オイグルコン錠2.5mgの用法・用量
通常、1日量グリベンクラミドとして1.25mg~2.5mgを経口投与し、必要に応じ適宜増量して維持量を決定する。ただし、1日最高投与量は10mgとする。投与方法は、原則として1回投与の場合は朝食前又は後、2回投与の場合は朝夕それぞれ食前又は後に経口投与する。
オイグルコン錠2.5mgの効能・効果
インスリン非依存型糖尿病(ただし、食事療法・運動療法のみで十分な効果が得られない場合に限る)。
オイグルコン錠2.5mgの副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 1.重大な副作用:
- 1)低血糖(8.9%):低血糖(初期症状:脱力感、高度空腹感、発汗等)があらわれることがある(なお、徐々に進行する低血糖では、精神障害、意識障害等が主である場合があるので注意すること)。また、本剤の投与により低血糖症状(脱力感、高度空腹感、発汗、動悸、振戦、頭痛、知覚異常、不安、興奮、神経過敏、集中力低下、精神障害、意識障害、痙攣等)が認められた場合には、糖質を含む食品を摂取するなど適切な処置を行うこと。ただし、α-グルコシダーゼ阻害剤(アカルボース、ボグリボース等)との併用により低血糖症状が認められた場合にはブドウ糖を投与すること。また、低血糖は投与中止後、臨床的にいったん回復したと思われる場合でも数日間は再発することがある。
- 2)無顆粒球症、溶血性貧血(いずれも頻度不明)。
- 3)肝炎、肝機能障害、黄疸(いずれも頻度不明):AST上昇・ALT上昇・γ-GTP上昇等を伴う肝炎、肝機能障害、黄疸があらわれることがある。
- 2.その他の副作用:
- [1]血液:(頻度不明)血小板減少、白血球減少。
- [2]肝臓:(頻度不明)AST上昇・ALT上昇。
- [3]消化器:(頻度不明)下痢、胃部膨満感、便秘、悪心、食欲不振、心窩部痛。
- [4]過敏症:(0.1~5%未満)そう痒感、(頻度不明)発疹、光線過敏症。
- [5]精神神経系:(頻度不明)めまい、けん怠感、眠気。
- [6]その他:(0.1~5%未満)脱毛、(頻度不明)流涙、視力低下、浮腫、アルコール耐性低下。
オイグルコン錠2.5mgの使用上の注意
【警告】
重篤かつ遷延性の低血糖を起こすことがあるので、用法及び用量、使用上の注意に特に留意すること。
【禁忌】
- 1.重症ケトーシス、糖尿病性昏睡又は糖尿病性前昏睡、インスリン依存型糖尿病(若年型糖尿病、ブリットル型糖尿病等)の患者[インスリンの適用である]。
- 2.重症感染症、手術前後、重篤な外傷のある患者[インスリンの適用である]。
- 3.重篤な肝機能障害又は重篤な腎機能障害のある患者[低血糖を起こすおそれがある]。
- 4.下痢、嘔吐等の胃腸障害のある患者[低血糖を起こすおそれがある]。
- 5.妊婦又は妊娠している可能性のある女性。
- 6.本剤の成分又はスルホンアミド系薬剤に対し過敏症の既往歴のある患者。
- 7.ボセンタン水和物投与中の患者。
【重要な基本的注意】
- 1.投与する場合には、少量より開始し、血糖、尿糖を定期的に検査し、薬剤の効果を確かめ、効果が不十分な場合には、速やかに他の治療法への切り替えを行うこと。
- 2.重篤かつ遷延性の低血糖を起こすことがあるので、高所作業、自動車の運転等に従事している患者に投与するときには注意すること。
- 3.低血糖に関する注意について、患者及びその家族に十分徹底させること。
【合併症・既往歴等のある患者】
- 1.低血糖を起こすおそれのある次の患者又は状態。・ 脳下垂体機能不全又は副腎機能不全。・ 栄養不良状態、飢餓状態、不規則な食事摂取、食事摂取量不足又は衰弱状態。・ 激しい筋肉運動。・ 過度のアルコール摂取者。。
【腎機能障害患者】
- 1)重篤な腎機能障害のある患者:投与しないこと(低血糖を起こすおそれがある)。
- 2)腎機能障害<重篤な腎機能障害を除く>のある患者:低血糖を起こすおそれがある。
【肝機能障害患者】
- 1)重篤な肝機能障害のある患者:投与しないこと(低血糖を起こすおそれがある)。
- 2)肝機能障害<重篤な肝機能障害を除く>のある患者:低血糖を起こすおそれがある。
【妊婦】
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと(スルホニルウレア系薬剤は胎盤を通過することが報告されており、新生児の低血糖、巨大児が認められている(また、動物実験(ラット)で催奇形作用が報告されている))。
【授乳婦】
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(他のスルホニルウレア系薬剤(トルブタミド)で母乳へ移行することが報告されている)。
【高齢者】
少量から投与を開始し定期的に検査を行うなど慎重に投与すること(生理機能が低下していることが多く、低血糖があらわれやすい)。
【相互作用】
本剤は主に肝代謝酵素CYP2C9及びCYP3A4により代謝される。
- 1.併用禁忌:ボセンタン水和物<トラクリア>[本剤との併用により、肝酵素値上昇の発現率が増加したとの報告がある(本剤及びボセンタン水和物は胆汁酸塩の排泄を阻害し、肝細胞内に胆汁酸塩の蓄積をもたらす)]。
- 2.併用注意:
- 1)血糖降下作用を増強する薬剤。
- [1]糖尿病用薬(インスリン製剤、ビグアナイド系薬剤、チアゾリジン系薬剤、α-グルコシダーゼ阻害剤、DPP-4阻害薬、GLP-1受容体作動薬、SGLT2阻害剤)[血糖降下作用の増強による低血糖症状が起こることがあるので、併用する場合には、血糖値その他患者の状態を十分観察し、必要に応じて本剤又は併用薬剤の投与量を調節するなど慎重に投与すること(血糖降下作用が増強される)]。
- [2]プロベネシド[血糖降下作用の増強による低血糖症状が起こることがあるので、併用する場合には、血糖値その他患者の状態を十分観察し、必要に応じて本剤又は併用薬剤の投与量を調節するなど慎重に投与すること(腎排泄抑制)]。
- [3]クマリン系薬剤(ワルファリンカリウム)[血糖降下作用の増強による低血糖症状が起こることがあるので、併用する場合には、血糖値その他患者の状態を十分観察し、必要に応じて本剤又は併用薬剤の投与量を調節するなど慎重に投与すること(肝代謝抑制)]。
- [4]サリチル酸剤(アスピリン、サザピリン等)[血糖降下作用の増強による低血糖症状が起こることがあるので、併用する場合には、血糖値その他患者の状態を十分観察し、必要に応じて本剤又は併用薬剤の投与量を調節するなど慎重に投与すること(血中蛋白との結合抑制、サリチル酸剤の血糖降下作用)]。
- [5]プロピオン酸系消炎剤(ナプロキセン、ロキソプロフェンナトリウム水和物等)、アリール酢酸系消炎剤(アンフェナクナトリウム水和物、ナブメトン等)、オキシカム系消炎剤(ロルノキシカム等)[血糖降下作用の増強による低血糖症状が起こることがあるので、併用する場合には、血糖値その他患者の状態を十分観察し、必要に応じて本剤又は併用薬剤の投与量を調節するなど慎重に投与すること(血中蛋白との結合抑制、これらの消炎剤は蛋白結合率が高いので、血中に本剤の遊離型が増加して血糖降下作用が増強するおそれがある)]。
- [6]フィブラート系薬剤(ベザフィブラート、クロフィブラート等)[血糖降下作用の増強による低血糖症状が起こることがあるので、併用する場合には、血糖値その他患者の状態を十分観察し、必要に応じて本剤又は併用薬剤の投与量を調節するなど慎重に投与すること(血中蛋白との結合抑制、肝代謝抑制、腎排泄抑制)]。
- [7]β-遮断剤(プロプラノロール、メトプロロール等)[血糖降下作用の増強による低血糖症状が起こることがあるので、併用する場合には、血糖値その他患者の状態を十分観察し、必要に応じて本剤又は併用薬剤の投与量を調節するなど慎重に投与すること(特にβ-遮断剤と併用する場合にはプロプラノロール等の非選択性β-遮断剤は避けることが望ましい)(糖新生抑制、アドレナリンによる低血糖からの回復抑制、低血糖に対する交感神経症状抑制)]。
- [8]シベンゾリンコハク酸塩、ジソピラミド、ピルメノール塩酸塩水和物[血糖降下作用の増強による低血糖症状が起こることがあるので、併用する場合には、血糖値その他患者の状態を十分観察し、必要に応じて本剤又は併用薬剤の投与量を調節するなど慎重に投与すること(インスリン分泌促進が考えられている)]。
- [9]モノアミン酸化酵素阻害剤[血糖降下作用の増強による低血糖症状が起こることがあるので、併用する場合には、血糖値その他患者の状態を十分観察し、必要に応じて本剤又は併用薬剤の投与量を調節するなど慎重に投与すること(インスリン分泌促進、糖新生抑制)]。
- [10]クラリスロマイシン[血糖降下作用の増強による低血糖症状が起こることがあるので、併用する場合には、血糖値その他患者の状態を十分観察し、必要に応じて本剤又は併用薬剤の投与量を調節するなど慎重に投与すること(機序不明、併用薬剤が本剤の血中濃度を上昇させる可能性がある)]。
- [11]サルファ剤(スルファメトキサゾール、スルファジメトキシン等)[血糖降下作用の増強による低血糖症状が起こることがあるので、併用する場合には、血糖値その他患者の状態を十分観察し、必要に応じて本剤又は併用薬剤の投与量を調節するなど慎重に投与すること(血中蛋白との結合抑制、肝代謝抑制、腎排泄抑制)]。
- [12]クロラムフェニコール[血糖降下作用の増強による低血糖症状が起こることがあるので、併用する場合には、血糖値その他患者の状態を十分観察し、必要に応じて本剤又は併用薬剤の投与量を調節するなど慎重に投与すること(肝代謝抑制)]。
- [13]テトラサイクリン系抗生物質(テトラサイクリン塩酸塩、ミノサイクリン塩酸塩等)[血糖降下作用の増強による低血糖症状が起こることがあるので、併用する場合には、血糖値その他患者の状態を十分観察し、必要に応じて本剤又は併用薬剤の投与量を調節するなど慎重に投与すること(インスリン感受性促進)]。
- [14]シプロフロキサシン、レボフロキサシン水和物[血糖降下作用の増強による低血糖症状が起こることがあるので、併用する場合には、血糖値その他患者の状態を十分観察し、必要に応じて本剤又は併用薬剤の投与量を調節するなど慎重に投与すること(機序不明)]。
- [15]アゾール系抗真菌剤(ミコナゾール、フルコナゾール等)[血糖降下作用の増強による低血糖症状が起こることがあるので、併用する場合には、血糖値その他患者の状態を十分観察し、必要に応じて本剤又は併用薬剤の投与量を調節するなど慎重に投与すること(肝代謝抑制、血中蛋白との結合抑制)]。
- 2)血糖降下作用を減弱する薬剤:
- [1]アドレナリン[血糖降下作用の減弱による高血糖症状(嘔気・嘔吐、脱水、呼気のアセトン臭等)が起こることがあるので、併用する場合には、血糖値その他患者の状態を十分に観察しながら投与すること(末梢でのブドウ糖の取り込み抑制、肝臓での糖新生促進)]。
- [2]副腎皮質ホルモン製剤(コルチゾン酢酸エステル、ヒドロコルチゾン等)[血糖降下作用の減弱による高血糖症状(嘔気・嘔吐、脱水、呼気のアセトン臭等)が起こることがあるので、併用する場合には、血糖値その他患者の状態を十分に観察しながら投与すること(肝臓での糖新生促進、末梢組織でのインスリン感受性低下)]。
- [3]甲状腺ホルモン製剤(レボチロキシンナトリウム水和物、乾燥甲状腺等)[血糖降下作用の減弱による高血糖症状(嘔気・嘔吐、脱水、呼気のアセトン臭等)が起こることがあるので、併用する場合には、血糖値その他患者の状態を十分に観察しながら投与すること(腸管でのブドウ糖吸収促進、グルカゴンの分泌促進、カテコラミンの作用増強、肝臓での糖新生促進)]。
- [4]卵胞ホルモン製剤(エストラジオール安息香酸エステル、エストリオール等)[血糖降下作用の減弱による高血糖症状(嘔気・嘔吐、脱水、呼気のアセトン臭等)が起こることがあるので、併用する場合には、血糖値その他患者の状態を十分に観察しながら投与すること(機序不明、コルチゾール分泌変化、組織での糖利用変化、成長ホルモンの過剰産生、肝機能の変化等が考えられている)]。
- [5]利尿剤(トリクロルメチアジド、フロセミド等)[血糖降下作用の減弱による高血糖症状(嘔気・嘔吐、脱水、呼気のアセトン臭等)が起こることがあるので、併用する場合には、血糖値その他患者の状態を十分に観察しながら投与すること(インスリン分泌の抑制、末梢組織でのインスリン感受性の低下)]。
- [6]ピラジナミド[血糖降下作用の減弱による高血糖症状(嘔気・嘔吐、脱水、呼気のアセトン臭等)が起こることがあるので、併用する場合には、血糖値その他患者の状態を十分に観察しながら投与すること(機序不明、血糖値のコントロールが難しいとの報告がある)]。
- [7]イソニアジド[血糖降下作用の減弱による高血糖症状(嘔気・嘔吐、脱水、呼気のアセトン臭等)が起こることがあるので、併用する場合には、血糖値その他患者の状態を十分に観察しながら投与すること(糖質代謝の障害による、血中ブドウ糖濃度上昇及び糖耐性障害)]。
- [8]リファンピシン[血糖降下作用の減弱による高血糖症状(嘔気・嘔吐、脱水、呼気のアセトン臭等)が起こることがあるので、併用する場合には、血糖値その他患者の状態を十分に観察しながら投与すること(肝代謝促進)]。
- [9]ニコチン酸[血糖降下作用の減弱による高血糖症状(嘔気・嘔吐、脱水、呼気のアセトン臭等)が起こることがあるので、併用する場合には、血糖値その他患者の状態を十分に観察しながら投与すること(肝臓でのブドウ糖の同化抑制)]。
- [10]フェノチアジン系薬剤(クロルプロマジン、フルフェナジンマレイン酸塩等)[血糖降下作用の減弱による高血糖症状(嘔気・嘔吐、脱水、呼気のアセトン臭等)が起こることがあるので、併用する場合には、血糖値その他患者の状態を十分に観察しながら投与すること(インスリン遊離抑制、副腎からのアドレナリン遊離)]。
- [11]フェニトイン[血糖降下作用の減弱による高血糖症状(嘔気・嘔吐、脱水、呼気のアセトン臭等)が起こることがあるので、併用する場合には、血糖値その他患者の状態を十分に観察しながら投与すること(インスリンの分泌阻害)]。
- [12]ブセレリン酢酸塩[血糖降下作用の減弱による高血糖症状(嘔気・嘔吐、脱水、呼気のアセトン臭等)が起こることがあるので、併用する場合には、血糖値その他患者の状態を十分に観察しながら投与すること(機序不明、ブセレリン酢酸塩投与により、インスリン非依存型糖尿病患者が依存型になったとの報告が海外である)]。
- 1)血糖降下作用を増強する薬剤。
【過量投与】
- 1.症状:過量投与時、低血糖が起こることがある。
- 2.処置:
- 1)過量投与時、飲食が可能な場合:ブドウ糖(5~15g)又は10~30gの砂糖の入った吸収のよいジュース、キャンディなどを摂取させる。
- 2)過量投与時、意識障害がある場合:ブドウ糖液(50%20mL)を静注し、必要に応じて5%ブドウ糖液点滴により血糖値の維持を図る。
- 3)その他:過量投与時、血糖上昇ホルモンとしてのグルカゴン投与もよい。
【適用上の注意】
- 1.薬剤交付時の注意:PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。
【その他の注意】
- 1.臨床使用に基づく情報:
- 1)スルホニルウレア系薬剤(トルブタミド1日1.5g)を長期間継続使用した場合、食事療法単独の場合と比較して心臓・血管系障害による死亡率が有意に高かったとの報告がある。
- 2)インスリン又は経口血糖降下剤の投与中にアンジオテンシン変換酵素阻害剤を投与することにより、低血糖が起こりやすいとの報告がある。
【保管上の注意】
室温保存。