PPSB-HT静注用500単位「タケダ」の用法・用量
本剤を添付の日本薬局方注射用水25mLで溶解し、通常1回血液凝固第9因子量200~1200国際単位を静脈内に緩徐に注射する。用量は、年齢・症状に応じ適宜増減する。
PPSB-HT静注用500単位「タケダ」の効能・効果
血液凝固第9因子欠乏患者の出血傾向を抑制する。
PPSB-HT静注用500単位「タケダ」の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 1.重大な副作用:
- 1)アナフィラキシー(頻度不明)。
- 2)DIC(頻度不明):大量投与によりDICを起こすことがある。
- 2.その他の副作用:
- [1]過敏症:(頻度不明)発熱、顔面紅潮、蕁麻疹等。
- [2]その他:(頻度不明)悪寒、腰痛。
PPSB-HT静注用500単位「タケダ」の使用上の注意
【注意】
本剤は、貴重なヒト血液を原料として製剤化したものである。原料となった血液を採取する際には、問診、感染症関連の検査を実施するとともに、製造工程において一定の不活化・除去処理などを実施し、感染症に対する安全対策を講じているが、ヒト血液を原料としていることによる感染症伝播のリスクを完全に排除することはできないため、疾病の治療上の必要性を十分に検討の上、必要最小限の使用にとどめること。
【重要な基本的注意】
- 1.本剤の投与又は処方にあたっては、疾病の治療における本剤の必要性とともに、本剤の製造に際し感染症の伝播を防止するための安全対策が講じられているが、ヒト血液を原料としていることに由来する感染症伝播のリスクを完全に排除することができないことを、患者に対して説明し、理解を得るよう努めること。
- 2.本剤の原材料となる献血者の血液については、HBs抗原、抗HCV抗体、抗HIV-1抗体、抗HIV-2抗体及び抗HTLV-1抗体陰性で、かつALT値でスクリーニングを実施している。さらに、HBV、HCV及びHIVについて核酸増幅検査(NAT)を実施し、適合した血漿を本剤の製造に使用しているが、当該NATの検出限界以下のウイルスが混入している可能性が常に存在する。その後の製造工程である65℃、96時間の加熱処理及びウイルス除去膜によるろ過処理は、HIVをはじめとする各種ウイルスに対し、不活化・除去作用を有することが確認されているが、投与に際しては、次の点に十分注意すること。
- 1)血漿分画製剤の現在の製造工程では、ヒトパルボウイルスB19等のウイルスを完全に不活化・除去することが困難であるため、本剤の投与によりその感染の可能性を否定できないので、投与後の経過を十分に観察すること。
- 2)肝炎ウイルス感染のリスクを完全には否定できないので、観察を十分に行い、症状があらわれた場合には適切な処置を行うこと。
- 3)現在までに本剤の投与により変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)等が伝播したとの報告はない。しかしながら、製造工程において異常プリオンを低減し得るとの報告があるものの、理論的なvCJD等の伝播のリスクを完全には排除できないので、投与の際には患者への説明を十分行い、治療上の必要性を十分検討の上投与すること。
- 3.患者の血中に血液凝固第9因子に対するインヒビター発生するおそれがある。本剤を投与しても予想した止血効果が得られない場合には、インヒビター発生を疑い、血液凝固第9因子回収率や血液凝固第9因子に対するインヒビターの検査を行うなど注意深く対応し、適切な処置を行うこと。
【合併症・既往歴等のある患者】
- 1.IgA欠損症の患者:抗IgA抗体を保有する患者では過敏反応を起こすおそれがある。
- 2.溶血性貧血・失血性貧血の患者:ヒトパルボウイルスB19の感染を起こす可能性を否定できない(感染した場合には、発熱と急激な貧血を伴う重篤な全身症状を起こすことがある)。
- 3.免疫不全患者・免疫抑制状態の患者:ヒトパルボウイルスB19の感染を起こす可能性を否定できない(感染した場合には、持続性貧血を起こすことがある)。
【妊婦】
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(本剤の投与によりヒトパルボウイルスB19の感染の可能性を否定できない(感染した場合には胎児への障害(流産、胎児水腫、胎児死亡)が起こる可能性がある))。
【高齢者】
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること(一般に、生理機能が低下している)。
【適用上の注意】
- 1.薬剤調製時の注意:
- 1)「溶解・ろ過の方法」に従い溶解・ろ過すること。
- 2)他剤と混注しないこと。
- 3)溶解した液を注射器に移す場合、フィルターのあるセットを用いること。
- 4)一度溶解したものは1時間以内に使用すること。
- 5)使用後の残液は、細菌汚染のおそれがあるので使用しないこと。
- 2.薬剤投与時の注意:
- 1)溶解時に沈殿の認められるもの又は混濁しているものは使用しないこと。
- 2)輸注速度が速すぎるとチアノーゼ、動悸を起こすことがあるので、ゆっくり注入すること。
- 3.薬剤交付時の注意:
- 1)子供の手の届かないところへ保管すること。
- 2)使用済の医療機器等の処理については、主治医の指示に従うこと。
【取扱い上の注意】
本剤は特定生物由来製品に該当することから、本剤を投与又は処方した場合は、医薬品の名称(販売名)、製造番号、投与日又は処方日、投与又は処方を受けた患者の氏名、住所等を記録し、少なくとも20年間保存すること。
【溶解・濾過の方法】
製品瓶内は陰圧になっているので、取り扱いに十分注意し、次記の手順に従って溶解する。
- 1.冷蔵庫より取り出した製品瓶と溶解液瓶をそのままの状態で室温までもどす。
- 2.製品瓶、溶解液瓶のプラスチックキャップをはずし、ゴム栓表面を消毒する。
- 3.溶解移注針の保護キャップのついている側を上にし、針を溶解液瓶のゴム栓にまっすぐ垂直に深く刺し込む(必ず溶解液瓶に先に刺し込む(製品瓶に先に刺し込むと陰圧が破壊され、溶解液がうまく移行しなくなる))。溶解移注針は保護キャップをつけたまま、先に溶解液瓶へ添付文書の図の側を刺す。溶解移注針:以下「移注針」。
- 4.移注針保護キャップを外し溶解液瓶を移注針ごと逆さにし製品瓶ゴム栓にまっすぐ垂直に深く刺し込むと溶解液が製品瓶内に移行する(溶解液移行中に瓶が倒れると溶解液が製品瓶内に移行しないことがあるので注意する)。
- 5.溶解液の移行が終了したら、移注針を持って溶解液瓶と一緒に引き抜く。
- 6.薬液を泡立たせないように、製品瓶をゆるく振り、完全に溶解させる。通常1~2分で完全に溶解する。
- 7.溶解後、ディスポーザブル採液針をディスポーザブル注射筒にセットし、溶解液量と同じ容量分の空気(25mL)を吸引した後、ディスポーザブル採液針を製品瓶に刺し、“押し子”を押して空気を注入する。その後、“押し子”を押したまま製品瓶を逆さにし、針先を液面から上に出さないようにして、薬液をゆっくり吸引する。薬液を吸引するとき、針先が液面から上に出て、空気を吸引すると薬液の吸引が困難になるので、注意する。
- 8.薬液の吸引終了後、注射筒からディスポーザブル採液針を取りはずし、添付の静脈針あるいは翼状針を装着してゆっくりと静脈内に注射する。溶解移注針、採液針、静脈針、翼状針、注射筒はディスポーザブルなので再使用はしない。
【保管上の注意】
10℃以下に凍結を避けて保存すること。