商品名

キュビシン静注用350mg 添付文書情報

キュビシン静注用350mgの用法用量

〈成人〉

敗血症、感染性心内膜炎

通常、成人にはダプトマイシンとして1日1回6mg/kgを24時間ごとに30分かけて点滴静注又は緩徐に静脈内注射する。

深在性皮膚感染症、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、びらん・潰瘍の二次感染

通常、成人にはダプトマイシンとして1日1回4mg/kgを24時間ごとに30分かけて点滴静注又は緩徐に静脈内注射する。

〈小児〉

敗血症

通常、ダプトマイシンとして次の用法及び用量に従い投与する。

  • [1]12歳以上18歳未満:1日1回7mg/kgを24時間ごとに30分かけて点滴静注。
  • [2]7歳以上12歳未満:1日1回9mg/kgを24時間ごとに30分かけて点滴静注。
  • [3]1歳以上7歳未満:1日1回12mg/kgを24時間ごとに60分かけて点滴静注。
    • 深在性皮膚感染症、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、びらん・潰瘍の二次感染
    • 通常、ダプトマイシンとして次の用法及び用量に従い投与する。
  • [1]12歳以上18歳未満:1日1回5mg/kgを24時間ごとに30分かけて点滴静注。
  • [2]7歳以上12歳未満:1日1回7mg/kgを24時間ごとに30分かけて点滴静注。
  • [3]2歳以上7歳未満:1日1回9mg/kgを24時間ごとに60分かけて点滴静注。
  • [4]1歳以上2歳未満:1日1回10mg/kgを24時間ごとに60分かけて点滴静注。

【用法及び用量に関連する注意】

  • 1.ダプトマイシンは主に腎臓で排泄されるため、血液透析又は連続携行式腹膜透析(CAPD)を受けている患者を含む腎機能障害の成人患者では、次を目安に本剤の投与間隔を調節すること。小児の腎機能障害患者に対する検討は行われていない。
    • [1]〈敗血症、感染性心内膜炎〉腎機能障害の成人患者;①クレアチニンクリアランス(CLcr)≧30mL/min:1回6mg/kgを24時間ごと、②クレアチニンクリアランス(CLcr)<30mL/min(血液透析又はCAPDを受けている患者を含む):1回6mg/kgを48時間ごと(可能な場合、血液透析日には血液透析後に本剤を投与すること、週3回でも可)。
    • [2]〈深在性皮膚感染症、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、びらん・潰瘍の二次感染〉腎機能障害の成人患者;①クレアチニンクリアランス(CLcr)≧30mL/min:1回4mg/kgを24時間ごと、②クレアチニンクリアランス(CLcr)<30mL/min(血液透析又はCAPDを受けている患者を含む):1回4mg/kgを48時間ごと(可能な場合、血液透析日には血液透析後に本剤を投与すること、週3回でも可)。
  • 2.本剤は、1日2回以上投与しないこと(海外第1相及び第2相試験において1日2回以上投与した場合、血中CK値上昇した)。
  • 3.グラム陰性菌等を含む混合感染と診断された場合、又は混合感染が疑われる場合は本剤と適切な薬剤を併用して治療を行うこと(ダプトマイシンはグラム陽性菌に対してのみ抗菌活性を有する)。

キュビシン静注用350mgの効能効果

敗血症、感染性心内膜炎、深在性皮膚感染症、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、びらん・潰瘍の二次感染。

【効能又は効果に関連する注意】

  • 1.〈効能共通〉本剤の使用にあたっては、耐性菌の出現等を防ぐため、原則として他の抗菌薬及びダプトマイシンに対する感受性を確認すること。
  • 2.〈効能共通〉本剤は肺炎に使用しないこと(本剤は肺サーファクタントに結合し、不活性化される)。
  • 3.〈感染性心内膜炎〉感染性心内膜炎の場合、成人の右心系感染性心内膜炎にのみ使用すること(左心系感染性心内膜炎に対して、国内での使用経験はなく、海外でも有効性は認められていない)。また、小児の感染性心内膜炎に対する有効性及び安全性は確認されていない。

キュビシン静注用350mgの有効菌種

ダプトマイシンに感性のメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)。

キュビシン静注用350mgの副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

  • 1.重大な副作用:
    • 1)ショック(頻度不明)、アナフィラキシー(0.9%)。
    • 2)急性汎発性発疹性膿疱症(頻度不明)。
    • 3)横紋筋融解症(頻度不明):筋肉痛、脱力感、CK値上昇、血中ミオグロビン上昇及び尿中ミオグロビン上昇が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
    • 4)好酸球性肺炎(頻度不明):本剤投与2~4週後、発熱、低酸素血症性呼吸困難、びまん性肺浸潤を伴う好酸球性肺炎が報告されているので、これらの症状や徴候があらわれた場合には、投与を中止し、全身ステロイド療法等の適切な処置を行うこと。
    • 5)末梢性ニューロパチー(頻度不明):本剤投与中は末梢性ニューロパチーの徴候及び症状に注意すること。
    • 6)腎不全(頻度不明):腎不全等の重篤な腎障害があらわれることがある。
    • 7)偽膜性大腸炎(頻度不明):偽膜性大腸炎が疑われたり、確定診断がなされた場合には、本剤の投与中止又は適切な処置を考慮すること。偽膜性大腸炎は、ダプトマイシンを含むほぼすべての抗菌薬の使用により報告されている。
  • 2.その他の副作用:
    • [1]感染症及び寄生虫症:(頻度不明)尿路感染、真菌感染、カンジダ感染、真菌血症。
    • [2]血液及びリンパ系障害:(頻度不明)貧血、血小板増加症、好酸球増加症。
    • [3]代謝及び栄養障害:(頻度不明)高血糖、電解質失調、食欲減退。
    • [4]精神障害:(頻度不明)不安、不眠症。
    • [5]神経系障害:(頻度不明)浮動性めまい、頭痛、錯感覚、振戦、味覚異常。
    • [6]耳及び迷路障害:(頻度不明)回転性めまい。
    • [7]心臓障害:(頻度不明)上室性不整脈。
    • [8]血管障害:(頻度不明)高血圧、低血圧、潮紅。
    • [9]胃腸障害:(1~10%)下痢、(頻度不明)消化器痛/腹痛、嘔吐、鼓腸/腹部膨満感/腹部膨満、便秘、悪心、消化不良。
    • [10]肝胆道系障害:(頻度不明)黄疸。
    • [11]皮膚及び皮下組織障害:(1~10%)湿疹、(頻度不明)皮膚そう痒症、発疹、蕁麻疹、小水疱水疱性皮疹(粘膜性小水疱水疱性皮疹又は非粘膜性小水疱水疱性皮疹)。
    • [12]筋骨格系及び結合組織障害:(頻度不明)四肢痛、筋力低下、筋肉痛、関節痛。
    • [13]腎及び尿路障害:(頻度不明)腎障害。
    • [14]生殖系及び乳房障害:(頻度不明)腟炎。
    • [15]全身障害及び投与局所様態:(1~10%)発熱、(頻度不明)無力症、注射部位反応、悪寒、疲労、血管性浮腫。
    • [16]臨床検査:(1~10%)肝機能検査異常(AST上昇、ALT上昇、Al-P上昇)、血小板数減少、CK上昇、好酸球数増加、(頻度不明)血中クレアチニン上昇、INR増加、LDH上昇、プロトロンビン時間延長、血中ミオグロビン上昇、尿中ミオグロビン上昇。

キュビシン静注用350mgの使用上の注意

【禁忌】

本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。

【重要な基本的注意】

  • 1.本剤の使用にあたっては、耐性菌の出現等を防ぐため、次のことに注意すること。
    • 1)感染症の治療に十分な知識と経験を持つ医師又はその指導のもとで行うこと。
    • 2)投与期間は、感染部位、重症度、患者の症状等を考慮し、適切な時期に、本剤の継続投与が必要か判定し、疾病の治療上必要な最小限の期間の投与にとどめること。
  • 2.本剤投与中に、CK上昇が報告されているので、次の点について十分注意すること。
    • 1)CK値を投与期間中は定期的に(週1回以上)モニタリングすること。原因不明のCK上昇を発現した患者では、CK値を更に頻回にモニタリングすること。
    • 2)CK値が1000U/L<基準値上限の約5倍>を超え原因不明のミオパチーの徴候又は症状を示す患者、あるいは症状はないがCK値が2000U/L<基準値上限の約10倍>を超える顕著な増加を示した場合は、本剤の投与を中止すること。
  • 3.本剤によるショック、アナフィラキシーの発生を確実に予知できる方法がないので、次の措置をとること。
    • 1)事前に既往歴等について十分な問診を行う(なお、抗生物質等によるアレルギー歴は必ず確認する)。
    • 2)投与に際しては、必ずショック等に対する救急処置のとれる準備をしておくこと。
    • 3)点滴静注の場合は投与開始から投与終了後まで、また、静脈内注射の場合は投与終了後もしばらくの間、患者を安静の状態に保たせ、十分な観察を行う(特に、投与開始直後は注意深く観察する)。

【合併症・既往歴等のある患者】

  • 1.前治療にHMG-CoA還元酵素阻害剤を用いた患者:CK値を投与期間中は通常(週1回以上)より更に頻回にモニタリングすること。

【腎機能障害患者】

  • 1)〈CLcr30mL/min未満の成人患者(血液透析又はCAPDを受けている患者を含む)〉本剤の投与間隔を調節すること(投与間隔を調節する必要があるため、腎機能を頻回にモニタリングし、CK値を投与期間中は通常(週1回以上)よりも更に頻回にモニタリングすること)。
  • 2)〈CLcr30mL/min以上の成人患者〉腎機能を頻回にモニタリングし、CK値を投与期間中は通常(週1回以上)よりも更に頻回にモニタリングすること。

【妊婦】

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(妊娠ラットにおいて、ダプトマイシンは胎盤を通過することが認められている)。

【授乳婦】

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(ヒト母乳中へダプトマイシンが低濃度(0.045μg/mL、乳汁中濃度/血漿中濃度比:0.12%)で移行することが報告された)。

【小児等】

1歳未満の小児患者への投与は推奨されない(1歳未満の小児患者を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない、1歳未満の小児に相当する日齢の新生仔イヌを用いた試験では、1歳未満の小児において予想される血中濃度の範囲内で回復性のある筋攣縮及び筋硬直がみられた)。

【高齢者】

高齢者の場合、一般的に生理機能が低下している。CLcr≧30mL/minの高齢者では用量調節は必要ない。

【相互作用】

  • 2.併用注意:HMG-CoA還元酵素阻害剤[本剤及びHMG-CoA還元酵素阻害剤を併用した場合CKが上昇するおそれがあることから、本剤投与中はこれらの薬剤の休薬を考慮し、これらの薬剤を前治療又は併用した患者では、CK値を頻回にモニタリングすること(機序不明)]。

【臨床検査結果に及ぼす影響】

  • 1.遺伝子組換え型トロンボプラスチン試薬を用いた測定において、ダプトマイシンの血漿中の濃度が臨床的に十分高い場合、見かけ上、濃度依存的かつ有意なプロトロンビン時間(PT)延長及び国際標準比(INR)増加がみられることがある。遺伝子組換え型トロンボプラスチン試薬とダプトマイシンの相互作用による見かけ上のPT延長及びINR増加は、ダプトマイシンの血漿中濃度がトラフ付近でPT又はINR検査用の試料を採取することにより可能性を最小限にできる。しかし、トラフ値でも相互作用を引き起こす可能性が十分にある。本剤投与中にPT又はINRが異常に高い場合には、次を行うことが望ましい。
    • 1)2回目以降の本剤投与直前(トラフ時)に採血し、PT又はINRの評価を繰り返す。トラフ時のPT又はINRが予想よりも顕著に高い場合には、他の方法によるPT又はINRの評価を検討すること。
    • 2)PT又はINRの異常高値を引き起こす他の原因について評価すること。
  • 2.本剤とワルファリンを併用する場合には、本剤投与開始後数日間は抗凝血活性をモニタリングすること。

【過量投与】

  • 1.処置:過量投与時、本剤は、血液透析(4時間で投与量の約15%除去)又は腹膜透析(48時間で約11%除去)により体内から緩やかに除去される。

【適用上の注意】

  • 1.薬剤調製時の注意:
    • 1)本剤1バイアルにつき7mLの生理食塩液をゆっくりと加えて溶解し、50mg/mLの溶液とする。なお、泡立ちを抑えるため、溶解時又は溶解後のバイアルは激しく振とうしないで、次の手順に従って調製する。・ ゴム栓の中央部に針を刺す。・ 生理食塩液7mLをバイアルの内壁をつたわらせながらゆっくりと注入する。・ バイアルをゆっくりと回しながら塊又は粉末を十分に湿らせる。・ 溶解するまで約10分間静置する。・ 数分間ゆっくりとバイアルを回す。・ 完全に溶解したことを確認する。
    • 2)成人に静脈内注射する場合、50mg/mLの溶液をそのまま使用する。
    • 3)点滴静注する場合、50mg/mLの溶液をさらに生理食塩液で希釈し使用する。
    • 4)調製後は速やかに使用すること(なお、やむを得ず保存を必要とする場合でも、調製開始後、室温(25℃)では12時間以内、冷所(2~8℃)では48時間以内に使用すること)。
  • 2.薬剤投与前の注意:不溶物がないことを目視で確認すること。
  • 3.薬剤投与時の注意:小児には、年齢に応じて30分又は60分かけて点滴静注し、小児には静脈内注射しないこと。
  • 4.配合適性:
    • 1)本剤は生理食塩液及び乳酸リンゲル液とは配合可能である。
    • 2)ブドウ糖を含む希釈液とは配合不適である。
    • 3)配合適性については限られたデータしかないため、他の薬剤<生理食塩液及び乳酸リンゲル液を除く>を同一の輸液ラインを通して同時に注入しないこと(他の薬剤を同一の輸液ラインから連続注入する場合には、配合変化を起こさない輸液(生理食塩液又は乳酸リンゲル液)を本剤の投与前後に輸液ライン内に流すこと)。

【その他の注意】

  • 2.非臨床試験に基づく情報:ラット及びイヌにおいて、ダプトマイシン投与により骨格筋に影響がみられたが、心筋及び平滑筋に変化は認められなかった。この変化は、病理組織学的に骨格筋変性又は骨格筋再生像を呈し、CK上昇を伴っていた(線維化及び横紋筋融解症は認められなかった)、病理組織学的変化を含む骨格筋への影響はすべて、ラットにおいて休薬後4週以内及びイヌにおいて休薬後11週以内に完全に回復した。ラット及びイヌにおいて、末梢神経変化(軸索の変性像を呈し、機能的な変化を伴うこともあった)がみられ、この変化はミオパチーよりも高用量で認められた(病理組織学的及び機能的な影響はイヌで評価したところ、実質的に休薬後6ヵ月以内に回復した)。7週齢の幼若イヌ(神経及び筋等の発達段階が乳幼児に相当)にダプトマイシンを28日間静脈内投与した試験において、成熟イヌと比較して低い血漿中曝露量(50mg/kg/日:Cmaxの比較で約1/2)から末梢神経変性がみられ、また、成熟イヌと同様の所見に加えて脊髄変性がみられた(これらの所見は28日間の休薬後に回復傾向が認められた)。4日齢新生仔イヌにダプトマイシンを28日間(生後4~31日)静脈内投与した試験において、幼若イヌと比較して低い血漿中曝露量(25mg/kg/日:Cmaxの比較で約1/3)から筋攣縮及び筋硬直がみられた(これらの所見は28日間の休薬後には回復した)。なお、25mg/kg/日投与時の血中濃度は、ヒトの乳児において予想される血中濃度の範囲内であった。

【保管上の注意】

2~8℃。

キュビシン静注用350mg

キュビシン静注用350mg

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