ドプテレット錠20mgの用法・用量
〈待機的な観血的手技を予定している慢性肝疾患患者における血小板減少症の改善〉
通常、成人には、アバトロンボパグとして次の用量を1日1回、5日間食後に経口投与する。投与開始前の血小板数が40000/μL以上50000/μL未満:40mg。投与開始前の血小板数が40000/μL未満:60mg。
〈持続性及び慢性免疫性血小板減少症〉
通常、成人には、アバトロンボパグとして初回投与量20mgを1日1回、食後に経口投与する。投与開始後、血小板数、症状に応じて用法・用量を適宜調節する。また、最高投与量は40mgを1日1回とする。
【用法及び用量に関連する注意】
- 1.〈待機的な観血的手技を予定している慢性肝疾患患者における血小板減少症の改善〉本剤の投与は観血的手技の施行予定日の10~13日前を目安に開始すること。
- 2.〈待機的な観血的手技を予定している慢性肝疾患患者における血小板減少症の改善〉本剤を再投与した場合の有効性及び安全性は検討されていない(特に、血小板数が50000/μL未満に低下していない患者では他の治療法を選択すること)。
- 3.〈持続性及び慢性免疫性血小板減少症〉本剤は治療上必要最小限の用法・用量で使用すること。
- 4.〈持続性及び慢性免疫性血小板減少症〉本剤の用法・用量は次を参照の上、血小板数に応じて2週間ごとに、血小板数が安定する(少なくとも4週間にわたり用量調節せずに血小板数が50000/μL以上)まで調節すること(なお、少なくとも2週間は同一用法・用量を維持すること)、ただし、血小板数が50000/μL未満又は400000/μL超の場合、1週間に1回、用量調節を行ってもよい。
- [1]40mgを1日1回投与:レベル6。
- [2]40mgを週3回及び20mgを各週の残り4日に投与:レベル5。
- [3]20mgを1日1回投与:レベル4。
- [4]20mgを週3回投与:レベル3。
- [5]20mgを週2回投与又は40mgを週1回投与:レベル2。
- [6]20mgを週1回投与:レベル1。
- *)1日1回より低い頻度で本剤を投与する場合は、連日投与を避け、週ごとに一貫した方法で服薬すること。
- [1]〈持続性及び慢性免疫性血小板減少症〉血小板数50000/μL未満:用量レベルを1段階上げる(ただし、最高投与量として1日1回40mgを4週間投与しても、臨床上重大な出血リスクを回避できるレベルに血小板数が増加しなかった場合は、本剤の投与を中止するなど、適切な処置を行うこと)。
- [2]〈持続性及び慢性免疫性血小板減少症〉血小板数50000/μL以上200000/μL未満:現状の用量レベルを維持する(ただし、出血のリスクを低下できる治療上必要最小限の用法・用量となるよう、適宜減量も考慮すること)。
- [3]〈持続性及び慢性免疫性血小板減少症〉血小板数200000/μL以上400000/μL以下:用量レベルを1段階下げる。
- [4]〈持続性及び慢性免疫性血小板減少症〉血小板数400000/μL超:本剤を休薬し、血小板数を週2回測定する(休薬後、血小板数が150000/μL未満まで減少した場合は、休薬前からの用量レベルを1段階下げて投与を再開する、ただし、最低投与量として週1回20mgを2週間投与しても血小板数が400000/μL超の場合は、本剤の投与を中止すること)。
- 5.〈持続性及び慢性免疫性血小板減少症〉本剤投与中は、血小板数が安定するまで(少なくとも4週間にわたり用量調節せずに血小板数が50000/μL以上)、血小板数を毎週測定し、血小板数が安定した場合でも4週に1回を目安に血小板数を測定すること。
- 6.〈持続性及び慢性免疫性血小板減少症〉強い又は中程度のCYP2C9及びCYP3A4を同時に阻害する薬剤とともに服用すると本剤の血中濃度が上昇するため、初回投与量を週3回20mgとすること(また、本剤投与中に強い又は中程度のCYP2C9及びCYP3A4を同時に阻害する薬剤の服用を開始した場合には、血小板数が安定するまで(少なくとも4週間にわたり用量調節せずに血小板数が50000/μL以上)、血小板数を毎週測定すること)。
- 7.〈持続性及び慢性免疫性血小板減少症〉強い又は中程度のCYP2C9及びCYP3A4を同時に誘導する薬剤とともに服用すると本剤の血中濃度が低下するため、初回投与量を1日1回40mgとすること。
- *)1日1回より低い頻度で本剤を投与する場合は、連日投与を避け、週ごとに一貫した方法で服薬すること。
ドプテレット錠20mgの効能・効果
- [1]待機的な観血的手技を予定している慢性肝疾患患者における血小板減少症の改善。
- [2]持続性免疫性血小板減少症及び慢性免疫性血小板減少症。
【効能又は効果に関連する注意】
- 1.〈待機的な観血的手技を予定している慢性肝疾患患者における血小板減少症の改善〉血小板数などの臨床検査値や臨床症状、観血的手技の種類から、出血のリスクが高いと考えられる場合に使用すること。
- 2.〈待機的な観血的手技を予定している慢性肝疾患患者における血小板減少症の改善〉開腹を伴う観血的手技、開胸を伴う観血的手技、開心を伴う観血的手技、開頭を伴う観血的手技又は臓器切除を伴う観血的手技の場合は、本剤の投与を避けること(有効性及び安全性は確立していない)。
- 3.〈持続性及び慢性免疫性血小板減少症〉免疫性血小板減少症の発症又は診断後6カ月以上経過した患者に投与すること。
- 4.〈持続性及び慢性免疫性血小板減少症〉他の治療にて十分な効果が得られない場合、又は忍容性に問題があると考えられる場合に使用すること。
- 5.〈持続性及び慢性免疫性血小板減少症〉血小板数、臨床症状からみて出血リスクが高いと考えられる場合に使用すること。
- 6.〈持続性及び慢性免疫性血小板減少症〉免疫性血小板減少症の発症又は診断から6~12カ月の患者における有効性及び安全性は確立していない。
ドプテレット錠20mgの副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 1.重大な副作用:
- 1)血栓症、血栓塞栓症:門脈血栓症(0.3%)、脳卒中(0.3%)、その他の動脈血栓症又は静脈血栓症(頻度不明)があらわれることがある。
- 2)骨髄線維症(頻度不明):骨髄線維症があらわれることがあり、血球系形態異常又は血球減少を認めた場合は、本剤の投与を中止すること(また、線維化状態の確認のため骨髄生検・特殊染色等の実施を考慮すること)。
- 3)出血(0.3%):本剤の投与中止後に出血を生じることがある。
- 2.その他の副作用:
- [1]血液およびリンパ系障害:(1%未満)貧血。
- [2]胃腸障害:(1-5%)悪心、(1%未満)腹痛、(頻度不明)歯肉出血。
- [3]一般・全身障害および投与部位の状態:(1-5%)疲労、(1%未満)発熱、(頻度不明)末梢性浮腫。
- [4]免疫系障害:(1%未満)過敏症(そう痒、発疹、息詰まり、紅斑、咽頭浮腫、全身性そう痒症、斑状皮疹、顔面腫脹、舌腫脹、蕁麻疹など)。
- [5]感染症および寄生虫症:(頻度不明)上咽頭炎、上気道感染。
- [6]傷害、中毒および処置合併症:(頻度不明)挫傷。
- [7]代謝および栄養障害:(頻度不明)低ナトリウム血症。
- [8]筋骨格系および結合組織障害:(1%未満)筋肉痛、(頻度不明)関節痛。
- [9]神経系障害:(1-5%)頭痛。
- [10]呼吸器、胸郭および縦隔障害:(頻度不明)鼻出血。
- [11]皮膚および皮下組織障害:(頻度不明)点状出血。
ドプテレット錠20mgの使用上の注意
【禁忌】
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
【重要な基本的注意】
- 1.〈効能共通〉血小板数が正常範囲以下であっても血栓症が報告されているため、観察を十分に行い、血小板数にかかわらず血栓症の発現に注意すること。
- 2.〈待機的な観血的手技を予定している慢性肝疾患患者における血小板減少症の改善〉観血的手技の施行前には血小板数が十分に増加していることを確認すること。本剤を投与しても、観血的手技の実施に際し十分な血小板数の増加が得られない場合があるため、必要に応じて血小板輸血の準備をするなど、適切な措置を講じること。
- 3.〈待機的な観血的手技を予定している慢性肝疾患患者における血小板減少症の改善〉観血的手技後に血栓症を発現した症例が報告されているため、本剤投与開始後は観察を十分に行うこと。
- 4.〈待機的な観血的手技を予定している慢性肝疾患患者における血小板減少症の改善〉本剤の投与終了後又は中止後に血小板数が本剤投与開始前の値に復帰するため、易出血性となる可能性を考慮して観察を十分に行い、必要に応じて適切な処置を行うこと。
- 5.〈持続性及び慢性免疫性血小板減少症〉本剤は、血液疾患の治療に十分な経験を持つ医師のもとで使用すること。
- 6.〈持続性及び慢性免疫性血小板減少症〉本剤投与後は、定期的に血小板数を測定し、血小板数が治療の目標とするレベルを超えた場合には、本剤の減量又は休薬を考慮するなど注意すること。
- 7.〈持続性及び慢性免疫性血小板減少症〉本剤の投与中止により血小板減少を認めることがあるため、本剤の中止後4週間程度は血小板数を頻回に測定すること。
- 8.〈持続性及び慢性免疫性血小板減少症〉本剤を含むトロンボポエチン受容体作動薬には、骨髄レチクリン線維形成進行及び骨髄レチクリン線維化進行させる可能性があるので、本剤の投与開始前には、末梢血液像(末梢血塗抹標本)、全血算(赤血球、白血球及び血小板)及び網状赤血球数の検査を行い、全ての血球系の形態異常の有無を十分観察すること(また、本剤投与中は、末梢血液像(末梢血塗抹標本)、全血算(赤血球、白血球及び血小板)及び網状赤血球数の検査を4週に1回を目安に実施し、全ての血球系形態異常及び血球減少の存否を観察すること)。
- 9.〈持続性及び慢性免疫性血小板減少症〉トロンボポエチン受容体作動薬には、既存の骨髄異形成症候群進行等の血液悪性腫瘍進行させる可能性がある。
【合併症・既往歴等のある患者】
- 1.血栓症、血栓塞栓症を有する患者又はそれらの既往歴を有する患者:血栓症又は血栓塞栓症の発現リスクが高くなるおそれがあり、臨床試験では除外されている。
- 2.血栓症の発現因子を有する患者:先天性血栓症の発現因子を有する患者(凝固第5因子ライデン変異・プロトロンビンG20210A変異、抗トロンビン欠損症、プロテインC欠損症又はプロテインS欠損症など)又は後天性血栓症の発現因子を有する患者(抗リン脂質抗体症候群など)は、血栓症又は血栓塞栓症の発現リスクが高くなるおそれがある。
- 3.門脈血流速度低下している患者:血栓症又は血栓塞栓症の発現リスクが高くなるおそれがある。門脈血流速度10cm/秒未満の患者が待機的な観血的手技を予定する血小板減少症を伴う慢性肝疾患患者を対象とした臨床試験では除外され、門脈圧亢進症患者が慢性免疫性血小板減少症患者を対象とした臨床試験では除外されている。
【肝機能障害患者】
- 1)重度肝機能障害<Child-Pugh分類C>のある患者:投与可否を慎重に判断し、投与する場合は観察を十分に行うこと。
【妊婦】
治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(妊娠ラットで胎盤移行性が確認されている)。また、器官形成期のウサギ及びラットを用いた生殖発生毒性試験において、臨床曝露量を超える曝露で胎仔毒性が認められた(無毒性量でのウサギ及びラットのAUCに基づく曝露量は、ヒトの曝露量の35~53倍)。器官形成期及び授乳期のラットを用いた生殖発生毒性試験において、臨床曝露量を超える曝露で出生仔生存率低下及び出生仔発育遅延が認められた(出生仔における無毒性量での母動物及び出生仔のAUCに基づく曝露量は、ヒトの曝露量のそれぞれ14及び1倍)。
【授乳婦】
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(ラットで乳汁移行性が認められている)。
【小児等】
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
【相互作用】
- 2.併用注意:本剤は主にCYP2C9及びCYP3A4により代謝される。
- [1]強い又は中程度のCYP2C9及びCYP3A4の阻害剤(フルコナゾール等)[本剤の血中濃度が上昇し副作用が増強する可能性がある(これらの薬剤等がCYP2C9及びCYP3A4の代謝活性を阻害するため、本剤の血漿中濃度が上昇する可能性がある)]。
- [2]強い又は中程度のCYP2C9及びCYP3A4の誘導剤(リファンピシン等)[本剤の血中濃度が低下し本剤の有効性が減弱する可能性がある(これらの薬剤等がCYP2C9及びCYP3A4の代謝活性を誘導するため、本剤の血漿中濃度が低下する可能性がある)]。
【過量投与】
- 1.症状:過量投与時、血小板数が過剰に増加し、血栓性合併症又は血栓塞栓性合併症を起こすおそれがある。
- 2.処置:過量投与が発生した場合、または疑われる場合は、本剤の投与を中止し、患者の状態及び血小板数を十分にモニターし、血小板数の低下が確認された場合は、「7.用法及び用量に関連する注意」に従い、本剤の治療を再開すること(アバトロンボパグの尿中排泄率は約6%であり、血漿蛋白結合率が高いため、透析による除去は期待できない)。
【適用上の注意】
- 1.薬剤交付時の注意:
- 1)ブリスターシートから取り出して服用するよう指導すること(シートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。
- 2)服用直前にブリスターシートから取り出すよう指導すること。
【その他の注意】
- 1.臨床使用に基づく情報:慢性免疫性血小板減少症患者を対象に実施された海外臨床試験(E5501-G000-302試験、E5501-G000-305試験、501-CL-003試験、501-CL-004試験)の統合解析における血栓症・血栓塞栓症の発現割合は4.7%(128例中6例)であり、その内容は、脳卒中、深部静脈血栓症、頚静脈血栓症、門脈血栓症、肺塞栓症、心筋梗塞、網膜動脈閉塞、一過性脳虚血発作であった。
- 2.非臨床試験に基づく情報:本剤はヒト及びチンパンジー以外のトロンボポエチン受容体に対し親和性を持たず、ヒト及びチンパンジー以外の動物に対して薬理活性を示さない。このため毒性試験において、薬理活性に起因する影響は評価されていない。
【保険給付上の注意】
- 1.本製剤の効能又は効果に関連する注意において、「開腹、開胸、開心、開頭又は臓器切除を伴う観血的手技の場合は、本剤の投与を避けること」とされていることから、このような症例には使用しないこと。また、観血的手技の名称及び実施予定年月日を診療報酬明細書の摘要欄に記入すること。
【保管上の注意】
室温保存。
ドプテレット錠20mgの成分一致薬品
成分一致薬品は見つかりませんでした。



