ベストコール筋注用0.5gの用法・用量
セフメノキシム塩酸塩として1日1~2g(力価)を2回に分けて筋肉内に注射する。筋肉内注射に際しては、添付のベストコール筋注用溶解液に溶解して用いる。
<注射液の調製法>
本剤は溶解補助剤として無水炭酸ナトリウムを含有し、溶解時に炭酸ガスを発生するため、減圧バイアルにしてある。溶解にあたっては、溶解方法説明書きをよく読む。
<用法・用量に関連する使用上の注意>
- 1.高度腎障害のある患者には、投与量・投与間隔の適切な調節をするなど慎重に投与する。
- 2.本剤の使用にあたっては、耐性菌の発現等を防ぐため、原則として感受性を確認し、疾病の治療上必要な最少限の期間の投与にとどめる。
ベストコール筋注用0.5gの効能・効果
- 1.敗血症。
- 2.外傷・熱傷及び手術創等の二次感染。
- 3.急性気管支炎、肺炎、肺膿瘍、膿胸、慢性呼吸器病変の二次感染。
- 4.膀胱炎、腎盂腎炎。
- 5.腹膜炎。
- 6.胆嚢炎、胆管炎、肝膿瘍。
- 7.バルトリン腺炎、子宮内感染、子宮付属器炎、子宮旁結合織炎。
<効能・効果に関連する使用上の注意>
急性気管支炎への使用にあたっては、「抗微生物薬適正使用の手引き」を参照し、抗菌薬投与の必要性を判断した上で、本剤の投与が適切と判断される場合に投与する。
ベストコール筋注用0.5gの有効菌種
セフメノキシムに感性のレンサ球菌属、肺炎球菌、大腸菌、シトロバクター属、クレブシエラ属、エンテロバクター属、セラチア属、プロテウス属、モルガネラ・モルガニー、プロビデンシア属、インフルエンザ菌、ペプトストレプトコッカス属、バクテロイデス属。
ベストコール筋注用0.5gの副作用
承認時までの調査では、3,162例(静注、点滴静注、筋注を含む)中249例(7.9%)に、製造販売後の使用成績調査(再審査終了時点)では24,604例(静注、点滴静注、筋注を含む)中1,202例(4.9%)に臨床検査値の異常を含む副作用が認められている。次の副作用は前記の調査あるいは自発報告等で認められたものである。
- 1.重大な副作用
- 1)ショック、アナフィラキシー(0.1%未満)を起こすことがあるので、観察を十分に行い、不快感、口内異常感、眩暈、便意、耳鳴、発汗、喘鳴、呼吸困難、血管浮腫、全身潮紅・全身蕁麻疹等の異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。
- 2)急性腎障害等の重篤な腎障害(0.1%未満)が現れることがあるので、定期的に検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。
- 3)顆粒球減少(0.1~5%未満)、また、無顆粒球症(0.1%未満)が現れることがあり、また、他のセフェム系抗生物質で溶血性貧血が現れることが報告されているので、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行う。
- 4)偽膜性大腸炎等の血便を伴う重篤な大腸炎(0.1%未満)が現れることがあるので、腹痛、頻回の下痢が現れた場合には直ちに投与を中止するなど適切な処置を行う。
- 5)発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部X線異常、好酸球増多等を伴う間質性肺炎、PIE症候群(0.1%未満)等が現れることがあるので、このような症状が現れた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行う。
- 6)痙攣(頻度不明)等の中枢神経症状が現れることがある(特に、腎不全患者に現れやすい)。
- 7)AST上昇(GOT上昇)、ALT上昇(GPT上昇)等を伴う肝機能障害、黄疸(0.1%未満)が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。
- 2.その他の副作用
- 1)過敏症:(0.1~5%未満)発疹、蕁麻疹、紅斑、そう痒、発熱、(0.1%未満)リンパ腺腫脹、関節痛[このような場合には投与を中止し適切な処置を行う]。
- 2)血液:(0.1~5%未満)貧血、好酸球増多、(0.1%未満)血小板減少。
- 3)肝臓:(0.1~5%未満)AST上昇(GOT上昇)、ALT上昇(GPT上昇)、Al-P上昇、LDH上昇、(0.1%未満)γ-GTP上昇。
- 4)消化器:(0.1~5%未満)下痢、(0.1%未満)悪心、嘔吐、食欲不振、腹痛。
- 5)菌交代症:(0.1%未満)口内炎、カンジダ症。
- 6)ビタミン欠乏症:(0.1%未満)ビタミンK欠乏症状(低プロトロンビン血症、出血傾向等)、ビタミンB群欠乏症状(舌炎、口内炎、食欲不振、神経炎等)。
- 7)その他:(0.1%未満)倦怠感、ふらつき、頭痛。
ベストコール筋注用0.5gの使用上の注意
【禁忌】
- 1.本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
- 2.低出生体重児、新生児、乳児、幼児、小児。
- 3.メピバカイン塩酸塩又はアニリド系局所麻酔剤に対し過敏症の既往歴のある患者。
【原則禁忌】
セフェム系抗生物質に対し過敏症の既往歴のある患者。
【慎重投与】
- 1.ペニシリン系抗生物質に対し過敏症の既往歴のある患者。
- 2.本人又は両親、兄弟に気管支喘息、発疹、蕁麻疹等のアレルギー症状を起こしやすい体質を有する患者。
- 3.高度腎障害のある患者[高い血中濃度が持続することがある]。
- 4.高齢者。
- 5.経口摂取の不良な患者又は非経口栄養の患者、全身状態の悪い患者[ビタミンK欠乏症状が現れることがあるので観察を十分に行う]。
【重要な基本的注意】
本剤によるショック、アナフィラキシーの発生を確実に予知できる方法がないので、次の措置をとる。
- 1.事前に既往歴等について十分な問診を行う(なお、抗生物質等によるアレルギー歴は必ず確認する)。
- 2.投与に際しては、必ずショック等に対する救急処置のとれる準備をしておく。
- 3.投与開始から投与終了後まで、患者を安静の状態に保たせ、十分な観察を行い、特に、投与開始直後は注意深く観察する。
【相互作用】
- 併用注意:
- 1.利尿剤(フロセミド等)[他のセフェム系抗生物質で併用による腎障害増強作用が報告されているので、併用する場合には腎機能に注意する(機序は不明であるが、利尿時の脱水による血中濃度の上昇等が考えられている)]。
- 2.エタノール(飲酒)[飲酒等のエタノール摂取により、紅潮、悪心、頻脈、多汗、頭痛等が現れることがあるので、投与期間中及び投与後少なくとも1週間は飲酒等のエタノール摂取を避ける(エタノール摂取24時間前に本剤を投与した試験(健康成人)で血中アセトアルデヒドの蓄積とジスルフィラム様作用が認められている)]。
【高齢者への投与】
次の点に注意し、用量並びに投与間隔に留意するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与する。
- 1.高齢者では生理機能が低下していることが多く副作用が発現しやすい。
- 2.高齢者ではビタミンK欠乏による出血傾向が現れることがある。
【妊婦・産婦・授乳婦等への投与】
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与する[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない]。
【小児等への投与】
低出生体重児、新生児、乳児、幼児、小児に対する安全性は確立していない。
【臨床検査結果に及ぼす影響】
- 1.テステープ反応を除くベネディクト試薬、フェーリング試薬による尿糖検査では、偽陽性を呈することがあるので注意する。
- 2.直接クームス試験陽性を呈することがあるので注意する。
【適用上の注意】
- 1.投与経路:静脈内注射が困難な場合にのみ使用する。
- 2.筋肉内注射時:筋肉内注射にあたっては、組織・神経等への影響を避けるため、次記の点に注意する。
- 1)筋肉内注射はやむを得ない場合にのみ、必要最少限に行う。なお、同一部位への反復注射は行わない。
- 2)神経走行部位を避けるよう注意する。
- 3)注射針を刺入したとき、激痛を訴えたり、血液の逆流をみた場合は、直ちに針を抜き、部位をかえて注射する。
- 3.調製法:本剤は1バイアル当たり添付の筋注用溶解液3mLに溶解し、筋肉内注射にのみ使用する。
- 4.溶解後:溶解後は速やかに使用する(なお、やむを得ず保存を必要とする場合でも12時間以内に使用する)。
【その他の注意】
- 1.幼若ラットに皮下投与した動物試験において、精巣萎縮、精子形成抑制作用が発現したとの報告がある。
- 2.本剤の投与に際しては、定期的に肝機能、腎機能、血液等の検査を行うことが望ましい。
【取扱い上の注意】
- 1.注意:溶解液のアンプルは「ワンポイントカットアンプル」を使用しているので、ヤスリを用いず、アンプル枝部のマーク(青)の反対方向に折り取る。
- 2.使用期限内であっても開封後はなるべく速やかに使用する。