エポジン皮下注シリンジ24000の用法・用量
通常、ヘモグロビン濃度が13g/dL未満の患者には初回採血1週間前から、ヘモグロビン濃度が13~14g/dLの患者には初回採血後より、成人にはエポエチン ベータ(遺伝子組換え)として1回24000国際単位を最終採血まで週1回皮下投与する。初回採血は、予定貯血量が800mLの場合は手術2週間前、1200mLの場合は手術3週間前を目安とする。なお、患者のヘモグロビン濃度や予定貯血量等に応じて投与回数や投与期間を適宜増減する。
エポジン皮下注シリンジ24000の効能・効果
貯血量が800mL以上で1週間以上の貯血期間を予定する手術施行患者の自己血貯血。
【効能又は効果に関連する注意】
本剤の投与は手術施行予定患者の中で貯血式自己血輸血施行例を対象とすること。なお、造血機能障害を伴う疾患における自己血貯血の場合には、本剤の効果及び安全性が確認されていないため投与しないこと。
エポジン皮下注シリンジ24000の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 1.重大な副作用:
- 1)ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明):ショック、アナフィラキシー(蕁麻疹、呼吸困難、口唇浮腫、咽頭浮腫等)を起こすことがある。
- 2)高血圧性脳症、脳出血(いずれも頻度不明):急激な血圧上昇により、頭痛・意識障害・痙攣等を示す高血圧性脳症、高血圧性脳出血があらわれる場合があるので、血圧等の推移に十分注意しながら投与すること。
- 3)心筋梗塞、肺梗塞、脳梗塞(いずれも頻度不明)。
- 4)肝機能障害、黄疸(いずれも頻度不明):AST上昇、ALT上昇、γ-GTP上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある。
- 5)赤芽球癆(頻度不明):抗エリスロポエチン抗体産生を伴う赤芽球癆があらわれることがあるので、赤芽球癆と診断された場合には本剤の投与を中止し、また、他のエリスロポエチン製剤への切り替えは避け、適切な処置を行うこと。
- 2.その他の副作用:
- [1]循環器:(頻度不明)血圧上昇、動悸。
- [2]皮膚:(頻度不明)ざ瘡、皮膚そう痒感、皮疹。
- [3]消化器:(0.1~2%未満)嘔気、腹痛、(頻度不明)嘔吐、食欲不振、下痢。
- [4]感覚器系:(0.1~2%未満)頭痛・頭重感、全身倦怠感、(頻度不明)めまい、体熱感・ほてり感、発汗、発熱、関節痛、筋肉痛、不眠。
- [5]血液:(0.1~2%未満)血小板増多、血中フィブリノゲン増加、白血球増多、好酸球増多。
- [6]腎臓:(頻度不明)腎機能障害増悪(BUN上昇、クレアチニン上昇等)。
- [7]その他:(頻度不明)鼻出血、口内苦味感、血清カリウム上昇、眼底出血(網膜動脈血栓症、網膜静脈血栓症等)。
副作用の発現頻度は製造販売後調査を含む。
エポジン皮下注シリンジ24000の使用上の注意
【禁忌】
本剤又は他のエリスロポエチン製剤・ダルベポエチン アルファ製剤に過敏症の患者。
【重要な基本的注意】
- 1.本剤使用時の注意:
- 1)本剤投与中はヘモグロビン濃度あるいはヘマトクリット値を定期的に観察し、過度の上昇(原則としてヘモグロビン濃度で14g/dL以上、ヘマトクリット値で42%以上を目安とする)が起こらないように注意し、過度のヘモグロビン濃度上昇あるいは過度のヘマトクリット値上昇があらわれた場合には、休薬あるいは採血等適切な処置を施すこと。
- 2)ショック等の反応を予測するため十分な問診をし、投与開始時あるいは休薬後の初回投与時には、本剤の少量で皮内反応あるいはプリック試験を行い、異常反応の発現しないことを確認後、全量を投与することが望ましい。
- 3)本剤の効果発現には鉄の存在が重要であり、鉄欠乏時には鉄剤の投与を行うこと。
- 2.貯血式自己血輸血に伴う一般的注意:
- 1)術前貯血式自己血輸血の対象は、その施設の従来の経験あるいは記録等より輸血を施行することが確実と予想される患者に限ること。
- 2)採血に先立って患者に貯血式自己血輸血について十分説明するとともに、その趣旨と採血血液の不使用の際の処分等につき患者の同意を得ること。
- 3)自己血採血は、ヘモグロビン濃度が11g/dL(ヘマトクリット値33%)未満では施行しないことが望ましい。
- 4)採血は1週間前後の間隔をもって行い、採血量は1回400mLを上限とし、採血量は患者の年齢、体重、採血時の血液検査所見及び血圧、脈拍数等を考慮して決定すること。
- 5)自己血採血時には採血を行う皮膚部位をポビドンヨード液等で十分に消毒し、無菌性を保つこと。
- 6)最終採血は血漿蛋白量の回復期間を考慮し手術前3日以内は避けることが望ましい。
- 7)「塩化ビニル樹脂製血液セット基準等について(平成11年3月30日医薬発第399号厚生省医薬安全局長通知)」の規格に適合し、「生物学的製剤基準:人全血液」に規定された所定量の血液保存液(CPD液等)を注入した採血セット等を用いて採血し、閉鎖回路を無菌的に保ちながら保存すること。
- 8)血液保存容器には自己血であることを明記するとともに、氏名、採血年月日、ABO式血液型の別等を表示しておくこと。
- 9)採血後の保存血液は温度記録計の設置されている保冷庫(血液保存庫)中で4~6℃で保管し、血液の返血は保存血液の有効期限内に行うこと。
- 10)保存血液の返血は、患者本人の血液であることを十分確認してから施行し、また、外観上異常を認めた場合は使用しないこと。
【合併症・既往歴等のある患者】
- 1.心筋梗塞、肺梗塞、脳梗塞等の患者、又はそれらの既往歴を有し血栓塞栓症を起こすおそれのある患者:本剤投与により血液粘稠度が上昇するとの報告があり、血栓塞栓症を増悪あるいは誘発するおそれがある(また、自己血貯血に使用する場合には、術後は一般に血液凝固能が亢進するおそれがある)。
- 2.高血圧症の患者:本剤投与により血圧上昇を認める場合があり、高血圧性脳症があらわれるおそれがある。
- 3.薬物過敏症の既往歴のある患者。
- 4.アレルギー素因のある患者。
【妊婦】
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
【授乳婦】
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(ヒトでの乳汁移行に関するデータはない)。
【小児等】
低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する臨床試験は実施していない。
【高齢者】
- 1)本剤投与に際しては特に循環系機能のモニターを頻回に行い、循環器異常、脳血管異常等に注意すること(一般に高齢者では生理機能が低下していることが多い)。
- 2)本剤の投与に際してはヘモグロビン濃度を頻回に測定して投与回数、投与期間及び投与量等を適宜調節すること(一般に高齢者では造血機能の低下が推定される)。
【適用上の注意】
- 1.薬剤投与時の注意:本剤を投与する場合は他剤との混注を行わないこと。
【その他の注意】
- 1.臨床使用に基づく情報:
- 1)心不全や虚血性心疾患を合併する血液透析患者において、目標ヘモグロビン濃度を14g/dL(ヘマトクリット値42%)に維持<本邦では承認外>した群では、10g/dL(ヘマトクリット値30%)前後に維持した群に比べて死亡率が高い傾向が示されたとの報告がある(外国人データ)。
- 2)保存期慢性腎臓病患者における腎性貧血に対する赤血球造血刺激因子製剤による治療について、目標ヘモグロビン濃度を13.5g/dLに設定<本邦では承認外>した患者では、11.3g/dLに設定した患者に比較して、有意に死亡及び心血管系障害の発現頻度が高いことが示されたとの報告がある(外国人データ)。
- 3)2型糖尿病の保存期慢性腎臓病で腎性貧血を合併している患者において、目標ヘモグロビン濃度を13.0g/dLに設定<本邦では承認外>して赤血球造血刺激因子製剤が投与された患者とプラセボが投与された患者(ヘモグロビン濃度が9.0g/dLを下回った場合に赤血球造血刺激因子製剤を投与)を比較したところ、赤血球造血刺激因子製剤群ではプラセボ群に比較して有意に脳卒中の発現頻度が高いことが示されたとの報告がある(外国人データ)。
- 4)がん化学療法又は放射線療法による貧血<本邦では承認外>患者に赤血球造血刺激因子製剤を投与することにより生存期間短縮が認められたとの報告がある(外国人データ)。
- 5)放射線療法による貧血<本邦では承認外>患者に赤血球造血刺激因子製剤を投与することにより、腫瘍進展又は腫瘍局所再発のリスクが増加したとの報告がある(外国人データ)。
- 6)プラセボを投与されたがん化学療法による貧血<本邦では承認外>患者に比べて赤血球造血刺激因子製剤の治療を受けた患者で血栓塞栓症の発現頻度が高いことが臨床試験にて示されたとの報告がある(外国人データ)。
- 7)がん化学療法又は放射線療法を受けていないがんに伴う貧血<本邦では承認外>患者に赤血球造血刺激因子製剤を投与した臨床試験において、プラセボを投与した患者に比べて死亡率が高いことが示されたとの報告がある(外国人データ)。
【取扱い上の注意】
外箱開封後は遮光して保存すること。
【保管上の注意】
凍結を避け、10℃以下で保存。