注射用エラスポール100の用法・用量
通常、本剤を生理食塩液に溶解した後、1日量(シベレスタットナトリウム水和物として4.8mg/kg)を250~500mLの輸液で希釈し、24時間(1時間当たり0.2mg/kg)かけて静脈内に持続投与する。投与期間は14日以内とする。
【用法及び用量に関連する注意】
- 1.本剤の投与は肺障害発症後72時間以内に開始することが望ましい。
- 2.症状に応じてより短期間で投与を終了することも考慮すること。なお、本剤投与5日後の改善度が低い場合には、その後の改善度(14日後)も低いことが示されている。
注射用エラスポール100の効能・効果
全身性炎症反応症候群に伴う急性肺障害の改善。
【効能又は効果に関連する注意】
- 1.本剤は次記の5.1.1及び5.1.2の両基準を満たす患者に投与すること。
- 1)全身性炎症反応症候群に関しては、次の項目のうち、2つ以上を満たすものとする。・ 体温>38℃又は<36℃。・ 心拍数>90回/分。・ 呼吸数>20回/分又はPaCO2<32mmHg。・ 白血球数>12000/μL、<4000/μL又は桿状球>10%。
- 2)急性肺障害に関しては、次の全項目を満たすものとする。・ 肺機能低下(機械的人工呼吸管理下でPaO2/FIO2が300mmHg以下)が認められる。・ 胸部X線所見で両側性に浸潤陰影が認められる。・ 肺動脈楔入圧が測定された場合には、肺動脈楔入圧≦18mmHg、測定されない場合には、左房圧上昇の臨床所見を認めない。
- 2.4臓器以上の多臓器障害を合併する患者、熱傷、外傷に伴う急性肺障害患者には投与しないことが望ましい(4臓器以上の多臓器障害を合併する患者、熱傷、外傷に伴う急性肺障害患者を除外せずに、ARDS Networkの基準に準拠して実施された外国臨床試験において、本剤投与群ではプラセボ群と比較し、Ventilator Free Days[VFD:28日間での人工呼吸器から離脱した状態での生存日数]及び28日死亡率で差は認められず、180日死亡率ではプラセボ群と比較して統計学的に有意に高かったとの報告がある)。
- 3.高度慢性呼吸器疾患を合併する患者については、有効性及び安全性は確立していない。
注射用エラスポール100の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 1.重大な副作用:
- 1)呼吸困難(0.3%)。
- 2)白血球減少(0.7%)、血小板減少(頻度不明)。
- 3)肝機能障害(1.0%)、黄疸(頻度不明):著しいAST上昇・著しいALT上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある。
- 2.その他の副作用:
- [1]過敏症:(1%未満)発疹等。
- [2]肝臓:(1~10%未満)ビリルビン上昇、AST上昇、ALT上昇、γ-GTP上昇、アルカリホスファターゼ上昇、(1%未満)ウロビリノーゲン陽性、LDH上昇。
- [3]血液:(1~10%未満)好酸球増加、(1%未満)血小板減少、血小板増多、貧血、出血傾向。
- [4]腎臓:(1%未満)多尿、尿蛋白増加、BUN上昇、(頻度不明)クレアチニン上昇。
- [5]その他:(1%未満)高カリウム血症、総蛋白減少、注射部静脈炎。
注射用エラスポール100の使用上の注意
【禁忌】
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
【重要な基本的注意】
本剤の投与は一般的な急性肺障害の治療法(呼吸管理、循環血液量の補正、抗菌剤等)に代わるものではないので、原疾患に対する適切な治療を実施すること。
【妊婦】
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
【授乳婦】
授乳しないことが望ましい(動物実験において乳汁中への移行が認められている)。
【小児等】
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
【高齢者】
一般に生理機能が低下している。
【適用上の注意】
- 1.薬剤調製時の注意:
- 1)カルシウムを含む輸液を用いるときは、本剤の濃度を1mg/mL以下として使用すること(本剤の濃度が2mg/mL以上では沈殿が生じることがある)。
- 2)輸液で希釈することによりpHが6.0以下となる場合には、沈殿が生じることがあるので注意すること。
- 3)アミノ酸輸液を用いると分解が生じることがあるので、アミノ酸輸液との混注は避けること。
【取扱い上の注意】
外箱開封後は遮光して保存すること。
【保管上の注意】
室温保存。