商品名

ベスポンサ点滴静注用1mg 添付文書情報

ベスポンサ点滴静注用1mgの用法用量

通常、イノツズマブ オゾガマイシン(遺伝子組換え)として1日目は0.8mg/㎡(体表面積)、8及び15日目は0.5mg/㎡(体表面積)を1日1回、1時間以上かけて点滴静脈内投与した後、休薬する。成人には、1サイクル目は21~28日間、2サイクル目以降は28日間を1サイクルとし、投与を繰り返す。小児には、1サイクル目は21~42日間、2サイクル目以降は28~42日間を1サイクルとし、投与を繰り返す。投与サイクル数は造血幹細胞移植の施行予定を考慮して決定する。なお、患者の状態により適宜減量する。

【用法及び用量に関連する注意】

  • 1.成人では、1サイクル目の期間は原則21日間とするが、寛解(血球数の回復の有無を問わない)が得られた場合は、28日間まで延長できる。小児では、1サイクル目の期間は原則21日間、2サイクル目以降は原則28日間とするが、寛解(血球数の回復の有無を問わない)が得られた場合は、42日間まで延長できる。また、寛解(血球数の回復の有無を問わない)が得られた場合、2サイクル目以降の1日目の投与量は、イノツズマブ オゾガマイシン(遺伝子組換え)として0.5mg/㎡(体表面積)とすること。なお、骨髄中の芽球が5%未満で、末梢血中の白血病芽球及び髄外病変が消失した場合に、寛解(血球数の回復の有無を問わない)が得られたと判断すること。
  • 2.本剤の投与サイクル数は、次のとおりとする。
    • 1)HSCTの施行を予定している場合:投与サイクル数の増加に応じてHSCT施行後のVOD/SOSの発現リスクが高まるおそれがあるので、本剤の効果が得られる最小限のサイクル数とし、治療上やむを得ないと判断される場合を除き、3サイクル終了までに投与を中止すること。
    • 2)HSCTの施行を予定していない場合:6サイクルまで投与を繰り返すことができる。ただし、HSCTの施行を予定していない場合、3サイクル終了までに本剤の効果が得られない場合には、投与を中止すること。
  • 3.本剤を7サイクル以上投与した際の有効性及び安全性は確立していない。
  • 4.副作用により本剤を休薬、減量、中止する場合には、次の基準を考慮すること(なお、減量を行った場合は、再度増量しないこと)。

[血液毒性]

  • [1]本剤による治療開始前の好中球絶対数1000/μL以上:2サイクル目以降のサイクル開始時に好中球絶対数減少が認められた場合は、好中球絶対数が1000/μL以上になるまで休薬する。
  • [2]本剤による治療開始前の血小板数50000/μL以上:2サイクル目以降のサイクル開始時に血小板数減少が認められた場合は、血小板数が50000/μL以上になるまで休薬する(次サイクル開始の判断に用いる血小板数は、輸血の影響を受けない値を用いること)。
  • [3]本剤による治療開始前の好中球絶対数1000/μL未満又は治療開始前の血小板数50000/μL未満:2サイクル目以降のサイクル開始時に好中球絶対数減少又は血小板数減少が認められた場合は、次のいずれかになるまで休薬する;①好中球絶対数及び血小板数がいずれも本剤による治療開始前の値以上、②好中球絶対数が1000/μL以上、かつ血小板数が50000/μL以上(次サイクル開始の判断に用いる血小板数は、輸血の影響を受けない値を用いること)、なお、直近の骨髄検査に基づき病態の安定又は改善が認められ、かつ好中球絶対数及び血小板数の減少が、本剤による副作用ではなく、原疾患によるものであると判断できる場合には、本剤の投与を開始できる。

[非血液毒性]

  • [1]VOD/SOS又は他の重篤な肝障害:投与を中止する。
  • [2]総ビリルビン値が施設基準値上限1.5倍超<ジルベール症候群又は溶血除く>又はASTが施設基準値上限の2.5倍超<ジルベール症候群又は溶血除く>/ALTが施設基準値上限の2.5倍超<ジルベール症候群又は溶血除く>:投与前の総ビリルビン値が施設基準値上限の1.5倍以下又はAST/ALTが施設基準値上限の2.5倍以下に回復するまで休薬する。
  • [3]infusion reaction:点滴投与を中断し、副腎皮質ステロイド、抗ヒスタミン剤の投与等の適切な処置を行い、重症度に応じ、投与を再開できる。重篤なinfusion reactionの場合は、投与を中止する。
  • [4]*グレード2以上の非血液毒性:投与前に、グレード1又は本剤による治療開始前のグレードになるまで休薬する。

*)グレードはCTCAE version3.0に準じる。

[用量調節基準]

  • [1](副作用による休薬期間)7日未満:同一サイクル内で、次回の投与を延期する(投与間隔は6日間以上あけること)。
  • [2](副作用による休薬期間)7日以上:同一サイクル内で、次回の投与を行わない。
  • [3](副作用による休薬期間)14日以上:初回発現の場合は次サイクルの各投与量を25%減量し、1サイクルの各投与量を25%減量した後の発現の場合は次の1サイクルあたりの投与回数を2回にし、1サイクルの投与回数を2回とした後の発現の場合は投与を中止する。
  • [4](副作用による休薬期間)28日超:投与中止を考慮する。
  • 5.infusion reactionを軽減させるために、副腎皮質ステロイド、解熱鎮痛剤又は抗ヒスタミン剤の前投与を考慮すること。
  • 6.他の抗悪性腫瘍剤との併用について、有効性及び安全性は確立していない。

ベスポンサ点滴静注用1mgの効能効果

再発又は難治性のCD22陽性の急性リンパ性白血病。

【効能又は効果に関連する注意】

  • 1.フローサイトメトリー法等の検査によって、CD22抗原が陽性であることが確認された患者に使用すること。
  • 2.臨床試験に組み入れられた患者の前治療歴等について、「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応となる患者の選択を行うこと。
  • 3.造血幹細胞移植<HSCT>の施行を予定している患者に対する本剤の投与については、本剤以外の治療の実施を十分検討した上で、慎重に判断すること(なお、成人においては、本剤投与によるHSCT施行後の全生存期間への影響は、既存の化学療法と同程度ではない可能性が示唆されている)。

ベスポンサ点滴静注用1mgの副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

  • 1.重大な副作用:
    • 1)肝障害:VOD/SOS(2.2%)、γ-GTP増加(12.1%)、AST増加(13.5%)、高ビリルビン血症(9.0%)、ALT増加(11.2%)、血中アルカリホスファターゼ増加(4.5%)等があらわれることがある。
    • 2)骨髄抑制:好中球減少(36.3%)、血小板減少(33.2%)、白血球減少(23.8%)、貧血(22.9%)、発熱性好中球減少症(14.3%)、リンパ球減少(11.2%)、汎血球減少症(0.4%)等があらわれることがある。
    • 3)感染症:肺炎(1.8%)、敗血症(1.8%)、敗血症性ショック(0.9%)等があらわれることがある。
    • 4)出血:鼻出血(4.5%)、消化管出血(0.9%)等があらわれることがある。
    • 5)infusion reaction:発熱、発疹、悪寒、低血圧等を含むinfusion reaction(18.8%)があらわれることがあり、多くの場合は、初回投与時に発現が認められたが、2回目以降の投与時にも認められているので、異常が認められた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置(副腎皮質ステロイド、抗ヒスタミン剤の投与等)を行うこと。
    • 6)腫瘍崩壊症候群(4.0%)。
    • 7)膵炎:膵炎(0.4%)、リパーゼ増加(4.5%)、アミラーゼ増加(1.8%)等があらわれることがある。
  • 2.その他の副作用:
    • [1]消化器:(5%以上)悪心、嘔吐、腹痛、下痢、(5%未満)便秘、口内炎、腹水。
    • [2]代謝:(5%以上)食欲減退、(5%未満)低カリウム血症、低アルブミン血症、高尿酸血症。
    • [3]精神・神経:(5%未満)不眠症、味覚異常。
    • [4]皮膚:(5%未満)皮膚そう痒症、発疹。
    • [5]筋骨格系:(5%未満)四肢痛。
    • [6]その他:(5%以上)疲労、頭痛、発熱、(5%未満)浮腫、無力症、QT間隔延長。

ベスポンサ点滴静注用1mgの使用上の注意

【警告】

  • 1.本剤の投与は、緊急時に十分対応できる医療施設において、造血器悪性腫瘍の治療に対して十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ行うこと。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与を開始すること。
  • 2.静脈閉塞性肝疾患(VOD)/類洞閉塞症候群(SOS)を含む肝障害があらわれることがあり、死亡に至った例も報告されているので、定期的に肝機能検査を行うとともに、患者の状態を十分に観察し、VOD/SOSを含む肝障害の徴候や症状の発現に注意すること。

【禁忌】

本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。

【重要な基本的注意】

  • 1.VOD/SOS等の重篤な肝障害があらわれることがあるので、本剤の投与前及び投与開始後は、定期的に肝機能検査を実施し、VOD/SOSを含む肝障害の徴候及び症状を十分に観察すること。本剤投与後に総ビリルビン値が施設基準値上限以上の場合は、HSCTの施行について慎重に判断すること。また、本剤投与後のHSCTにおいて、前処置として2種類のアルキル化剤は避ける(HSCT施行後は頻回に肝機能検査を行うこと)。
  • 2.骨髄抑制があらわれることがあるので、本剤投与前及び投与中は定期的に血液検査を行い、患者の状態を十分に観察すること。
  • 3.QT間隔延長があらわれることがあるので、本剤投与前及び投与中は定期的に心電図検査を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。
  • 4.腫瘍崩壊症候群があらわれることがあるので、血清中電解質濃度及び腎機能検査等を行うなど、腫瘍崩壊症候群の徴候及び症状を十分に観察すること。
  • 5.膵炎があらわれることがあるので、本剤投与前及び投与中は定期的な膵酵素に関する血液検査を行い、患者の状態を十分に観察すること。

【合併症・既往歴等のある患者】

  • 1.HSCT施行歴のある患者:VOD/SOSの発現リスクが高くなるおそれがある。
  • 2.感染症を合併している患者:骨髄抑制により感染症が増悪するおそれがある。
  • 3.末梢血芽球数が10000/μLを超える患者:本剤による治療前に、ヒドロキシカルバミド、副腎皮質ステロイド、ビンクリスチン等を投与し、末梢血芽球数を10000/μL以下にすることが望ましい。

【肝機能障害患者】

  • 1)肝疾患のある又はVOD/SOSの既往歴のある患者:肝疾患が増悪する又はVOD/SOSの発現リスクが高くなるおそれがある。

【生殖能を有する者】

妊娠可能な女性及びパートナーが妊娠する可能性のある男性:妊娠可能な女性及びパートナーが妊娠する可能性のある男性は、本剤投与中及び最終投与後一定期間は、適切な避妊を行うよう指導すること。

【妊婦】

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(動物試験(ラット)において、臨床曝露量の1.0倍の曝露量で胚毒性・胎仔毒性(胚死亡・胎仔死亡、上腕骨肥厚、肩甲骨奇形及び尺骨奇形)が認められ、1.4倍の曝露量で胚吸収率高値が認められており、また、マウスにおいて遺伝毒性が認められている)。

【授乳婦】

授乳しないことが望ましい(本剤又はその代謝物の母乳中への移行は不明であり、なお、ヒトIgGは母乳中へ移行することが知られている)。

【小児等】

低出生体重児、新生児、乳児を対象とした臨床試験は実施していない。

【高齢者】

患者の状態を確認しながら慎重に投与すること(高齢者ではHSCT施行後のVOD/SOSの発現リスクが高くなるおそれがある)。

【適用上の注意】

  • 1.薬剤調製時の注意:
    • 1)本剤は光の影響を受けやすいため、調製時は光(紫外線)を避けること。
    • 2)本剤は、無菌的に調製を行うこと。
    • 3)溶解方法:
      • (1)溶解時、1バイアルに日局注射用水4mLを加え、ゆっくりと回転させながら混和する(振とうは避けること)。
      • (2)溶解後に粒子や変色がないことを目視により確認すること(溶解後の液(調製後溶液:濃度0.25mg/mL)は無色澄明~わずかに濁っており、変色や異物が認められる場合は使用しないこと)。
      • (3)本剤は保存剤を含有していないため、溶解後は速やかに使用すること(速やかに使用できない場合は、凍結を避け、2~8℃で遮光保存し、4時間以内に使用すること)。
    • 4)希釈方法:
      • (1)溶解から希釈は4時間以内に行うこと。
      • (2)患者の体表面積より計算した必要量をバイアル(調製後溶液:濃度0.25mg/mL)から抜きとり、総液量約50mLとなるように点滴容器(日局生理食塩液)に加える。希釈時、ゆっくりと転倒混和し、振とうは避けること。
      • (3)点滴容器は、ポリ塩化ビニル(PVC)製、ポリオレフィン製又はエチレン酢酸ビニル(EVA)製が望ましい。
      • (4)希釈後は速やかに使用すること(速やかに使用できない場合は、室温又は、凍結を避け、2~8℃で遮光保存すること)。
  • 2.薬剤投与前の注意:
    • 1)希釈液が2~8℃で保存されている場合は、投与約1時間前に室温に戻しておくこと。
    • 2)ろ過する場合ポリエーテルスルホン(PES)製、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)製、親水性ポリスルホン(HPS)製フィルターが望ましい(ナイロン製、合成繊維素エステル(MCE)製フィルターは使用しない)。
  • 3.薬剤投与時の注意:
    • 1)本剤は光の影響を受けやすいため、投与時は光(紫外線)を避けること。
    • 2)点滴ラインは、ポリ塩化ビニル(PVC)製、ポリオレフィン製又はポリブタジエン製が望ましい。他剤<日局注射用水・日局生理食塩液を除く>との混注はしないこと。
    • 3)溶解から投与終了迄は8時間以内とすること。未使用の調製後溶液及び投与後の残液等は適切に廃棄すること。

【その他の注意】

  • 1.臨床使用に基づく情報:
    • 1)再発又は難治性のCD22陽性の急性リンパ性白血病患者を対象とした非盲検無作為化比較試験において、全生存期間の部分集団解析の結果、HSCT施行された患者集団において、対照(化学療法)群(n=33)に対する本剤群(n=77)のハザード比は1.376[97.5%信頼区間:0.729,2.596])であり、また、HSCT施行100日後までの死亡は、本剤群で20/77例(26.0%)、対照群で2/33例(6.1%)であった。
    • 2)臨床試験において、本剤に対する抗体産生が報告されている。
  • 2.非臨床試験に基づく情報:
    • 1)ラットを用いた反復投与毒性試験において、臨床曝露量の0.2倍以上の曝露量で精子減少ならびに前立腺萎縮及び精嚢萎縮を伴う精巣変性が認められた。また、ラット及びサルを用いた反復投与毒性試験において卵巣萎縮、子宮萎縮、腟萎縮又は乳腺萎縮が認められた。
    • 2)マウスを用いた小核試験において本剤は染色体異常を誘発した。また、本剤から遊離する細胞毒性物質であるN-Ac-γ-カリケアマイシン ジメチルヒドラジド(DMH)は細菌を用いる復帰突然変異試験において変異原性を示した。
    • 3)本剤のがん原性試験は実施していないが、ラットを用いた反復投与毒性試験において、臨床曝露量の0.2倍以上の曝露量で肝臓オーバル細胞過形成、変異細胞巣及び肝細胞腺腫が認められた。また、サルを用いた反復投与毒性試験において、臨床曝露量の2.9倍の曝露量で1例に変異肝細胞巣が認められた。

【取扱い上の注意】

本剤は光の影響を受けやすいため、本剤の包装を開封後も、バイアルを箱に入れて保存すること。

【保管上の注意】

2~8℃で保存。

ベスポンサ点滴静注用1mgの成分一致薬品

ベスポンサ点滴静注用1mg

ベスポンサ点滴静注用1mg

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