 8.本剤の成分あるいは酒石酸トルテロジンに対して過敏症の既往歴のある患者。
【重要な基本的注意】
- 1.眼調節障害(霧視等)、めまい、眠気等を起こすことがあるので、本剤投与中の患者には、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には注意させること。
- 2.本剤投与で効果が認められない場合、漫然と使用すべきではない。
【合併症・既往歴等のある患者】
- 1.下部尿路閉塞疾患(前立腺肥大症等)を合併している患者:本剤投与前に残尿量測定を実施し、必要に応じて、専門的な検査をし、投与後は残尿量の増加に注意し、十分な経過観察を行うこと(抗コリン作用により、尿閉を誘発するおそれがある)。
- 2.消化管運動低下する危険性のある患者:腸管閉塞を招くおそれがある。
- 3.潰瘍性大腸炎の患者:中毒性巨大結腸があらわれるおそれがある。
- 4.眼圧が調整可能な閉塞隅角緑内障の患者:眼圧の上昇を招き、症状が悪化するおそれがある。
- 5.狭心症等の虚血性心疾患のある患者:抗コリン作用により頻脈が生じ、症状を増悪させるおそれがある。
- 6.甲状腺機能亢進症の患者:抗コリン作用により、頻脈等の交感神経興奮症状が悪化するおそれがある。
- 7.パーキンソン症状又は脳血管障害のある患者:症状の悪化あるいは精神神経症状があらわれるおそれがある。
- 8.認知症、認知機能障害のある患者:抗コリン作用により、症状を悪化させるおそれがある。
【腎機能障害患者】
- 1)重度腎障害(クレアチニンクリアランス30mL/min未満)のある患者:本剤の活性代謝物トルテロジン5-ヒドロキシメチル体(5-HMT)の血漿中濃度が上昇する可能性がある。
- 2)腎障害<重度腎障害を除く>のある患者:活性代謝物5-HMTの血漿中濃度が上昇する可能性がある。
【肝機能障害患者】
- 1)重度肝障害のある患者(Child-Pugh分類C):投与しないこと(血中濃度が過度に上昇するおそれがある)。
- 2)中等度肝障害のある患者(Child-Pugh分類B):活性代謝物5-HMTの血漿中濃度が上昇する可能性がある。
- 3)軽度肝障害のある患者(Child-Pugh分類A):活性代謝物5-HMTの血漿中濃度が上昇する可能性がある。
【妊婦】
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(動物実験において、臨床曝露量*を超える高い血漿中濃度(AUCで6~27倍(マウス)及び3~11倍(ウサギ)、Cmaxで77倍(マウス)及び19倍(ウサギ))において軽度の胚毒性・胎仔毒性(吸収胚数増大及びそれに関連した生存胎仔数減少並びに胎仔骨化遅延(ウサギのみ))が認められた)。*:臨床最大推奨用量でのCYP2D6の代謝酵素活性が欠損しているヒトにおける摂食下での曝露量(最も曝露量が高くなる条件)。
【授乳婦】
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(フェソテロジンがヒトの乳汁中に移行するかは不明であるが、活性代謝物が同一である類薬トルテロジンでは、動物実験(マウス)で乳汁中への移行がわずかに認められている)。
【小児等】
- 1)低出生体重児、新生児、乳児又は6歳未満の幼児を対象とした臨床試験は実施していない。
- 2)体重が低いほど、本剤の活性代謝物5-HMTの血漿中濃度が上昇する可能性がある。
【相互作用】
本剤の代謝にはCYP2D6及びCYP3A4が関与している。
- 2.併用注意:
- [1]抗コリン作用を有する薬剤(三環系抗うつ剤、フェノチアジン系薬剤、モノアミン酸化酵素阻害剤)[口内乾燥、便秘、排尿困難等があらわれるおそれがある(抗コリン作用が増強されるおそれがある)]。
- [2]CYP3A4阻害薬(アタザナビル、クラリスロマイシン、インジナビル、イトラコナゾール、ネルフィナビル、リトナビル(ブースト療法における全てのリトナビル投与を含む)、サキナビル、テリスロマイシン等)[活性代謝物5-HMTの血漿中濃度の上昇に伴い効果や副作用の増強が予想される(併用薬剤の強力なCYP3A4阻害作用による)]。
- [3]CYP3A4誘導薬(フェニトイン、カルバマゼピン、リファンピシン、フェノバルビタール等、セイヨウオトギリソウ<セント・ジョーンズ・ワート>含有食品(St.John’s Wort))[活性代謝物5-HMTの血漿中濃度の低下に伴い効果が減弱する可能性がある(これらの薬剤及びセイヨウオトギリソウのCYP3A4誘導作用による)]。
- [4]CYP2D6阻害薬(キニジン、パロキセチン等)[活性代謝物5-HMTの血漿中濃度が上昇する可能性があることから、4mgから8mgへの増量に際しては患者の状況を十分に観察しながら慎重に行うこと(併用薬剤の強力なCYP2D6阻害作用による)]。
【過量投与】
- 1.症状:過量投与時、重度中枢性抗コリン作用(例、幻覚、重度の興奮)、痙攣、著しい興奮、呼吸不全、頻脈、尿閉、散瞳。
- 2.処置:胃洗浄及び活性炭の投与を行い、必要に応じて次のような適切な処置を行うこと。
- 1)過量投与時、重度中枢性抗コリン作用(例、幻覚、重度の興奮)に対しては胃洗浄及び活性炭の投与を行い、必要に応じてネオスチグミンを投与する。
- 2)過量投与時、痙攣及び著しい興奮に対しては胃洗浄及び活性炭の投与を行い、必要に応じてベンゾジアゼピン系薬剤を投与する。
- 3)過量投与時、呼吸不全に対しては胃洗浄及び活性炭の投与を行い、必要に応じて人工呼吸を実施する。
- 4)過量投与時、頻脈に対しては胃洗浄及び活性炭の投与を行い、必要に応じてβ遮断薬を投与する。
- 5)過量投与時、尿閉に対しては胃洗浄及び活性炭の投与を行い、必要に応じて導尿を実施する。
- 6)過量投与時、散瞳に対しては胃洗浄及び活性炭の投与を行い、必要に応じてピロカルピン点眼薬による治療を行うか、暗い部屋に移す、あるいはピロカルピン点眼薬による治療と暗い部屋に移す両方の処置を行う。
【適用上の注意】
- 1.薬剤交付時の注意:
- 1)PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。
- 2)湿気、高温を避けて保存し、服用直前にPTPシートから取り出すよう指導すること。
- 3)本剤は徐放性製剤であるため、割ったり、砕いたり、すりつぶしたりしないで、そのままかまずに服用するよう指導すること(割ったり、砕いたり、すりつぶしたりして服用すると、本剤の徐放性が失われ、血中濃度が上昇するおそれがある)。
【保管上の注意】
室温保存。