ジャルカ配合錠の組成・成分
1錠中
ドルテグラビルナトリウム:52.62mg(ドルテグラビルとして:50mg)
リルピビリン塩酸塩:27.50mg(リルピビリンとして:25mg)
ジャルカ配合錠の用法・用量
通常、成人には1回1錠(ドルテグラビルとして50mg及びリルピビリンとして25mg)を1日1回食事中又は食直後に経口投与する。
【用法及び用量に関連する注意】
- 1.本剤は、HIV-1感染症に対して1剤で治療を行うものであるため、他の抗HIV薬<リファブチン併用時のリルピビリンを除く>と併用しないこと(ただし、リルピビリンを追加投与する必要がある場合を除く)。
- 2.本剤とリファブチンを併用する場合は、リルピビリン製剤を1回25mg1日1回併用すること(なお、リファブチンの併用を中止した場合は、リルピビリン製剤の投与を中止すること)。
ジャルカ配合錠の効能・効果
HIV-1感染症。
【効能又は効果に関連する注意】
- 1.本剤は、ウイルス学的失敗の経験がなく、切り替え前6ヵ月間以上においてウイルス学的抑制が得られており、本剤の有効成分に対する耐性関連変異を持たず、本剤への切り替えが適切であると判断される抗HIV薬既治療患者に使用すること(ウイルス学的抑制:ヒト免疫不全ウイルス[HIV]-1 RNA量が50copies/mL未満)。
- 2.本剤による治療にあたっては、患者の治療歴及び可能な場合には薬剤耐性検査(遺伝子型解析あるいは表現型解析)を参考にすること。
- 3.本剤はドルテグラビル及びリルピビリンの固定用量を含有する配合剤であるので、リルピビリンの用量調節が必要な患者には個別のリルピビリン製剤(エジュラント錠)を用いること。
ジャルカ配合錠の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 1.重大な副作用:
- 1)薬剤性過敏症症候群(頻度不明):初期症状として発疹、発熱がみられ、さらに肝機能障害、リンパ節腫脹、好酸球増多等を伴う遅発性の重篤な過敏症状があらわれることがある(なお、投与中止後も発疹、発熱、肝機能障害等の症状が再燃あるいは遷延化することがあるので注意すること)。
- 2)肝機能障害(1%未満)、黄疸(頻度不明):AST上昇、ALT上昇、ビリルビン上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある。
- 2.その他の副作用:
- [1]免疫系:(頻度不明)免疫再構築炎症反応症候群。
- [2]代謝:(頻度不明)食欲減退、体脂肪再分布/体脂肪蓄積。
- [3]精神・神経系:(2%以上)頭痛、(1~2%未満)不眠症、異常な夢、浮動性めまい、(1%未満)うつ病、睡眠障害、自殺念慮/自殺企図、抑うつ気分、傾眠、不安。
- [4]消化器:(2%以上)下痢、(1~2%未満)悪心、鼓腸、(1%未満)腹痛、上腹部痛、腹部不快感、(頻度不明)嘔吐。
- [5]肝臓:(頻度不明)肝炎。
- [6]皮膚:(1%未満)発疹、皮膚そう痒。
- [7]全身症状:(1%未満)疲労。
- [8]筋骨格:(1%未満)関節痛、(頻度不明)筋肉痛。
- [9]臨床検査:(1%未満)体重増加、(頻度不明)トランスアミナーゼ上昇、血清クレアチニン増加、総ビリルビン増加、CK増加。
ジャルカ配合錠の使用上の注意
【禁忌】
- 1.本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
- 2.リファンピシン投与中、カルバマゼピン投与中、フェニトイン投与中、ホスフェニトインナトリウム水和物投与中、フェノバルビタール投与中、セイヨウオトギリソウ<セント・ジョーンズ・ワート>含有食品摂取中(St.John’s Wort)、デキサメタゾン<全身投与><単回投与を除く>投与中、プロトンポンプ阻害剤投与中(オメプラゾール、ランソプラゾール、ラベプラゾールナトリウム、エソメプラゾールマグネシウム水和物、ボノプラザンフマル酸塩)の患者。
【重要な基本的注意】
- 1.本剤による治療は、抗HIV療法に十分な経験を持つ医師のもとで開始すること。
- 2.本剤の使用に際しては、国内外のガイドライン等の最新の情報を参考に、患者又は患者に代わる適切な者に、次の事項についてよく説明し同意を得た後、使用すること。・ 本剤はHIV感染症の根治療法薬ではないことから、日和見感染を含むHIV感染症の進展に伴う疾病を発症し続ける可能性があるので、本剤投与開始後の身体状況の変化については、すべて担当医に報告すること。・ 本剤は併用薬剤と相互作用を起こすことがあるため、服用中のすべての薬剤を担当医に報告すること。また、本剤で治療中に新たに他の薬剤を服用する場合には、事前に担当医に報告すること。・ 本剤の長期投与による影響については、現在のところ不明であること。・ 担当医の指示なしに用量を変更したり、服用を中止したりしないこと。
- 3.抗HIV薬の多剤併用療法を行った患者で、免疫再構築炎症反応症候群が報告されている(投与開始後、免疫機能が回復し、症候性のみならず無症候性日和見感染症に対する炎症反応(マイコバクテリウムアビウムコンプレックス、サイトメガロウイルス、ニューモシスチス等によるもの)等が発現することがあり、また、免疫機能の回復に伴い自己免疫疾患(甲状腺機能亢進症、多発性筋炎、ギラン・バレー症候群、ブドウ膜炎等)が発現するとの報告があるので、これらの症状を評価し、必要時には適切な治療を考慮すること)。
- 4.肝機能障害、黄疸があらわれることがあるので、定期的に肝機能検査を行う等、観察を十分に行うこと。
【合併症・既往歴等のある患者】
- 1.不整脈を起こしやすい患者:低カリウム血症、著しい徐脈、急性心筋虚血、うっ血性心不全、先天性QT延長症候群等の患者では、QT延長により不整脈が発現するおそれがある(リルピビリン75mg及び300mg投与時にQT延長が認められている)。
- 2.B型肝炎ウイルス重複感染又はC型肝炎ウイルス重複感染患者:肝機能の悪化のおそれがある。ドルテグラビル及びリルピビリンを併用投与した臨床試験において、C型肝炎ウイルス重複感染患者では、肝機能検査値上昇の発現頻度が非重複感染患者より高かった。ドルテグラビル単剤の臨床試験において、B型肝炎ウイルス重複感染又はC型肝炎ウイルス重複感染患者では、トランスアミナーゼ上昇又はトランスアミナーゼ増悪の発現頻度が非重複感染患者より高かった。また、リルピビリン単剤の臨床試験において、B型肝炎ウイルス重複感染又はC型肝炎ウイルス重複感染患者では、肝臓関連有害事象(臨床検査値異常を含む)の発現頻度が非重複感染患者より高かった。
【妊婦】
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。海外の観察研究において、無脳症や二分脊椎などの神経管閉鎖障害が、受胎前からドルテグラビル含有製剤を服用していた妊婦から生まれた児9460例中10例(0.11%、95%信頼区間0.06-0.19)に報告されており、ドルテグラビルを含まない抗HIV薬を服用していた妊婦から生まれた児23664例中25例(0.11%、95%信頼区間0.07-0.16)、HIV陰性の妊婦から生まれた児170723例中108例(0.07%、95%信頼区間0.05-0.08)に報告されている。ドルテグラビルはヒト胎盤を通過する。ドルテグラビルの母体血漿中濃度に対する胎児臍帯血漿中濃度の比(中央値[範囲])は、1.28[1.21-1.28]であることが報告されている(外国人データ)。妊娠中期及び妊娠後期の妊婦にリルピビリンを投与した時、出産後と比較し、リルピビリン血中濃度低下が認められている。
【授乳婦】
授乳を避けさせること(一般に、乳児へのHIV感染を防ぐため、あらゆる状況下においてHIVに感染した女性は授乳をすべきでない)。ドルテグラビルはヒト乳汁中に移行する。ドルテグラビルの母体血漿中濃度に対する乳汁中濃度の比(中央値[範囲])は、0.033[0.021-0.050]であることが報告されている(外国人データ)。リルピビリンはヒトの乳汁中に移行するか否かは不明であるが、リルピビリンは動物試験(ラット)で乳汁中に移行することが報告されている。
【小児等】
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
【高齢者】
患者の状態を観察しながら注意して投与すること(一般に生理機能(肝機能、腎機能、心機能等)が低下しており、合併症を有している又は他の薬剤を併用している場合が多い)。
【相互作用】
ドルテグラビルは主にUGT1A1で代謝され、一部CYP3A4でも代謝される。また、ドルテグラビルは有機カチオントランスポーター2(OCT2)及びMultidrug and Toxin Extrusion 1(MATE1)を阻害する。リルピビリンは主にCYP3Aにより代謝される。
- 1.併用禁忌:
- [1]リファンピシン<リファジン>[ドルテグラビル及びリルピビリンの血中濃度が低下し本剤の効果が減弱するおそれがある(これらの薬剤のCYP3A4及びUGT1A1誘導作用により、ドルテグラビルの代謝が促進され、また、CYP3A4誘導作用により、リルピビリンの代謝が促進される)]。
- [2]カルバマゼピン<テグレトール>、フェニトイン<アレビアチン等>、ホスフェニトインナトリウム水和物<ホストイン>、フェノバルビタール<フェノバール等>[ドルテグラビル及びリルピビリンの血中濃度が低下し本剤の効果が減弱するおそれがある(これらの薬剤のCYP3A4及びUGT1A1誘導作用により、ドルテグラビルの代謝が促進され、また、CYP3A4誘導作用により、リルピビリンの代謝が促進される)]。
- [3]デキサメタゾン<全身投与><単回投与を除く><デカドロン等>[リルピビリンの血中濃度が低下し本剤の効果が減弱するおそれがある(デキサメタゾンのCYP3A誘導作用により、リルピビリンの代謝が促進される)]。
- [4]プロトンポンプ阻害剤(オメプラゾール<オメプラール、オメプラゾン>、ランソプラゾール<タケプロン>、ラベプラゾールナトリウム<パリエット>、エソメプラゾールマグネシウム水和物<ネキシウム>、ボノプラザンフマル酸塩<タケキャブ>)[リルピビリンの血中濃度が低下し本剤の効果が減弱するおそれがある(胃内のpH上昇により、リルピビリンの吸収が低下する)]。
- 2.併用注意:
- [1]ピルシカイニド塩酸塩水和物[ピルシカイニドの血中濃度を増加させる可能性があり、併用により、ピルシカイニドで重大な副作用として報告されている心室頻拍・洞停止及び心室細動等の発現及び重篤化があらわれるおそれがある(ドルテグラビルのOCT2及びMATE1の阻害作用により、ピルシカイニドの排出が阻害される可能性がある)]。
- [2]制酸剤<PPI・H2ブロッカー以外><経口>、多価カチオン含有製剤<経口>(乾燥水酸化アルミニウムゲル<経口>、沈降炭酸カルシウム<経口>等)[ドルテグラビル及びリルピビリンの血中濃度が低下し本剤の効果が減弱するおそれがあるので、本剤は制酸剤、多価カチオン含有製剤投与の4時間以上前又は6時間以上後に投与すること(胃内のpH上昇により、リルピビリンの吸収が低下し、錯体を形成することにより、ドルテグラビルの吸収が阻害される)]。
- [3]鉄剤<経口>、カルシウム含有製剤<経口>(鉄サプリメント<経口>、カルシウム含有サプリメント<経口>等)[ドルテグラビルの血中濃度が低下し本剤の効果が減弱するおそれがあるので、食事と同時に摂取する場合を除き、本剤は鉄剤、カルシウム含有製剤投与の4時間以上前又は6時間以上後の投与が推奨される(鉄、カルシウムと錯体を形成することにより、ドルテグラビルの吸収が阻害される)]。
- [4]メトホルミン塩酸塩[ドルテグラビルがメトホルミンの血中濃度を上昇させるので、注意深く観察し、必要に応じてメトホルミンを減量する等慎重に投与すること(ドルテグラビルのOCT2及びMATE1の阻害作用により、メトホルミンの排出が阻害される可能性がある)]。
- [5]リファブチン[リルピビリンの血中濃度が低下し本剤の効果が減弱するおそれがある(リファブチンのCYP3A誘導作用により、リルピビリンの代謝が促進される)]。
- [6]H2遮断剤(ファモチジン、シメチジン、ニザチジン、ラニチジン塩酸塩)[リルピビリンの血中濃度が低下し本剤の効果が減弱するおそれがあるので、本剤はH2遮断剤投与の4時間以上前又は12時間以上後に投与すること(胃内のpH上昇により、リルピビリンの吸収が低下する)]。
- [7]クラリスロマイシン、エリスロマイシン[リルピビリンの血中濃度が上昇する可能性があるので、代替としてアジスロマイシン等を考慮すること(これらの薬剤のCYP3A阻害作用により、リルピビリンの代謝が阻害される)]。
- [8]メサドン塩酸塩[リルピビリンがメサドンの血中濃度を低下させることがある(機序不明)]。
- [9]QT延長を起こすことが知られている薬剤(アミオダロン塩酸塩、ソタロール塩酸塩等)[QT延長、心室性頻拍<Torsade de Pointesを含む>が発現するおそれがある(リルピビリン75mg及び300mg投与時にQT延長が認められている)]。
【過量投与】
- 1.処置:過量投与時、ドルテグラビルは血液透析により除去される可能性は低いことが報告されている(リルピビリンは高い蛋白結合率を有するため、血液透析により除去できる可能性は低い)。
【取扱い上の注意】
湿気を避けるため、乾燥剤を同封した元の容器にて保存し、使用の都度、密栓すること。
【保管上の注意】
室温保存。