ベージニオ錠50mgの用法・用量
内分泌療法剤との併用において、通常、成人にはアベマシクリブとして1回150mgを1日2回経口投与する。ただし、術後薬物療法の場合には、投与期間は24ヵ月間までとする。なお、患者の状態により適宜減量する。
【用法及び用量に関連する注意】
- 1.併用する内分泌療法剤等について、「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、選択を行うこと。
- 2.副作用があらわれた場合は、次の基準を考慮して、休薬・減量・中止すること。
[減量の基準]
- [1]通常投与量:1回150mg1日2回。
- [2]1段階減量:1回100mg1日2回。
- [3]2段階減量:1回50mg1日2回。
[副作用発現時の用量調節基準]
- [1]肝機能障害:
- ①.持続するグレード2のAST増加又は持続するグレード2のALT増加又は再発のグレード2のAST増加又は再発のグレード2のALT増加、グレード3のAST増加又はグレード3のALT増加:ベースライン又はグレード1以下に回復するまで休薬し、再開する場合には投与量を1段階減量する。
- ②.グレード2以上AST増加・明らかな胆汁うっ滞認めない総Bil>2×ULN又はグレード2以上ALT増加・明らかな胆汁うっ滞認めない総Bil>2×ULN、グレード4のAST増加又はグレード4のALT増加:投与を中止する(Bil:ビリルビン、ULN:基準値上限)。
- [2]下痢:
- ①.グレード2で24時間以内に回復しない下痢の場合:グレード1以下に回復するまで休薬し、再開する場合には減量は不要である。
- ②.治療しても症状が継続するグレード2の下痢又は減量せずに再開後に再発したグレード2の下痢、入院を要する下痢又はグレード3の下痢もしくはグレード4の下痢:グレード1以下に回復するまで休薬し、再開する場合には投与量を1段階減量する。
- [3]血液毒性:
- ①.グレード3の血液毒性<初回発現>:グレード2以下に回復するまで休薬し、再開する場合には必要に応じて投与量を1段階減量する。
- ②.グレード3の血液毒性<2回目以降の発現>又はグレード4の血液毒性:グレード2以下に回復するまで休薬し、再開する場合には投与量を1段階減量する。
- ③.G-CSF製剤を投与した場合の血液毒性:G-CSF製剤の最終投与後少なくとも48時間以上経過し、かつグレード2以下になるまで休薬し、再開する場合には、投与量を1段階減量する。
- [4]間質性肺疾患:投与を中止する。
- [5]グレード2~4の静脈血栓塞栓症(術後薬物療法としての投与時):投与を中止する、又は適切な治療を行い、状態が安定するまで休薬し、再開する場合には必要に応じて投与量を1段階減量する。
- [6]前記以外の副作用:
- ①.治療して症状継続するグレード2で7日以内にベースラインに回復しない副作用又は治療して症状継続するグレード2で7日以内にグレード1まで回復しない副作用又は再発のグレード2で7日以内にベースラインまで回復しない副作用又は再発のグレード2で7日以内にグレード1まで回復しない副作用の場合:ベースライン又はグレード1以下に回復するまで必要に応じて休薬し、再開する場合には必要に応じて投与量を1段階減量する。
- ②.グレード3の副作用又はグレード4の副作用:ベースライン又はグレード1以下に回復するまで休薬し、再開する場合には投与量を1段階減量する。
グレードはNCI-CTCAE ver.4.0に準じる。
ベージニオ錠50mgの効能・効果
- [1]ホルモン受容体陽性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳癌。
- [2]ホルモン受容体陽性かつHER2陰性で再発高リスク乳癌における術後薬物療法。
【効能又は効果に関連する注意】
- 1.〈効能共通〉本剤の術前薬物療法としての有効性及び安全性は確立していない。
- 2.〈ホルモン受容体陽性かつHER2陰性で再発高リスク乳癌における術後薬物療法〉再発高リスクの定義等について、「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと。
ベージニオ錠50mgの副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 1.重大な副作用:
- 1)肝機能障害:ALT増加(8.1%)、AST増加(7.9%)等を伴う肝機能障害があらわれることがある。
- 2)重度下痢(7.5%*)。
- 3)骨髄抑制:好中球減少(42.2%)、白血球減少(32.0%)、貧血(19.1%)、血小板減少(11.0%)、リンパ球減少(10.6%)等があらわれることがある。
- 4)間質性肺疾患(1.2%):異常が認められた場合には、休薬し、呼吸器疾患に精通した医師と連携の上、胸部CT等の検査を実施するとともに、適切な処置を行うこと。
- 5)静脈血栓塞栓症(1.7%):深部静脈血栓症(0.7%)、肺塞栓症(0.6%)等の静脈血栓塞栓症があらわれることがある。*)NCI-CTCAE ver.4.0のグレード3以上の副作用。
- 2.その他の副作用:
- [1]消化器:(20%以上)下痢、腹痛、悪心、(5~20%未満)嘔吐、食欲減退、口内炎、(5%未満)消化不良、便秘、胃炎。
- [2]呼吸器:(5%未満)咳嗽、呼吸困難。
- [3]循環器:(5%未満)高血圧。
- [4]感染:(5%未満)上気道感染、尿路感染、肺感染、上咽頭炎、結膜炎、副鼻腔炎、膣感染、咽頭炎、敗血症。
- [5]皮膚:(5~20%未満)脱毛症、発疹、(5%未満)皮膚そう痒症、皮膚乾燥、爪障害、ざ瘡様皮膚炎。
- [6]精神神経系:(5%未満)浮動性めまい、味覚異常、うつ病。
- [7]臨床検査値異常:(5~20%未満)血中クレアチニン増加、(5%未満)低カリウム血症、γ-GTP増加、高カリウム血症、低カルシウム血症。
- [8]その他:(20%以上)疲労、(5~20%未満)ほてり、頭痛、(5%未満)流涙増加、体重減少、倦怠感、発熱、四肢痛、末梢性浮腫、眼乾燥、脱水、筋力低下、インフルエンザ様疾患、悪寒。
ベージニオ錠50mgの使用上の注意
【警告】
- 1.本剤は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。
- 2.本剤投与開始前に、胸部CT等の検査及び問診を実施し、間質性肺疾患の合併又は既往歴の有無を確認した上で、投与の可否を慎重に判断すること。
- 3.間質性肺疾患があらわれ、死亡に至った症例も報告されているので、初期症状(呼吸困難、咳嗽、発熱等)の確認、動脈血酸素飽和度(SpO2)の検査及び胸部X線検査の実施等、患者の状態を十分に観察すること(異常が認められた場合には、速やかに本剤を休薬し、呼吸器疾患に精通した医師と連携の上、胸部CT等の検査を実施するとともに、適切な処置を行うこと)、本剤による間質性肺疾患と診断された場合は、本剤の投与を中止すること。
【禁忌】
本剤の成分に対し重篤な過敏症の既往歴のある患者。
【重要な基本的注意】
- 1.肝機能障害があらわれることがあるので、本剤の投与開始前及び投与中は定期的に肝機能検査を行い、患者の状態を十分に観察すること。
- 2.間質性肺疾患があらわれることがあるので、次の点に注意すること。
- 1)投与開始前に、胸部CT等の検査及び問診を実施し、間質性肺疾患の合併又は既往歴がないことを確認した上で、投与の可否を慎重に判断すること。また、患者に副作用について説明するとともに、間質性肺疾患の初期症状(呼吸困難、咳嗽、発熱等)が発現した場合には、本剤を休薬し、速やかに医療機関を受診するよう説明すること。
- 2)投与中は、初期症状の確認、動脈血酸素飽和度(SpO2)の検査及び胸部X線検査の実施等、患者の状態を十分に観察すること(異常が認められた場合には、呼吸器疾患の診断に精通した医師と連携の上、胸部CT等の検査を実施すること)。
- 3.骨髄抑制があらわれることがあるので、本剤の投与開始前及び投与中は定期的に血液検査を行い、患者の状態を十分に観察すること。
【合併症・既往歴等のある患者】
- 1.間質性肺疾患のある患者又はその既往歴のある患者:間質性肺疾患が増悪するおそれがある。
【肝機能障害患者】
- 1)重度肝機能障害のある患者:減量を考慮するとともに、患者の状態をより慎重に観察し、有害事象の発現に十分注意すること(本剤の血中濃度が上昇するとの報告がある)。
【生殖能を有する者】
妊娠する可能性のある女性:妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後一定期間は、適切な避妊法を用いるよう指導すること。
【妊婦】
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(ラットを用いた胚・胎仔発生毒性試験において、臨床曝露量に相当する用量から催奇形性(大動脈弓欠損、肋骨欠損等)が認められている)。
【授乳婦】
授乳しないことが望ましい(本剤のヒト乳汁中への移行については不明であるが、本剤及び活性代謝物であるN-脱エチル体(M2)はBCRPの基質であるため、乳汁移行の可能性がある)。
【小児等】
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
【高齢者】
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること(一般に生理機能が低下していることが多い)。
【相互作用】
本剤は、主にCYP3Aにより代謝される。
- 2.併用注意:
- [1]CYP3A阻害剤(イトラコナゾール、クラリスロマイシン、ジルチアゼム、ベラパミル等)[本剤の血中濃度が上昇するおそれがあるので、減量を考慮するとともに、患者の状態を慎重に観察し、有害事象の発現に十分注意すること(これらの薬剤等がCYP3Aの代謝活性を阻害するため、本剤の血中濃度を上昇させる可能性がある)]。
- [2]グレープフルーツ、グレープフルーツジュース[本剤服用時は飲食を避けること(これらの薬剤等がCYP3Aの代謝活性を阻害するため、本剤の血中濃度を上昇させる可能性がある)]。
- [3]CYP3A誘導剤(リファンピシン、フェニトイン、カルバマゼピン等)[本剤の血中濃度が低下し効果が減弱するおそれがあるので、CYP3A誘導作用のない薬剤への代替を考慮すること(これらの薬剤がCYP3Aの代謝酵素を誘導するため、本剤の血中濃度を低下させる可能性がある)]。
【臨床検査結果に及ぼす影響】
本剤は、糸球体機能に影響を与えないものの、腎尿細管のトランスポーターを阻害し、血清クレアチニン濃度を増加させることがある。
【適用上の注意】
- 1.薬剤交付時の注意:PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。
【その他の注意】
- 2.非臨床試験に基づく情報:
- 1)ラットを用いた2年間がん原性試験において、臨床曝露量に相当する又は下回る用量から精巣間細胞過形成及び良性精巣間細胞腺腫が認められた。
- 2)マウス、ラット及びイヌを用いた反復投与毒性試験において、臨床曝露量を下回る用量から雄性生殖器への影響(精細管上皮変性、精巣上体精子減少等)が認められ、4週間の休薬で回復性は認められなかった。ラットを用いた試験において、雄授胎能への影響は認められなかった。
- 3)マウス及びラットを用いた反復投与毒性試験において、それぞれ臨床曝露量の約14倍及び7倍に相当する用量で網膜変性及び網膜萎縮が認められた。
【保管上の注意】
室温保存。